SEC規則を覆す決議
米国連邦議会下院は8日、議会審査法(CRA)に基づき、証券取引委員会(SEC)が発行した暗号資産(仮想通貨)の保管に関する会計公報121号(SAB121)を覆す決議案(H.J.Res.109)を可決した。
SAB121を覆すことによって、超党派の決議は、高度に規制された金融機関や企業がデジタル資産のカストディアンとして行動することを妨げる障害を取り除き、消費者の保護を確実にする。
(下院金融サービス委員会プレスリリース)
SAB121を覆す決議案は、民主党議員21人を含む超党派の支持を得て、228対182で可決され、仮想通貨業界からは賞賛の声が上がっている。
#PASSED: The House just passed @USRepMikeFlood's H.J.Res. 109 to nullify the @SECGov's SAB 121 through the Congressional Review Act with bipartisan support.
— Financial Services GOP (@FinancialCmte) May 8, 2024
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SAB121の問題点
2022年3月に発行されたSAB121は、顧客の仮想通貨を保管する金融機関や企業に対し、それらの資産を自社の貸借対照表に「負債」として計上するよう義務付けている。これは従来の会計慣行から大きく逸脱するもので、発行当初から、金融機関・企業にとって仮想通貨の保管コストが法外なものになると批判されてきた。
決議案を提出したマイク・フラッド議員は、保管資産は通常バランスシート外とみなされてきたため、SAB121は仮想通貨の保管を検討している銀行にとって不公平なものだと指摘。「バイデン政権が公的ルールの制定プロセスの限界を試し、回避策を講じようとする努力の一例」だと批判した。
SECのへスター・ピアース委員はSAB121発行直後に、会計慣行の変更につながる「最終的な解釈指針」を職員の会計公報を使用する形で公表したことを批判。米政府説明責任局(GAO)はSAB121について、政府機関の声明と認識されることから行政手続法(APA)の適用を受けるものであり、議会審議法の提供対象であるとの判断を下した。
下院金融サービス委員会のパトリック・マクヘンリー委員長は、「SAB121は、ゲイリー・ゲンスラーSEC委員長の在任を特徴付けている規制の行き過ぎの最も明白な例」であり、SECはこの公報の影響を受ける他の規制当局や市場参加者を無視してきたと非難した。
バイデン大統領は拒否権の行使を発表
ホワイトハウスは下院が決議案を可決する数時間前、この決議にはバイデン大統領が拒否権を行使すると警告していた。
政府は公式声明で、H.J.Res.109は「仮想通貨市場における投資家保護と広範な金融システム保護のための証券取引委員会(SEC)の業務を混乱させるもの」であり、SEC職員を否定するものであるとして、強く反対する意向を示した。
また、「SAB121は、消費者に多大な損失をもたらした実証済みの技術的、法的、規制上のリスクに対応して発令された」ものであると主張。「議会審査法の発動によって、将来、仮想通貨に関連する問題に対処するSECの能力を不適切に制限する可能性」があると批判した。
仮想通貨に関する包括的かつ効果的な金融規制の枠組みを維持するSECの能力を制限することは、実質的な金融の不安定性と市場の不確実性をもたらすことになる。大統領にH.J.Res.109が提示された場合、拒否権を行使する。
この動きに対し、仮想通貨に精通するジェイク・チャービンスキー弁護士は、SABは非論理的かつ違法であるため、ホワイトハウスはこの件に関与すべきではなかったと主張している。
SAB 121 is illogical and illegal.
— Jake Chervinsky (@jchervinsky) May 8, 2024
The SEC adopted it in violation of the CRA and APA for no reason other than to harm the crypto industry.
The White House should have walked away from this mess instead of doubling down on attacking US companies.
Not smart in an election year. https://t.co/Wwrw2g7TwT
SAB121は非論理的で違法である。 SECはCRAとAPAに違反してそれを採用したが、仮想通貨業界に害を与えること以外、理由はない。 ホワイトハウスは、米国企業への攻撃を強化するのではなく、この混乱から離れるべきだった。 選挙の年には賢明ではない。
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