仮想通貨ビットコインOTC取引量はロシアとベネズエラが独占|OTC取引所データを分析
- ビットコインの取引量はロシアとベネズエラが大部分占める
- 仮想通貨メディアTheBlockの独自調査分析によると、指標となるLocalBitcoinsの世界全体ビットコイン取引では主要先進国よりもロシアとベネズエラの方が大きな役割を果たしている模様だ。
ビットコイン取引量はロシアとベネズエラが双頭
世界全体のビットコイン取引量はよく知られているが、具体的にどの地域で取引が活性化しているのかは余り知られていないとされる。
まずここで、個人OTC売買を提供するフィンランド発の取引所LocalBitcoinsは指標となる詳細な出来高データを公開しており、それを用いてCoin Dance社がビットコインの統計情報を国別に提供している。
一方では、海外仮想通貨メディアTheBlockは更に独自の分析を進め、世界全体のビットコイン取引ではロシアとベネズエラが大きな割合を占めていると結論付けた。
LocalBitcoinデータによる統計の限界
TheBlock の分析によれば、LocalBitcoinのデータを使った統計には限界もある様だという。
例えば、LocalBitcoinsの統計における国別のビットコイン取引量が減ったからと言って、その国のビットコイン需要が低下したとは限らないことだ。
考えられるのは、現地の仮想通貨取引インフラが整ってくると、人々は一般的オンライン取引所へ移っていく。
しかし、LocalBitcoinsの取引量が増加した場合は、その多くがその国の需要が拡大したことを示す。(ただし、中国のように規制が掛かることで、個人間取引が増加するケースもある。)
加えて、Coin Dance社は統計する上で更に3点を前提していることがわかった。
- ① LocalBitcoinsにおけるビットコイン取引は現地通貨のみで行われる (USDを指定して行うことはできない)
- ② 国別の取引量全体のデータは提示されていない
- ③ 国別の取引量は各国の人口を用いて割り出している
特に前提①は問題で、米ドルUSD換算されていないビットコイン取引量を比較に使うのは実用的ではないとされている。
ビットコインの価格は発足以来大きく動いている為、2013年の1BTC取引と2018年の1BTC取引が表す取引量は変わってくるからだ。
また、インフレの激しい途上国などでは現地通貨の値動き自体が激しいため、ビットコインのデータにも大きな乖離が生じていることなどが挙げられる。
それでも国別に取引量を知ることは、ビットコインのエコシステムの中で、ある国がどれ程の影響力を持っているかを具体的に示す指標となり、国別の人口で取引量を計れば、更に有用となる。
例えば、中国のように大量の人口を抱える国では、スウェーデンなどの小規模な国の取引量を圧倒してしまう。
TheBlockでは以下の様に、これらの欠点を指摘した上で、更なるデータの分析を行ったと記述した。
国別に見るビットコイン取引量の推移
以下はLocalBitcoins国別のビットコイン取引量について、USDで推移を表したものである。
2017年に全体取引が増加し始めたのが明白だ。唯一の例外はアメリカで、2013年には取引増加が始まったものの、2017年には減少へと転じている。
イギリスは、最もビットコインの価格に取引量が影響された国と言えそうだ。
2018年初頭に価格が下落した際も、再び取引量は横ばいへと転じた。中国の取引量推移もイレギュラーな動きであり、取引所やICOへの規制といった外部ショックによる影響が見られる。
ビットコイン取引量の国別比較ではロシアが勝利
次に、USD換算した国別の取引量推移を並べてみると、ロシアがLocalBitcoinsでの取引量の大部分を占めている事が伺える。
ロシアでは、2018年末までに現地の仮想通貨取引所が合法化される予定だが、それまでは規制の整った取引手段がなかった事が、LocalBitcoinsでの取引量の増加につながったと考えられる。
短期での取引量でもロシアが圧倒、南米ではインフレの影響も
続いた、TheBlockは直近の10月13日から20日の一週間に絞って国別の取引量を分析した。
実際、LocalBitcoins全体取引量の26.5%がロシアで行われており、2位ベネズエラの2倍に当たる取引量である事が見られる。
また南米諸国ではハイパーインフレが起きており、政治的な理由でビットコイン取引量が伸びているとも予想できる。
南米のハイパーインフレは年間20万%に迫っており、IMF(国際通貨基金)の推算では2018年末には100万%に達するという。
発展途上国でのビットコイン取引が拡大
LocalBitcoinsで最も取引の活発な12ヶ国について、取引量の割合を見た結果、下図が示す様に、ビットコインのエコシステムでは先進国の影響力が弱まっているのに対し、発展途上国の存在は重要性を増しているようだ。
一人あたりのビットコイン取引量ではベネズエラが逆転
最後に、人口を加味した上でLocalBitcoinsの取引量を計ってみよう。
以下のグラフは、現在の取引量を各国の人口で割ったものである。
図を見た結果、ベネズエラがロシアを逆転し、更にイギリス、オーストラリア、アメリカといった先進国は下位に落ちた模様だ。
この分析から、発展途上国においてビットコインが重要度を増していることが見て取れ、これらの国々がビットコインのエコシステムにおいて大きな役割を果たし始めていると判明する。
また2013年にはビットコイン取引の90%がアメリカやイギリス、オーストラリアといった国々から行われていたものの、現在、3大国家からの取引は合計しても全体取引量の19%と激しく低下している。
アメリカ等の国々からの取引量の大幅な減少の理由として、インフラが整い、オンライン取引所へ人々が移動した事などが考えられる。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します