米ルミス議員、米国政府が10兆円相当のビットコインを購入する法案提出

「2024年ビットコイン法」を提出

暗号資産(仮想通貨)支持派として知られる米共和党のシンシア・ルミス議員は31日、米中央銀行(FED)に戦略的準備金としてビットコインを保有することを義務づける法案を上院に提出した。

法案は「国家的な投資最適化によるイノベーション、テクノロジー、競争力の強化法案」と題するもので、「2024年ビットコイン法」とも呼ばれる。

ビットコイン法はまず、米財務省がビットコインを保有するための安全な分散型のビットコイン保存庫を確立することを規定。国がビットコインを保有するにあたって、最高レベルの物理的セキュリティおよびサイバーセキュリティを保証する要件を満たせるようにするものだ。

さらに、米国が一定期間内に100万BTCのビットコインを購入し、ビットコイン総供給量の約5%を取得することを定めている。また、この購入規模は、米国が備蓄している金(ゴールド)の規模を反映するものになる計画だ。

なお、100万ビットコインは時価648億ドル(9.7兆円)に相当する。

ルミス氏は、ビットコイン準備金はインフレ率の上昇や、国家の債務増加などに対応する処置でもあるとして、次のように続けた。

ビットコインは、米国だけでなく世界の国々にも変革をもたらしているところだ。

ビットコインを貯蓄手段として使用する最初の先進国になることで、米国の金融イノベーションにおける世界的リーダーとしての地位が確保される。

米国政府のビットコイン保有については、先日ドナルド・トランプ前大統領も提案を行ったところだ。トランプ氏の案はルミス氏の法案よりは控えめであり、米司法省が保有する約21万BTCを売却せずに、国家戦略的な備蓄として保有し続けるというものである。

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ゴールド準備金の価値見直しで資金調達

ルミス氏の法案は、ビットコイン購入の資金源を、米国政府の金(ゴールド)準備金の価値を再評価することから得るとしている。

まず、米財務省は全国の連邦準備銀行に、ゴールドの現在の公正市場価値を反映した、新たな「金証書」を発行。その後、各連邦準備銀行は、古い証書と新しい証書の額面の差額を財務省に送金することになる。

これは現在、連邦準備銀行のバランスシートで、ゴールドの価値が過小評価されている可能性があることが背景だ。

7月25日の時点で、ゴールドの在庫は110億ドル(1.6兆円)と評価されていたが、これは1トロイオンスあたり42.22ドルという、昔の評価額に基づいているとみられる。

現在、ゴールドの実際の市場価格は2,423ドルを超えており、連邦準備銀行による評価の57倍以上だ。このため、財務省が保有するとされる8,134トンの金の価値は、6,300億ドル(94兆円)に達する可能性がある。

また、ルミス氏の法案は、連邦準備制度が財務省に送金する純利益を通じて、ビットコインの取得資金を調達することも提案している。

具体的には、2025年度から2029年度にかけて、連邦準備銀行の裁量的剰余金を68億2,500万ドル(1兆円)から24億ドル(3,600億円)に減らし、その差額をビットコインの購入に充てるとする格好だ。

この法案の実現性については様々な意見が上がっている。例えば、ケイトー研究所通貨金融代替センターのジョージ・セルギン名誉所長は、ルミス氏の法案は「実現可能」だと述べた

ただ、セルギン氏は、ビットコイン法が提案する資金調達によって連邦準備制度に預けられる準備金が多くなると指摘。その場合、連邦準備制度がこれらの資金に対して利息収入を支払わなければならないという問題もあると続けた。

一方で、ビットコインについてのベストセラー本を執筆している、サイフェディーン・アモス氏は、米国の財務省が実際に3,500億ドルものゴールドを保有していることは考えにくいと発言した。

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