USDT発行企業テザー、ブラックロックを上回る収益

ブラックロックの収益を上回る

暗号資産(仮想通貨)米ドルステーブルコイン「USDT」を発行するテザー社は2024年第2四半期(Q2)の財務証明書で、同社は今年上半期の純利益が史上最高の52億ドルに達したと報告した。

2024年Q2(4月〜6月)に同社は、純営業利益で過去最高の13億ドル(1,855億円)を達成し、Q1の好調な実績と相まって、上半期の純利益が過去最高の52億ドル(約7,420億円)となった。

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テザー社の2023年の収益は62億ドル(約8,837億円)で、世界的な大手投資会社ブラックロックの同年の収益55億ドル(約7,839億円)を上回った。ブラックロックの従業員が2万人であるのに対し、テザー社は100人であることから、テザー社の一人当たりの収益性が非常に高いことがわかる。

純資産の増加と米国債の保有

また、テザーグループ全体の純資産は、前四半期から5億2,000万ドル(741億円)増加し、119億ドル(約1兆6,962億円)となった。

テザーグループは、BTCの保有量を着実に積み上げており、現在7万5,354BTCを保有している。

Q2には、ビットコイン価格の下落によって、未実現損益が6億5,300万ドル(約930億円)のマイナスとなったが、保有する金(ゴールド)の好調なパフォーマンス(未実現損益:+1億6,500万ドル=約235億円)により、部分的に相殺されたという。

しかし、テザー社の好調な財務状況に最も貢献しているのは、USDTの準備金として保有する資産の約8割を占める米国債から発生する収益だ。

Q2には、同社が直接/間接的に保有する米国債は、過去最高の976億ドル(約13.9兆円)。テザー社は、ドイツ、アラブ首長国連邦、オーストラリアを上回り、世界の米国債保有ランキングで18位になったという。

さらに3ヶ月間の米国債の購入量では、イギリスとケイマン諸島に次いで3位にランクイン。USDTの採用拡大を考慮すると、来年には1位になる可能性があるとテザー社は述べた。

余剰準備金と投資

財務証明報告によると、2024年6月30日現在、準備金として保有する資産価値は、流通しているUSDTの負債を大きく上回っており、余剰準備金は53億3,000万ドル(7,597億円)となっている。

テザー社のパオロ・アンドイノ最高経営責任者は、この余剰準備金を株主への配当として分配する選択肢もあったが、同社の経営陣と株主は、「世界で銀行口座を持たない人々に対し金融サービスへのアクセスを構築する」という同社の信条に従うことを選択したと述べた。

テザーグループはまた、ステーブルコインの準備金以外に、約65億6,000万ドル(9,350億円)の投資ポートフォリオを積み上げてきたと発表。この資本は従来のベンチャーキャピタルファンドとしては管理されておらず、同社が掲げる基本的な使命に沿った企業や技術に投資するとアンドイノ氏は強調した。

仲介者を排除し、独立のため、回復力のため、未来のため、そして大災害に備えるために構築する

アンドイノ氏は最近発表された最大の投資先として、以下の二つをあげた。

  • 人工知能分野:Northern Data Group:AIインフラへの公平なアクセスの構築
  • バイオテクノロジー分野:Blackrock Neurotech:麻痺や機能喪失、神経障害を助けるための脳チップ開発

テザー社の再編

テザー社は今年4月、ステーブルコインの枠を超え、より包括的で幅広いインフラ・ソリューションを提供していくために、事業部門の再編計画を発表した。

同社の事業を金融、データ、電力、教育の4つの部門に分割。それぞれ金融インフラ、テクノロジー、ビットコインマイニング、デジタル教育への戦略的投資を行う。

アンドイノ氏は、テザー社が目覚ましい成長を遂げ「ほとんど想像もつかないような新たなレベルに到達したと実感している」という。

今がテザー社にとって「100年に一度のチャンス」であり、「想像力で夢見ることができるすべてを構築する立場にあることに気づき、大変謙虚な気持ちになっている」と総括した。

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