半導体大手Intel、仮想通貨ビットコインの省エネマイニング技術特許取得|低迷中のマイニング産業の起爆剤となるか

半導体大手Intel、省エネマイニング技術特許取得
米大手半導体メーカーIntelが、エネルギー効率の良い高性能ビットコイン・マイニング・プロセッサー「Bitcoin Mining Hardware Accelerator」の特許を取得した。同社は消費電力を減らす技術によってマイニングコストの引き下げを狙っており、低迷中のマイニング産業にとっては大きな起爆剤となる可能性を秘めている。

半導体大手Intel、省エネマイニング技術特許取得

米国特許商標庁の特許申請書によると、米大手半導体メーカーIntel(インテル)は11月27日、エネルギー効率の良い高性能ビットコイン・マイニング・プロセッサー「Bitcoin Mining Hardware Accelerator」の特許 を取得した。

同社は消費電力を減らす技術によってマイニングコストの引き下げを狙っており、低迷中のマイニング産業にとっては大きな起爆剤となる可能性を秘めているとされている。

消費電力を15%カット

以前、Intelが2016年9月、米国特許商標庁(USPTO)に提出し、翌年3月に公開された特許申請書によると、ビットコイン・マイニングで利用されているソフトウェアとハ​​ードウェアは、SHA-256と呼ばれるハッシュ関数の演算を無限に繰り返しているため、マイニングのプロセスには大量の電力とハードウェアを置くためのスペースが必要となると記載されていた。

そこで、Intelの特許技術はハードウェアを置くためのスペースと消費電力を削減し、ビットコイン・マイニングのオペレーションを最適化するという試みという。

電力消費の削減について、特許申請書から、以下のように取り上げる。

専用のビットコイン・マイニングASICは、毎秒何千ものハッシュのパフォーマンスを実現する目的で複数のSHA-256エンジンを実装しており、200ワット以上の電力を消費する。(「IntelのAccelerator」は)ビットコイン・マイニング計算の際、特定のパラメーターを含むマイクロ・アーキテクチャー的な最適化を可能にする

そして、パラメータをハードワイヤーで行うと、必要とされる計算量が減り、「Accelerator」の実装によって、チップに必要な電力量を15%削減すると推定されてる。

Intelは「Accelerator」のコンセプトがASICに限らず、他のプロセッサーやSoC、FPGAプラットフォームなどを含む様々なロジックデバイスにも適用可能である点を示唆している。「Accelerator」をマイニング産業へのゲートウェイとし、同社がその可能性を探索、拡大していく展開は十分に考えられる。

Intelのマイニング、ブロックチェーンへの関心

複数のメディアによると、Intelのマイニング事業参入の可能性は数年前から浮上していた。

同社は2015年、PCを含む自社製品にマイニングチップを組み込むという構想のもと、21Incという米シリコンバレーのスタートアップに接触。実際にチップを開発したものの、自社製品への採用は実現しなかった。

また、IntelはEnterprise Ethereum Alliance(著名ブロックチェーン業界団体)に資金を提供しているほか、ブロックチェーンスタートアップのR3やHyperledgerに参加するなどブロックチェーン技術の研究・開発に積極的に取り組んでいる企業のひとつであることを考慮すると、マイニング産業に秘められた可能性に着眼したのもごく自然な流れと言えるだろう。

ビットコイン価格下落がマイニング産業にも影響

ビットコイン価格は26日、年初来安値更新後に急反発を見せるも、依然厳しい状況が続いている。損益分岐点が危ぶまれる仮想通貨マイニング事業に関して、ビットコインのトップ3マイニングプールのうちの1社が現状を語った。

9月中旬からのビットコイン価格下落の影響か、稼働しているマイナーの数は減少傾向にあり、その結果ハッシュレートが縮小していると指摘されている。

また、中国の大手マイニングプールF2Poolの創設者Mao Shixing氏は、稼働を停止しているマイニングマシンは旧モデルであるため、損失の拡大が原因ではないかとCoindeskの取材で指摘しており、特に2016~17年に生産されたマシンは電気能率が悪く、冬場の中国における電気料金の倍増などが背景にある模様だ。

「マイニングの民主化」を促進する動き

消費電力をカットし、マイニングを分散化・民主化するという動きは他でもみられる。直近では、米大手仮想通貨取引所Coinbaseなどが出資するロサンゼルスのスタートアップCoinmineは、120ワットというプレステ3並みの電力消費量でマイニング可能なマイニングマシンを開発。Asicのイーサ・マイナーE3の6分の1以下の電力使用量だという。

米大手仮想通貨取引所Coinbaseなどからベンチャー出資を受けているCoinmine社が自宅でも手軽に採掘できる新種のマイニングマシンを発表。消費電力がプレステ3と同等であることが注目される。

また、米バージニア州に拠点を置くIntelのパートナー企業Velocity Microのランディ・コープランド社長は、CRNの取材で「accelerator」がマイニング市場を活性化させる可能性について以下のようにコメントしている。

Intelの技術が実用化されれば、マイニングで再び利益を上げることが可能になるだろう。そうすれば電力コストも平均水準に戻り、より多くの人々がマイニングに参加するようになると考えられる。

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