欧州議会、「ブロックチェーン:先進的な貿易政策」決議を採択
- 欧州議会が「ブロックチェーン:先進的な貿易政策」決議を採択
- 欧州議会は、ブロックチェーンが貿易過程をよりスムーズかつ透明性を高める技術であり、EUとそのパートナー諸国間の貿易活性化を促すとし、貿易とビジネスにおけるブロックチェーンの採用の促進に動き出した。
EU:ブロックチェーンによって自由貿易協定のさらなる活用を目指す
欧州議会(EP)は12月13日、「ブロックチェーン:先進的な貿易政策」という決議 を採択し、新技術が自由貿易と相互承認協定を含むEU貿易政策をどの様に促進していくか明らかにした。
この決議の中で、ブロックチェーン技術のメリットとして下記の項目を挙げた。
- サプライチェーンの透明性を高める
- 貿易プロセスを合理化する
- コストを削減する
- 脱税などの不正・腐敗行為を発見する事ができる
- データの安全性を向上させる
しかし上記のメリット以外にも、サイバーセキュリティという重要な課題が懸念点であるとも付け加えられている。
また、これまでの成功事例があったものの、EUの自由貿易協定が未だ十分に活用されていないこと明らかにし、現在のところ平均して67%の輸出者と90%の輸入者のみが、EUとそのパートナー諸国において特恵関税を利用している、と述べ、ブロックチェーン技術によってこの状況が変わる可能性があると期待感を見せている。
将来の貿易促進にブロックチェーン技術が期待される
さらに議会は、上記貿易範疇におけるブロックチェーンの利用に関して、以下2点を最重要視している格好だ。
EU貿易政策適応プロセスの効率化について
ブロックチェーン技術を利用することで、コンプライアンスに関連する文書などのすべての文書を、特恵関税の適用を受けるために1か所にアップロードすることができる。関係当局はこれらの輸出入の当事者からの情報を自動的に取得し、検証プロセスや取引プロセスを改善することもできると期待されている。
中小企業のビジネスプロセスの円滑化について
貿易・ビジネス当事者間のコミュニケーション改善、安全な支払い、スマートコントラクトを介したビジネス簡素化によって、中小企業もブロックチェーンの恩恵を受ける可能性があると述べた。
EU、今後の動き
欧州議会は、ブロックチェーン間の取引を円滑にし、サプライチェーンプロセスをより円滑にする為に「グローバル相互運用性基準」を策定する必要性を主張した。
なお、現在進行中のグローバルサプライチェーンのパイロット(試作)プロジェクトを追跡し、ブロックチェーンが国際貿易に適用されるための規則を草案し、貿易総局内にブロックチェーン関連の諮問委員会を設立するよう要請した。
最後に、欧州議会は、EUが今後ブロックチェーン技術の開発において中心的な役割を担っていくとし、次の様に主張した。
EUにとって、ブロックチェーンと国際貿易の分野で主要な役割を担うチャンスである。EUは国際パートナーと共にその開発をグローバルに展開する上で影響力のある役割を担う必要がある。
今回の文書は、EU地域におけるブロックチェーン採用への積極的な進展を示す最新の決議であるとされている。
また、今月初めには、南ヨーロッパ7州(フランス、イタリア、スペイン、マルタ、キプロス、ポルトガル、スペイン)は、経済変革に向けたブロックチェーンの使用を促進する共同宣言に署名している。 また、リップル、ネムなどのブロックチェーン4社共同でBlockchain for Europeというブロックチェーン・分散型台帳技術(DLT)促進団体を設立し、ヨーロッパでのロビー活動を目的にするなど、ヨーロッパでのブロックチェーン技術の促進を促す動きが活発化している。
今後も、欧州地域におけるブロックチェーン・仮想通貨の動向から目を離せないだろう。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します