仮想通貨イーサリアム、2018年の下落要因|投資企業創業者が分析
- イーサ(ETH)の価格下落はICOとdAppsの不調にあり:それでも上昇要因は多数
- イーサリアムの価格下落の要因はICOの衰退と、dApps(分散型アプリ)プロジェクトの実用化がなかなか進まないことにあるという投資企業創業者の見解が示された。一方で、ブロックチェーン技術開発において先駆的な役割を果たしていることで知られるConsenSys社のレポートでは、イーサリアムのエコシステムは強固であり、今後の発展が認められるとしている。
イーサリアム:暴落でも将来は明るい
投資会社Aike Capitalの創業者で、仮想通貨にも詳しい経済学者のアレックス・クルーガー氏が、2018年のイーサリアム(以下ETH)の下落相場についてSNSにて語った。
「ETHは82ドル(≒9,300円、日本時間土曜日の価格水準)まで下落した。これは2018年1月の高値から94%の下落となった」と下落の幅を示し、同氏、ETHの価格下落の原因をICOとdAppsの不調という2つの要素に分けて分析した。
そして、イーサリアムには以下二つの面がある
- ICOを行うためのプラットフォーム
- dApps(分散型アプリ)の生態系を作るためのプラットフォーム
コインポストはその順を追って、以下の様にまとめている。
ETH下落の原因その1:ICOの低迷
クルーガー氏は、まずICOについては「半死半生の状態にある」という認識を示し、それが右肩下がりの相場における大きな原因となっているとの見解を示した。
特に2017年に活発だったICOについて、クルーガー氏は「詐欺同然」のものが多かったとして、それが更に多くのお金を引き付けていたと解説する。
SEC(米国証券取引委員会)は以前から不正ICOに対して、取り締まりを行なっている。
そしてイーサをICOの資金調達対象とした多くのICOプロジェクトは、好き放題のようにトークンを発行・販売し、しかも実際のところ、その多くの案件(事業リスクも含む)は途中で終了していると指摘。
つまり、未熟・詐欺まがいのICOは投資家から集めたETHの価値を損なっていることとなると考えられる。
原因その2:dAppsプロジェクトの不調
続けて、クルーガー氏は、dApps(分散化アプリ)関連の数多くのイーサリアム基盤のICOプロジェクトがいまだに成果を上げておらず、それがますますETH価格の低迷を招いていると分析する。
上図が示す様に、ICOや、スマートコントラクトから稼働可能となるdAppsに成功したケースはわずかに過ぎず、「実際2016年から徐々に人気になり始めたICOは、ここ2年間ユーザーがそれほど集まってはいない」とクルーガー氏が発言した。
もしもdAppsに利用者がより多くついていれば、アプリ内で使われるイーサ(ETH)にも価値がついて、値上がりにつながっていただろうというのがクルーガー氏の分析だ。 こうした分析を踏まえて、クルーガー氏は現在のイーサ(ETH)の価格は必ずしも「安すぎる」水準とは限らないと述べた。
ETHの価格は必ずしも安すぎるとは限らないという点に注意してほしい。今のETHは2016年12月の10倍の水準だ。
仮想通貨以外で、2年の間に900%値上がりする資産があるだろうか?
強気の分析も:ConsenSys社レポート
クルーガー氏は価格についてやや批判的な分析をしているが、一方では強気な予想をしている分析も見られる。
ヴィタリック・ブテリン氏とともにイーサリアムの共同創業者として知られるジョセフ・ルービン氏が立ち上げた会社であり、イーサリアム上でブロックチェーンを活用したdAppsやDLT開発のコンサルタント企業ConsenSysが先日公開したレポート では、「イーサリアムのエコシステムは強固であり、今後の発展が認められる」としており、特に、取引量、開発者の活動、マイナーの活動、エコシステムの拡大等のデータが、イーサリアムの堅実な発展を表していると見ている。
取引量
ETHの取引量は確実に増えている格好だ。この半年の間に、アドレス数は3500万アドレスから4900万アドレスへと、約1.5倍になっている。
開発者の増加
イーサリアムのブロックチェーン上で活動する開発者の増加も注目に値する。ConsenSys社のレポートでは、dAppsを開発しやすくするツールであるTruffle等のユーザー数が大きく増加していることが分かる。
マイナーへの報酬
マイナーへの報酬はここ1年の間、ほぼ安定している。逆に言えば、報酬が変わらない中でもずっと安定してブロックチェーンが維持されてきたわけであり、その分マイナーたちのイーサリアムへの信頼は強いと考えられる。
エコシステムの拡大
開発者、マイナーだけではなく一般の人々もイーサリアムのエコシステムを支えている。そして人々のイーサリアムへの関心は高まる様だ。
また、2017年まで盛んだったICOが下火になるにつれ、却ってベンチャーキャピタルのような従来型の投資家がイーサリアム関連への投資に関与する道が開かれたようにも見える。
イーサリアム、今後の展望
上記の様な状況を踏まえ、ConsenSys社はイーサリアムは強固であり、多様であり、成長を続けていくだろうと結論付けている。
様々な観測が飛び交うイーサリアムの評価だが、まだまだ投資家、技術者の関心を引き付けてやまないと言っていいだろう。
さらに、延期されていたイーサリアムの極めて重要あ大型アップグレード【コンスタンティノープル】の実施予定日が先日、合意され、予定日は2019年1月16日水曜日、と決定されたため、今後ともイーサリアムの進捗状況について、まだまだ目が離せない。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します