金融庁、仮想通貨交換業者を含む金融機関にマネロン対策で報告命令|取引のある海外取引所の詳細も=ロイターが報道
- 金融庁が仮想通貨交換業者を含む金融機関にマネロン対策で報告を命じる
- 金融庁が、仮想通貨交換業者を含む金融機関に対して、マネロン対策で報告命令を行なったことが、ロイターの報道で明らかになった。報告内容には取引のある海外取引所の詳細なども含まれ、より厳しい内容になる模様だ。
金融庁が仮想通貨交換業者を含む金融機関にマネロン対策で報告を命じる
金融庁が、銀行など預金を取り扱う金融機関や仮想通貨交換業者など全ての金融機関に対して、マネーロンダリング・テロ資金供与防止のため、体制整備状況や関連データを報告する事を命じていることがわかった。報告命令自体は、昨年12月に出ていたという。
ロイターが複数の関係者の証言とした上で報道した。
金融活動作業部会(FATF)の第4次対日相互審査を今年10月29日に控え、マネーロンダリングに対する体制整備が遅れている仮想通貨交換業者などへ、早期の改善を促す方針だ。
マネーロンダリング対策を国際的に推進する「政府間会合金融活動作業部会」であるFATFの審査に対して、法制度が十分に行き届いていないとの懸念は、これまで日本政府や金融業界で問題視されていた。
日本で、前回(2008年)行われた第3次審査では、FATFが必要とする水準をクリアできず、14年のFATFの声明にて、名指しで指名された。当時問題視されていた内容は、公的地位を要する要人(PEPs)への扱いだが、今回のFATFの来日を控え、状況は更に厳しくなることが予想されている。
大きな要因の一つとして挙げられる仮想通貨の普及は、国内外の資金の流入が把握しづらくなった部分が新たに作り出した事で、マネーロンダリング対策を取り巻く日本の環境に大きな変化をもたらしたことも指摘されている。
仮想通貨とマネロン対策
仮想通貨のマネロン対策に関しては、金融庁によって仮想通貨交換業者への「業務改善命令」でも、現状不十分だとして厳しく指摘されているほか、12月初頭に開催された「G20会議」でも題目として取りあげられていた。資金洗浄と租税回避を目的とする仮想通貨の利用を取り締まる国際案の確立を2020年までに目指す事が発表されている状況だ。
実際に、仮想通貨取引所によるマネーロンダリング(資金洗浄)などの疑いがあるとして届け出た取引が、2018年1~10月に計5944件(17年の4月〜12月は669件)に上ったことが公表されており、警察庁も資金洗浄に関する動きをまとめた「犯罪収益移転危険度調査書」を公表している。
また、28年調査書では、危険性の認められる商品・サービスに「仮想通貨交換業者が取り扱う仮想通貨」が追加されており、マネーロンダリングに直接的に関わる匿名性の高い通貨を日本で取り扱わない方針を固めている。
報告を求めている内容
今回の報道に寄って明らかになった、仮想通貨取引所に対して報告を求めている内容は、以下の通りだ。
- 法人・個人の口座数
- 顧客の法定通貨、仮想通貨の額
- 匿名性の高い仮想通貨を保有する顧客の口座数や資産額の情報
- 取引のある海外取引所の詳細
- ミキサーやタンブラーを使う顧客の推移
注目点は、取引のある海外取引所に関する内容の提出を求めたことで、国際的な仮想通貨ネットワークの把握に注力する点が示唆された点だ。
これまでトラッキング(追跡)困難だとされていた「ミキサー」や「タンブラー」を利用した顧客の推移についても、報告が求められることになる。
ミキサーが指すミキシングは、仮想通貨の匿名性を高める技術で、複数の取引を第三者が混ぜた(ミックス)上で、送金することで保有者が特定できなくする。この技術を利用すると、ビットコインのように公開されたブロックチェーンデータでも、取引者の追跡が困難になるため、匿名性のないビットコイントランザクションに匿名性を持たせることができる。
要するに、マネー・ロンダリングの温床になりやすいサービスであり、国際的なマネロン対策の厳格化を受け、仮想通貨交換業者に情報提供を要求することが判明した形だ。
仮想通貨に関する「税徴収」の強化も含め、仮想通貨をトラッキングする仕組みや制度化に、より注力している状況が鮮明になってきたと言える。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します