仮想通貨「dApps市場」の2018年売上高が7300億円到達、App Store初年度の売り上げを上回る

dApps市場の2018年売上高がApp Store初年度を超える
親和性の高いゲームジャンルやDEXに加え、EOSやTRONチェーンを使用したdApps市場も急成長を遂げており、業界に詳しい関係者によると、2017年から”パラダイムシフト”が起きているという。

dApps市場の2018年売上高がApp Store初年度を超える

2018年は、金融市場でも類を見ない”下落トレンド”を記録した仮想通貨相場と逆行するようにして、dApps業界が繁栄を遂げていることが、Dapp.comの調査で明らかになった。

課金の仕組みなど性質が異なるので単純比較はできないが、この数値は、10年前(2009年)にiPhoneアプリ市場である「App Store」が記録した、年間売上高4600億円を37%上回るという。

「App Store」は、スマートフォン及びiPhoneの普及に伴い、2018年第3四半期だけで120億ドル(1.3兆円)の収益を上げる巨大マーケットにまで成長した。

「State of the Dapps」の調査によると、分散型アプリケーションには、現時点で2,400を超えるdAppsが存在。約56,000人のデイリーアクティブユーザーを擁し、24時間の取引高は1570万ドル(17億円)に上る。

日本も例外ではなく、国産dAppsとしては、ブロックチェーンゲームの「マイクリプトヒーローズ」が急進しており、ローンチ2ヶ月目にして、世界的に人気を博すEOSやSteemのNo.1ゲームのアクティブユーザー数を超えることもしばしばだ。

出典:stateofthedapps

ゲーム内で育成されたレアアイテムが、ゲーム内資産の国際売買所である「OpenSea」にて、10倍以上に高騰して取引されることもザラにあるなど、その勢いは留まるところを知らない。

EOSやTRONのdApps市場も急成長

EOSやTRONにおけるブロックチェーンの「キラーアプリ」としては、スポーツ賭博などのギャンブル分野が急成長しており、第4四半期の総取引量は約30億ドル(3300億円)で、2018年の総取引量の約44%に達する。

TRONは、dapp分野で最も意欲的で、2018年7月には、世界最大の分散型ネットワーク「BitTorrent」を買収するなど、世界をリードするパブリックチェーンの1つだ。

dAppsエコシステム(生態系)を促進するため、米サンフランシスコにブロックチェーンゲーム基金「TRON Arcade」を設立、3年以内に1億ドル(110億円)を費やす予定としており、さらなる発展が期待される。

トロンは、米サンフランシスコにブロックチェーンゲーム基金「TRON Arcade」を設立、今後3年間で最大1億ドルを投資し、強固なブロックチェーンゲーム・エコシステムを構築すると発表した。

dApps最大勢力は、ゲーム内アイテムなどNFT(ノンファンジブルトークン)の仕組みとシナジーの強い「ブロックチェーンゲーム」で、全体の35%を占めており、ソーシャル分野(20%)やギャンブル分野(20%)がこれに続く。

時価総額3位のメジャーアルトしても有名なイーサリアム(ETH)は、先行者利益もあるため、総アカウント数やdAppsユーザー数では市場を支配しているが、処理能力の低さなど、慢性化する「スケーラビティ(キャパシティ)問題」に足を引っ張られ、重くなるとユーザーエクスペリエンス(操作などのゲーム性)を大きく損なうため、トランザクション数は相対的に低調だ。

取引承認のために、マイナーに支払う「GAS代」が必要な唯一のdAppsチェーンであり、この仕組みも普及を妨げている。

最近特に勢いを増しているブロックチェーンの1つに「Steem」が存在し、アカウント全体の半数近くに上る約44%がdAppsユーザーだ。これは、イーサリアムアカウント数比の2%、EOSアカウント数比の27%を大きく上回る。

イーサリアムブロックチェーンと異なり、Steemチェーンのスピードの速さと手数料不要な仕様も追い風となっており、Steem上でブログやソーシャル・ネットワークを展開するソーシャルニュースサービスで、5500人以上のユーザーを抱える「Steemit」のようなソーシャルdAppsの特典と関係している可能性もある。

「Steemit」は、ブロックチェーンを用いることで、広告に依存しない収益モデルを作り出すことで、有益な記事を書いた人に還元される仕組みが好評を博しており、「State of the Dapps」で3位にランクされている「Steem Monsters」は、コレクティブル要素のあるデジタルカードゲームとして、支持を集めているようだ。

パラダイムシフト

業界に詳しい関係者によると、すでに2017年から、同分野に対する”パラダイムシフト”が起きているという。パラダイムシフトとは、これまで当たり前とされてきた価値観が激変することだ。

2017年は、大半が開発者個人によるdAppsの構築だったが。2018年終盤には、「大企業および上場企業が、ブロックチェーン上に顧客向けのdApps製品を構築し始めた」という。

このように、仮想通貨市場全体が下落トレンドにある中、新しい投資先として注目される「ブロックチェーンゲーム」を筆頭に、dApps市場は右肩上がりの発展を見せている。この勢いが衰えずに市場規模が拡大していった場合、今後、dApps関連銘柄の価格形成にも好影響を与える可能性は十分にある。

CoinPostのLINE@

スマートフォンへの「プッシュ通知」で、相場に影響を及ぼす重要ニュースをいち早く知らせてくれる「LINE@」の登録はこちら。大好評につき、登録者11,000名突破。

CoinPostの関連記事

国内最大手ゲームメーカーがブロックチェーンに高い関心を示していることがわかった。ブロックチェーンゲーム参入が実現すれば、dApps領域と親和性の高い通貨に巨大な実需が生まれるため、日本の仮想通貨市場にとって大きな追い風となるだろう。
日本発のブロックチェーンゲーム「My Crypto Heroes」が業界初となるテレビCMを放送することが公式プレスリリースより明らかになった。地上波での放送のほか、インターネットユーザーを抱えるAbema TV上でのCM放送を予定している。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

コメントしてBTCを貰おう 新着ニュースをチェック

速報

新着記事

人気記事ランキング