ビットコイン軟調も、今注目しておきたい仮想通貨5選(XRP,LTC,TRX,GRIN,BEAM)|その理由から懸念点まで解説
- 今把握しておきたい注目アルトコイン5選
- 仮想通貨市場の低迷は1年以上にも及び、投資家の関心は薄れつつあるものの、注目度が上昇しているアルトコインが複数ある。今回はニュース配信の中でみられた注目の動きと、海外コミュニティによる注目度を合わせた形で、現在注目したいアルトコインを5つピックアップする。
今だからこそみる注目アルトコイン5選
仮想通貨市場の価格低迷は1年を超え、ビットコインは最高値から80%安、アルトコインは軒並み90%を超える下落を記録している状況だ。
直近では、アルトコインバブル時代を支えた海外仮想通貨取引所Liquiが流動性欠如を理由に取引所を閉鎖、アルトコインやICO、草コインといったジャンルに淘汰の波が押し寄せる。
金融マーケット全体の地合いの悪さが仮想通貨市場にも波及する中で、好材料や注目度が価格に反映されるのは厳しいと言わざるを得ないが、今後の相場を見る上でも、現在アルトコイン市場の中で見られる注目の動きはチェックしておきたい。
今回は、ニュース配信で見られた動きと、海外コミュニティの関心度を合わせた形で、特に注目されるアルトコイン5つをピックアップする。
XRP(リップル)
仮想通貨XRPは、XRPLedgerのネイティブトークンで、リップル社が提供している送金ソリューションの一つ「xRapid」でも利用される。XRPを法定通貨などのブリッジ通貨として機能させることで、従来の国際送金コストを大幅に低減させる仕組みとして注目を集めている。
注目点
- RippleNetの利用企業が200社超え=記事
- xCurrentからxRapidにシームレスな接続が可能に=記事
- xRapidの利用企業も増加傾向=記事
- xRapidを利用した100万ドルを超える送金テスト予定=記事
(※詳しい内容は記事を参照)
まず、2018年に入り、大きく状況が動いたのは、xRapidの採用率増加だ。
これまで仮想通貨を利用した送金ソリューションとして発表されたxRapidは、その注目度の反面、利用を表明する企業は少なく、RippleNetに加盟する企業、特に銀行はRipple社のxCurrentの利用を目的としている動きがメインであった。
しかし、2018年に入り、Ripple社がxCurrent4.0を発表、xRapidへのシームレスな接続を可能にしたことで、xCurrent採用企業もxRapidを選択肢に入れやすい環境を整え、2019年1月に発表されたRippleNet新規加盟企業13社のうち、5社がxRapidの利用も行う方針を固めていることが明らかになった。
銀行初のxRapidの採用事例も
特筆すべきは5社の1社が、ロンドンとカリブ海セントルシアに拠点を置くEuro Exim Bankであった点で、銀行では初めてのxRapid採用事例も出てきている。(これまでは国際送金会社がメイン)
また、大きなコストカットができると期待されているxRapidではあるものの、大きな金額送金テストの公開は行われてこなかったが、この度、英Mercury FXが「xRapid」での数百万ドルの送金実験を予定していることを発表。この大口送金でのコストカット実績が公開されれば、同プロダクトの採用にも大きな後押しになるとの期待感が高まっている。
懸念点
懸念点として挙がるのは、世界的にも基準となる米国における仮想通貨の明確な分類(法による)だ。要するに、現在話題となる「有価証券問題」の動きのことを指している。
上述したように、すでに銀行の採用事例が確認されているxRapidではあるものの、やはり米国内における有価証券問題は避けては通れない。
問題として、有価証券に該当するかという以前に、米国内における明確な分類が明かされていない状況(現状ではBTCとETHのみ発表されている)であり、企業、特に銀行が法令遵守した形での採用の障壁担っている可能性は否めない状況だ。
Ripple社CEOの発言をまず抜粋すると、米12月18日に行われた社内AMA質疑応答で「リップル社が倒産しても、XRPは変わらず世界中の取引所で取引は依然と可能であり、リップル社がXRPエコシステムの一部でしかない」と発言した上で、XRP及びその他仮想通貨を「デジタル・アセット」とみなし、懸念されているXRPの有価証券問題に対して、複数の理由からXRPが証券でないことは明白であると回答している。
裁判への発展も
ただ、米国における明確な発表が行われる必要とされている状況であり、これらの動きを見る上で注目したい点もある。
例えば先日、仮想通貨の有価証券問題を巡り米SECと初の裁判に発展する可能性が浮上したことが、人気メッセージアプリ「Kik」を提供するKik社の声明により明らかになった。
現在SECによる有価証券問題の発展はない状況ではあるが、仮に裁判に発展した後、勝訴した場合、ICOプロジェクト(大枠ではアルトコイン全般)における有価証券性の議論に一つの指標ができ、仮想通貨を利用したプロダクトアダプション(採用)状況が大きく変わる可能性がある。
直接的にはXRPに関係する動きではないが、間接的には極めて重要な動きになるため、この裁判の動きには注目したい。
ライトコイン(LTC)
また、最近再び注目を集めているのが、仮想通貨ライトコイン(LTC)だ。
仮想通貨の「ゴールド」であるビットコインを価値の保存とするならば、ライトコインは仮想通貨の「シルバー」、または流動性の高い銀のような通貨としての役割に重きを置いているのがライトコインである。
仮想通貨初期の2013年に登場したライトコインは元グーグルの創設者チャーリー・リー氏が開発して以来、淘汰を繰り返した仮想通貨市場の中でも根強く利用され続けている。
注目点
- ロゴデザインのリニューアル
- 匿名取引機能追加
- 今年8月に迫るLTC報酬半減期
ロゴのリニューアル
ライトコイン財団は先週、公式ブログを通じてライトコインのロゴデザインを一新する方針を発表している。
デザインリニューアルが材料となったのか、ライトコインはこの発表前後から底値切り上げの上昇チャネルを築き、出来高も上昇傾向になっていた。
またこのロゴ更新に伴い、仮想通貨価格比較サイトのCoinMarketCapでも新たなロゴが表示されている。
匿名取引機能の追加
そのほか、デザイン面以外でも、ライトコインの開発者であるチャーリー・リー氏がライトコインにモネロ(XMR)やジーキャッシュ(ZCH)で活用されている匿名取引(Confidential Transaction)機能を今年中に追加する方針を掲げ、語っている。
新たに追加されるものは、完全な匿名取引機能ではなく、取引先に対して自分の残高が見えなくする機能などで、個人や事業のプライバシー及びセキュリティを守ることが主な目的だとリー氏は強調している。
またこれはオプショナルな機能である為、万が一規制当局が取引履歴を確認する必要がある場合はブロックチェーン上でデータが可視化される仕組みとなっている。
200日を切ったLTCの半減期
また仮想通貨ライトコインはこの他にも第2回目となるマイニング報酬の「半減期」を8月に控えている。
ライトコインの半減期は、LTCブロック数が8400万に到達する時(逆算で日本時間およそ8月8日前後:ブロック進行によって変化)に、現在の25LTCから半分の12.5LTCとなる予定だ。
半減期はマイニング報酬が下がるものの、通貨の発行数が半減するため、需要と供給の関係性により価値の一定化が図られる。
また、仮想通貨が半減期を迎える際は、それ以降の市場供給量が減少することを見越した長期投資ファンダと見られる観点から、半減期直前に対象となる通貨価格の上昇傾向が多く見られている。
ライトコインの半減期の詳しい情報とカウントダウンはこちらから。
懸念点
匿名取引機能の追加は個人セキュリティを向上させる反面、懸念点も皆無ではない。ライトコイン財団はCT機能追加のリスクとして以下の項目を挙げている。
- バンド幅の上昇
- アウトプット値:8バイトから33バイトへの上昇
- UTXOの増加
- 取引手数料の増加
- 量子コンピュータの悪用で通貨の独自発行が可能となる点
このような懸念があるが、最後の「量子コンピュータの悪用」については将来的にソフトフォーク(アップデート)を行えば量子コンピュータに耐えられるアルゴリズムへの移行が可能であるとLitecoin.comは期待感を示している。
またチャーリー・リー氏はライトコインで匿名取引機能の追加が成功すれば、その後ビットコイン開発者にも新たな追加機能として提案できると期待感を示している。
Tron(トロン)
3つ目の注目通貨として挙げるのは、Tronだ。ブロックチェーン技術と分散型アプリケーションを通じて、インターネットの分散化促進に専念しているプロジェクトで、現在ではすでに時価総額8位にまで浮上している。
注目点
- dApps分野で頭角を表す=記事
- 世界最大の分散型ネットワーク「BitTorrent」を買収=https://coinpost.jp/?p=44515
- 仮想マシン「TRON Virtual Machine(TVM)」をリリース
- BitTorrentのICOセールが15分以下で完売 ICO下火の時期では異例=記事
- バイナンスの査定クリアした新仮想通貨BTT、総流通量約20%をトロン(TRX)保有者にエアドロップ(無料配布)へ=記事
Tronは、ここにきて注目度を大きく集めているプロジェクトのひとつだ。
BitTorrentによるTronのエアードロップなどは、マーケティング戦略となり得るが、バイナンスのローンチパッドで行なったICOが大きな成功を収めたことを鑑みると、エアードロップ目的の買い要因になる可能性は十分に考えられる。(トークン配布目的)
また、最も注目したい点は、dAppsにおけるTronブロックチェーンの台頭で、「キラーアプリ」として、スポーツ賭博などギャンブル分野での成長がみられており、第4四半期の総取引量は約30億ドル(3300億円)に到達、2018年の総取引量の約44%を占めたことが明らかになっている。
dAppsエコシステムを促進するために、米サンフランシスコにブロックチェーンゲーム基金「TRON Arcade」を設立、3年以内に1億ドル(110億円)を費やす予定としており、さらなる発展が期待されている。
MimbleWimble(ミンブルウィンブル)プロトコルのBeamとGrin
MimbleWimbleプロトコルを実装した初プロジェクトとして、Beamは1月3日、Grinは1月15日にメインネットのローンチに至った。
期待されている理由として、プライバシー性を保ちながら、MoneroやZcashなどのような既存の匿名通貨を超えるレベルのスケーラビリティを実装した通貨が誕生したことが挙げられる。
注目点
MWプロトコルには、ウォレットアドレスが存在せず、送金する際の枚数情報もノードに送られない。すべての取引がデフォルトで匿名となる。
Grin(GRIN)の概要
- 発行上限枚数なし(1ブロック60GRINリリース)
- 使用用途:日常的に使用される通貨を目指す
- Zcashはマイニング報酬の一部が運営に配られるが、Moneroと同様、ファウンダー(創業者)報酬の制度がない(非中央集権性の利点)
- Moneroと同様、開発主導の企業は存在せず、技術コミュニティによって開発が進められている
- コミュニティによって開発が進められているため、企業のようなスピードは維持できず、開発速度は多少遅い
Beam(BEAM)の概要
- 発行上限枚数は約2億6300万枚(半減期あり)
- ビットコインのような価値保存としての通貨
- リップル社のような企業主体で、Beamプロジェクトを進めている
- Zcashと同じtreasuryモデルを採用しているため、5年間でマイニング報酬の一部がチームや投資家に割り当てられる仕組み
MimbleWimbleプロトコルは、イーサリアムやZcashなど、他通貨の開発者・創設者などからも高い評価を得ている。
イーサリアム創設者ヴィタリック氏も認める
2018年10月にライトコイン(LTC)とMoneroと同様にGrinに期待していることが伺える
Zcash創設者のZooko氏もBeamを紹介
仮想通貨界隈で有名なAndreas M. Antonopoulos氏もYouTubeでMWプロトコルを絶賛
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