仮想通貨の安全性に注力するセキュリティ会社に巨額の出資事例|AML対策を後押しか
- Galaxy Digitalも出資
- Galaxy Digital社を含む複数企業が、ブロックチェーン・仮想通貨専門のセキュリティ企業「CipherTrace」に巨額の資金を出資していたことが明らかとなった。
Galaxy Digitalも巨額出資
ブロックチェーン・仮想通貨専門のセキュリティ企業「CipherTrace」は、ニューヨークでデジタル資産および、ブロックチェーン技術に特化した投資銀行業務を行うGalaxy Digital社や、Aspect Ventures社、Neotribe Ventures社、WestWave Capital社から、1,500万ドル(約16億6,000万円)を調達したことを明らかにした。
CipherTraceは、仮想通貨やブロックチェーン分野を専門に、フォレンジック商品や分析サービスを提供しており、アンチマネーロンダリングや犯罪対策として、すでに政府や規制当局、法執行措置、監査人などで、同社のサービスが利用されている。
ブロックチェーンの分析手法として、匿名性のある資金の流れに関して、数百万に及ぶデータを収集し、それら大量のデータを機械学習で分析し、それら資金が正当な流れなのか、あるいは、犯罪集団などへと流れているのかをトレースしているとのことだ。
CipherTraceのCEOであるDavid Jevans氏は、以下のように語っている。
CipherTraceは、「世界規模にするために、仮想通貨、ブロックチェーンはより高い安全性が必要だ」という我々のビジョンを共有しているトップの投資家達から、資金調達できたことを報告することを、とても誇りに思う。
彼ら投資家は、数十年に渡り、インターネットセキュリティや金融テクノロジーの業界における優良テック系企業に投資を行ってきた。
CipherTraceも、それら成功を収めた企業の仲間入りをするだろう。
Galaxy Digitalの投資部門共同責任者の一人Greg Wasserman氏も、この件について言及した。
Galaxy DigitalはCipherTraceの顧客であり投資家だ。
我々は、CipherTraceがAMLやその他規制などのコンプライアンスやセキュリティを向上させることが、(仮想通貨・ブロックチェーンの)マスアダプションへの一番の鍵になると考えている。
仮想通貨・ブロックチェーン業界において、セキュリティへの関心が日々高まる中、CipherTraceが資金調達に成功した格好となっている。
以前には盗難被害調査も実施
CipherTraceは、今年一月に『仮想通貨AMLレポート 2018』を公開していた。
その報告書で、2018年に起きた仮想通貨の盗難被害が約1,800億円相当に及んでいたことを伝え、そのうちの1,000億円分が仮想通貨取引所やウォレットなど保管および交換サービスから盗まれていたことを明らかにした。
この被害額は2017年の3.6倍以上となり、580億円相当のXEMが不正流出した「コインチェック」事件などがあったことで、日本と韓国の被害額が全体の58%を占めた。
また、レポートの中で、「犯罪者は国際アンチマネーロンダリングと反テロ資金の規制が2020年より有効となる前に、詐欺やハッキングの手段で手に入れた資金を洗浄する必要がある」と指摘している。
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します