FATF民間セクターフォーラム開催、世界の仮想通貨取引所に多大な影響も

FATFの民間セクターフォーラム開催
国際政府間機関FATFの民間セクターフォーラムが、6〜7日にかけて開催される。これを踏まえてFATFは6月、世界各国の仮想通貨取引所にも大きな影響を及ぼす、商業銀行と同水準の規制基準を求める発表を予定している。

FATFの民間セクターフォーラム開催

仮想通貨の法規制等に精通している長瀬弁護士が、FATF(Financial Action Task Force on Money Laundering:金融活動作業部会)のPrivate Sector(民間セクターフォーラム)の開催と、公式声明の影響について言及した。

OECD(経済協力開発機構)加盟国を中心に36か国・地域及び2つの国際機関で構成される「FATF」は、マネー・ローンダリング対策における国際協調を推進するために、1989年に設立された政府間会合である。

2001年の米同時多発テロ発生以降は、マネロンだけでなく、テロ資金供与に関する国際的な対策・協力の推進にも指導的役割を果たしている。

民間セクターフォーラムは、FATFとその加盟国が、マネーロンダリング防止とテロ資金対策(AML / CFT)の問題について民間部門と直接関わる機会であり、昨年はFATFのメンバーおよびオブザーバー対象となる金融セクターから250人を超える代表者が参加した。

FATFの指針草案

FATFは、ガイダンスに基づく勧告、すなわち”国際基準”を適用するため、世界各国に対して暗号資産(仮想通貨)の区分について、以下のように定めている。

  • 資産
  • 収益
  • 資金
  • その他資産
  • その他対応する価値

FATFはその上で、勧告に基づく関連措置を暗号資産および暗号資産サービスプロバイダ(VASP)に適用する必要があるとしており、VASPはライセンスを取得、あるいは登録する必要があるとしている。

今年2月に公表されたPublic Statement(公式声明)では、6月を目処に、加盟する主要「36ヶ国の規制基準」として仮想通貨規制を勧告し、仮想通貨取引所の規制を「商業銀行」と同等水準へ引き上げるべきとしていた。これは、各国が法執行、刑事法制及び金融規制の各分野で取るべき措置を定めたものになる。

15の新解釈指針はすでに確定しており、2019年6月にFATF基準の一部として正式に採択される予定だ。今回、民間セクターで協議される予定の「指針の第7項(b)」は、現時点では確定していない。民間企業及び専門家に、書面によるコメントを提供するよう求めている。

「第7項(b)」では、VASPが規制当局に要求された発信者情報および受益者情報を確実に入手、利用出来るようにすべきだとし、暗号資産の譲渡に関する原債権者情報もこれに含まれる。

FATFは、マネーロンダリング関連の犯罪、および仮想資産に関するテロ資金供与に関して、「可能な限り広範囲の国際協力を迅速かつ建設的に、そして効果的に提供すべき」としている。

日本市場への審査を控える

なお、2019年10月-11月頃を予定するFATFの日本へのオンサイト(現地)相互審査は、2008年以来11年ぶりとなる。対象となる金融機関は自らのAML/CFT態勢の有効性を適切に説明する必要がある。

各メンバー国・地域に対し、「FATF審査団」を派遣して、審査対象国におけるマネー・ローンダリング対策及びテロ資金対策の法制、監督・取締体制、マネー・ローンダリング犯罪の検挙状況など様々な観点から、FATF勧告の遵守状況について相互に審査するものだ。

2008年の対日審査では、要改善項目が25にも及び、先進国の中で18位に燻るなどAML/CFTの脆弱性が露呈していた。今回の審査結果次第では、海外取引が停止される可能性もあり、喫緊の課題とされている。仮想通貨業界はもちろんのこと、銀行など伝統金融業界全体に大きな影響を及ぼすことになるだろう。

その一方で、国際的な市場整備が進めば、大手企業や機関投資家の参入契機にもなり得る。今年6月の国際ガイドライン発表を含め、これを注視したい。

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今回は、銀行や証券業界のほか仮想通貨業者も大きな焦点になり、各国で対応が急務とされる。日本の金融業界が、2008年同様の低評価を受けると、国際取引にも影響を及ぼすリスクもある。
今年6月に仮想通貨規制を勧告するFATFは、仮想通貨を「財産、収益、資金、その他の資産」とみなすべきと主張。約10年ぶりとなる日本への「対日相互審査」は、10-11月頃を予定している。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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