今後のビットコイン価格の「注目ポイント」を考察、相場反転のシグナルを探る|仮想通貨市況
- 仮想通貨市場
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●ビットコイン相場が動きやすい時間帯とその理由
●海外著名アナリストがショートスクイズの重要性を分析
金融市場と仮想通貨
10日の東京株式市場は、前営業日比249.71円高の21,134円に上昇した。約2週間ぶりの高値となる。
米トランプ政権が、不法移民対策で合意したとして、メキシコへの制裁関税の見送りを表明したことで、買い戻し優勢に。FRBの金利引き下げも株式市場に好感されているが、依然として米中貿易摩擦は解決の目処が見えていない。
ビットコインテクニカル分析
軟調な展開が続くビットコイン価格は、9日21:00前後、10日1:00前後、10日9:00前後にかけて断続的に下落。4万円幅ほど落とした後、5,7日のサポートラインに支持される形で、一時2万円幅ほどの急反発を見せた。支持線近くでの不用意な突っ込みショートは担がれるリスクが高いため注意したい。
9:00-15:00までしかザラ場で取引出来ない株式市場とは異なり、24時間365日動いている仮想通貨市場のなかでも、4時間足の更新時刻である21時、午前1時…といった時間帯のほか、月曜9時は「4時間足、日足、週足」が同時に閉まる密度の高いポイントとなる。株式市場の寄り付きとも重なるため、特にボラティリティ(価格変動)が上昇しやすい時間帯であるためだ。
ローソク足は、投資家心理を反映することで、投資判断を行うために欠かせない要素となっており、特に15分足や1時間足などの下位足よりも日足の重要性はより高く、相場のトレンドを見極めるにあたり、今後の方向性を左右する一要因と言っても過言ではない。
したがって、「日足確定直前の値動きの価値は、他の時間帯よりも重い」と言える。
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日足から分析していくと、直近で意識されやすいのは、74〜76万円の価格帯(青ゾーン)となりそうだ。
5月中旬以降の最安値帯であるほか、昨夏の大反騰時に意識された日足逆三尊のネックライン(①)付近に位置しつつ、昨年9〜11月に上値を押さえ付けられた天井圏(②)でもある。日雲の下限としても投資家の目線が集まりやすい。
6月中旬〜7月にかけて「100日移動平均線(黄)」も上昇して来るため、6,000ドルライン(④)も厚目の支持線となるだろう。
また、4日公開のマーケットレポートでも言及した日足三尊の形(⑤)も警戒されていると言えるが、右肩部分が不十分であることから、このラインを割り込むのは時期尚早と判断された可能性も考えられる。
次は下位足に落として、4時間足で分析する。
先日までサポートされていた75EMA(⑥)およびトレンドラインを割り込んだことで滑落したBTCは、高値を切り下げ下降チャネルを形成しつつある。現在は、75EMAがレジスタンス化しているほか、4時間雲下限が上値を重くしている状態と言える。
一方で、200EMA(⑧)がサポート化しており、⑦、⑧を割り込むかどうかが目先の焦点か。上げた場合は、8000ドル超えやリターンムーブでレジサポ化できるかどうか。下げた場合は、やはり74〜76万円の価格帯の値動きに注目したい。
よほどの悪材料が重ならない限り、7,000ドルの節目をリバウンドなく一直線に割り込む可能性は低いように思われるが、何が起こるかわからない相場の世界では、”全ての可能性を排除しない”ことが肝要であるため、極端な話、このままスピード調整で上抜け後に過去最高値(220万円)を更新したり、年初来安値(34万円)の更新の可能性もゼロではなく、常に複数のシナリオを想定しておくに越したことはない。
ただ、中・長期での大局は上昇トレンドにあり、押し目待ち順張りで臨む投資家も少なくない。日足RSI30以下まで調整するか、100日移動平均線との乖離率縮小などで調整局面が過ぎれば、再び風向きが変わる可能性は高いものと思われる。
今後数週間内に、値幅調整から売りをこなしつつの日柄調整に移行した場合は、スイングポジションのエントリーポイントを探るチャンスとなり得るが、市場が成熟しきっていない仮想通貨市場において一筋縄でいくかどうかは定かではなく、大衆の目線が一致した場合の売り仕掛けには十分注意したい。
なお、相場にも影響しやすい中国マイナーのマイニング状況については、以下の記事で詳しく解説している。
相場上昇のカギとショートスクイズの重要性
海外著名アナリストのWilly Woo氏は、今年見受けられた上昇相場のきっかけの一つが大口投資家によるショートスクイズであると予想している。
Woo氏は、ビットコイン相場におけるWoo氏の独自指標であるNVTチャートを参照すると、過去数度しか発生していないBTC価格がNVT比率を超える現象が見受けられたと指摘。
NVTとは
ビットコイン・ネットワークの価値や利用頻度を測定する独自指標。仮想通貨の本質的な価値を探ることを目的にWilly Woo氏により考案された。
ビットコインの歴史上、過去2度しか価格がNVT比率を上回る状態は起きていない。
このようなビットコイン・ネットワークのトランザクション数が市場価格に追い付いていないため、BTC価格が実際のネットワーク価値を上回っていることを指す。
以前は、2013年と2017年といずれも相場が高騰していた際にこの現象が見受けられたが、その際マーケット全体の強気相場は(振り返って見ると)終わりに近づいていた。しかし今回が特筆すべき理由は、強気相場の初動に過ぎないという点だ。
このようなことからWoo氏は、ビットコインの価格上昇がビットコインのオンチェーン上によるトランザクションではなく、取引所などを介したショートスクイズが背景にあると見ている。
ショートスクイズとは相場が売りに走っているタイミングで大きな買い板を入れることで、「十分な資金さえあれば、弱気な売り方を半強制的に約定させることができ、非常に収益性の高いスキーム」とWoo氏は説明する。
大量の資金があれば可能ではあるが、オンチェーン上の出来高が飛躍していないことを考慮すると、短期的な取引所におけるショートスクイズが価格高騰の要因になっていると指摘した。
またこの動きが、昨今の価格停滞に繋がった理由としては、8000〜9000ドル(88万円〜99万円)のエリアで、ショートからロングに相場のマジョリティが転換したため、ショートスクイズの収益性が無くなったことが挙げられるとWoo氏は分析。
今後「真の上昇相場」は一旦価格がリトレースメントを行い、本当の投資家資金(新たなユーザー層がビットコイン・ネットワーク上でビットコインを売買する)が流入すれば到来するだろうと予想した。
Mayer Multiple(メイヤー倍数)が低下
また、相場が直近2週間ほど停滞していることから、一時1.9にまで上昇していたMayer Multiple(メイヤー倍数)は、現在1.6まで低下を見せている。
ビットコインの平均的メイヤー倍数値は1.48であるものの、勢いを失いつつある状況を示している。
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