仮想通貨の現金化とは、保有する仮想通貨を日本円などの現金として銀行口座に入金されるまでの一連の流れを指します。売却しただけでは銀行口座にお金は入らず、「売却」と「出金」という2つの手続きを経る必要があります。本記事では、取引所での売却から銀行口座への出金までの具体的な手順、販売所と取引所の違い、手数料と時間の目安、税金の扱い、注意点までを2026年8月時点の情報にもとづいて解説します。
目次
仮想通貨の現金化とは?売却・換金・出金の違い
現金化とは、保有する仮想通貨を日本円などの現金として銀行口座に入金されるまでの一連の流れを指します。
注意すべきは「仮想通貨を売却しただけでは銀行口座にお金は入らない」という点です。実際に現金を受け取るまでの手順は、主に以下の2ステップから成ります。
- 売却(換金):暗号資産を取引所で売却し日本円に交換する
- 出金:取引所内の日本円残高を自分の銀行口座へ振り込む
「売却」と「出金」は別の手続き
「売却」とは、取引所や販売所を通して保有する暗号資産を日本円に交換する手続きです。このとき、売却代金が入金されるのは「取引所内の口座」であり、現金を取引所の口座から取り出すには、取引所口座内の残高を自分の銀行口座に移す必要があります。
この取引所口座から銀行口座にお金を移す手続きが「出金」にあたります。売却代金を銀行口座に移して初めて、このお金を現金として引き出すことが可能になります。
現金化の全体像
仮想通貨の現金化は、次のような流れで進みます。
仮想通貨を現金化する手順
ここでは、仮想通貨を現金化する手順を、特定の取引所に依存しない一般的な流れで説明します。
STEP1:取引所で日本円に売却する
まずは取引所で仮想通貨を売却しましょう。売却したい仮想通貨の種類、数量、注文方法(成行・指値)を選択し、売買注文を出します。
販売所では業者を相手に取引するため注文と同時に即時に約定しますが、取引所(板取引)では注文と同時に売却が完了するわけではなく、注文内容と対当する買注文が見つかったタイミングで約定が成立します。
参考として、SBI VCトレードの取引所(板取引)での売却操作画面を紹介します(操作画面や項目の名称は取引所により異なります)。
STEP2:口座の日本円残高を確認する
売却が成立すると、売却代金分の日本円が取引所内口座の残高にすぐ反映されるのが一般的です。売却後は、念のため想定していた金額が日本円残高に増えているかどうか確認しましょう。
ただし、取引所・取引内容によっては売却手数料が売却代金から引かれた状態で入金される場合もあるため、売却代金と実入金額に差が生じる場合もあります。
STEP3:銀行口座へ出金する
取引所内口座から、出金したい金額と自分の銀行口座を指定して振り込みましょう。指定した銀行口座に日本円が着金した時点で、現金化は完了です。
販売所と取引所(板取引)はどちらで売るべきか
前述のとおり、仮想通貨の売却には主に「販売所」「取引所」の2パターンがあります。販売所は暗号資産取引業者を相手に売買を行う場で、業者が指定する価格で取引を行います。一方取引所は、ユーザー間で買いたい人と売りたい人をマッチングさせることで取引を成立させる場です。それぞれ価格決定の仕組みやコストのかかり方が異なるため、性質を知り適切に使い分ける必要があります。
参考として、SBI VCトレードの販売所での売却操作画面を紹介します(操作画面や項目の名称は取引所により異なります)。
スプレッドの違いと実質的なコスト
仮想通貨取引におけるコストとして、代表的なのは「スプレッド」と「手数料」です。
スプレッドとは、ある日時における買値と売値の差のことです。例えば売値が約968万円、買値が約993万円だった場合、売り手が受け取る金額と買い手が支払う金額の間に差が生じます。この差額が実質的にはコストとなります。一方、手数料とは買付代金に上乗せ、あるいは売却代金から差し引かれるコストです。
一般に、販売所は取引手数料が無料の場合が多いものの、取引所と比較してスプレッドが大きい、つまりコストが大きい傾向にあります。対して取引所は手数料はかかる場合が多いものの、手数料とスプレッドを合わせても販売所より低コストで取引が完了する場合がほとんどです。
金額別の使い分けの目安
販売所と取引所は、売却金額の大きさによって使い分けるのがおすすめです。
| 売却金額の目安 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 少額(数千円〜数万円) | 販売所 | スプレッドの影響が比較的小さいため、手続きが簡単な販売所がおすすめ |
| 中間(十〜数十万円程度) | 状況に応じて選択 | その時点のスプレッドを確認し、価格差が大きい場合は取引所がおすすめ |
| 高額(数十〜数百万円程度) | 取引所 | スプレッドの影響を受けやすいため、取引所の方がコストを抑えやすい |
ただし、スプレッドは銘柄や相場状況によって変動します。売却前には販売所と取引所の価格を比較し、実際にどちらが有利か確認してから取引すると、現金化のコストを抑えられます。
ウォレットや海外の取引所にある仮想通貨を現金化する方法
仮想通貨がウォレットや海外の取引所にある場合、現金化の前に「国内取引所への送金」という手順が必要になります。ここでは詳しい流れを説明します。
国内取引所へ送金してから売却する流れ
ウォレットや海外の取引所で保有している仮想通貨を日本円に換金したい場合は、まず国内の暗号資産取引所へ仮想通貨を送金し、そこで売却する方法が一般的です。これは、国内で登録のない海外の取引所の多くが日本円での出金に対応していないためです。
具体的には「国内取引所の口座を用意する」→「ウォレットや海外の取引所から仮想通貨を国内取引所へ送金する」→「国内取引所で仮想通貨を売却する」→「日本円を銀行口座へ出金する」という流れになります。
まず国内の取引所に口座を開設し、そのアドレスを送金先に指定してウォレット・海外の取引所から仮想通貨を送ります。国内取引所への送金が完了したのち、国内の取引所で送金した仮想通貨を売却し、売却代金を銀行口座へ出金すれば現金化は完了です。
送金前に確認すること(ネットワーク・アドレス・最低送金額)
仮想通貨を送金する際は、少なくとも「ネットワーク」「入金アドレス」「最低送金額」の3点を確認しましょう。
まず、仮想通貨の送金時には送金元と送金先でネットワークが一致している必要があります。異なるネットワークを指定すると仮想通貨が失われてしまうため、特に注意してください。銘柄によっては複数のネットワークに対応している場合もあります。
入金アドレスについては、自分の取引所口座のアドレスを正しく指定してください。アドレスは英数字から成る長い文字列なので、手入力ではなくコピー&ペーストを利用するのがおすすめです。誤ったアドレスを送金先にしてしまうと仮想通貨が消滅してしまうため、必ず間違いのないようにしましょう。
また、取引所によっては最低送金額が設定されていることがあります。最低額を下回る送金は正常に反映されない可能性があるため、送金前に最新の条件を確認しておきましょう。特に初めて送金する場合は、いきなり全額を送るのではなく、まず少額を送金して正常に反映されることを確認し、その後に残りを送金すると安心です。
現金化にかかる手数料と時間の目安
仮想通貨を現金化する際にかかる手数料と時間は、取引所ごとに異なります。コストはかかってもなるべく早く現金化したい、時間がかかっても良いから低コストで現金化したい、などニーズに応じた選択が必要です。以下は主要な国内取引所の日本円出金条件です(2026年8月時点、各社公式ページの情報をもとに作成)。
| 取引所名 | 日本円出金手数料 | 出金反映の目安 | 対応銀行 |
|---|---|---|---|
|
SBI VCトレード 口座開設 |
無料 | 翌銀行営業日〜最長3銀行営業日 | 要確認(本人名義の国内口座) |
|
Coincheck 口座開設 |
407円 | 申請日当日〜2銀行営業日以内 | 要確認(本人名義の国内口座) |
|
bitbank 口座開設 |
550円〜770円 | 原則即時出金処理 | 要確認(本人名義の国内口座。海外口座・他社口座不可) |
|
bitFlyer 口座開設 |
220円〜770円 | 当日〜翌々営業日 | 三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、PayPay銀行、りそな銀行、他 |
|
GMOコイン 口座開設 |
無料(大口出金は400円) | 最短即時(条件により翌営業日以降) | ゆうちょ銀行他 |
※手数料・反映時間は変更される場合があります。最新の条件は各社公式ページをご確認ください。出金先は各社とも本人名義の国内銀行口座に限られ、海外口座・他社口座への出金はできません。
現金化で発生する税金
仮想通貨の売却時に考慮しなければならないのが「税金」です。ここでは、税金が発生するタイミング、確定申告の要不要、損失の扱いについて概要を説明します。詳しい確定申告の手順や計算方法は、後述のリンク先で解説しています。
利益が確定するタイミング
仮想通貨を売却し利益が出た時は、課税され得るタイミングのひとつです。当該通貨の売却金額から取得金額を差し引いた額が利益となり、条件に応じて税金が課されます。反対に、売却するまでの間は、保有している資産がどれだけ値動きしたとしても利益とはみなされません。
確定申告が必要になる目安
仮想通貨の取引による損益は、国税庁の取り扱いにより原則として雑所得に区分されます。会社員として給与収入を得ている場合、年間の雑所得が20万円を超える場合に所得税の確定申告の対象となります。
ただし、この「20万円以下は申告不要」というルールは所得税に関するものであり、住民税は別です。20万円以下であっても住民税の申告が必要になる場合があるため、注意してください。
なお、詳しい確定申告の手順は以下の記事をご覧ください。
関連:【初心者向け】仮想通貨(暗号資産)の確定申告のやり方は?手順をPC・スマホ別に解説
損失が出た場合の扱い
仮想通貨取引で損失が出た場合、同じ年の中であれば他の仮想通貨取引の利益と損益通算することができます。ただし、仮想通貨取引の損益は雑所得として扱われるため、株式などの取引と損益通算したり、他の所得から控除したりすることはできません。
現金化するときの注意点とよくある失敗
ここでは、仮想通貨の現金化時に関する注意点を説明します。
出金が反映されるまでのタイムラグ
取引所口座から銀行口座への出金は、多くの場合タイムラグがあります。取引所によって翌営業日や数営業日後に出金されるなどばらつきがあるため、現金化したお金をすぐに使う必要がある場合は、余裕を持って出金手続きをしましょう。
送金ミスによる資産喪失
仮想通貨の送金時に起こり得るミスとして、送金先アドレスやネットワークの入力ミスが挙げられます。一度間違えて送金すると資産を取り戻せなくなるケースもあるため、送金前にはアドレスや通貨・ネットワーク等を必ず確認しましょう。
送金ミスの具体的な事例と防止方法は以下にまとめています。
関連:仮想通貨の送金ミスによるセルフGOX回避法|リスクを軽減するテスト送金ガイド
全額を売却する前に確認したいこと
保有資産を全額売却する前に、手数料や税金、出金フローなどを確認しておくことも重要です。特に利益が出ている場合は、必要に応じて税務上の取り扱いを確認したうえで、売却する金額やタイミングを慎重に判断しましょう。
現金化しやすい国内取引所の選び方
仮想通貨の現金化時には、出金手数料や出金スピード・対応銀行など、コストや利便性を考慮して取引所を選ぶことが重要です。
出金手数料で比較する
取引所から銀行口座へ日本円を出金する際、取引所によって出金手数料がかかる場合があります。少額の出金を頻繁に行う場合は手数料の影響が大きくなるため、無料または低コストで出金できる取引所を選ぶとよいでしょう。国内の暗号資産交換業者は金融庁の登録一覧(PDF)で確認できます。
手数料は出金額や出金先口座の金融機関等によって異なるため、事前に最新の料金体系を確認することが大切です。
出金スピード・対応銀行で比較する
出金手続きから入金までにかかる時間も、取引所を選ぶ際の重要なポイントです。出金スピードが早いほど、必要なタイミングですぐに現金を受け取りやすくなります。
また、出金に対応している銀行も取引所ごとに異なるため、自分が普段利用している銀行に対応しているかを事前に確認しましょう。
国内の取引所を一度に比較したい場合は、以下の記事がおすすめです。
関連:仮想通貨取引所おすすめ比較ランキング【2026年8月最新】CoinPost編集部が実口座で検証
よくある質問
仮想通貨の現金化について、頻出の質問を以下にまとめました。
Q. 仮想通貨を売却しただけで税金はかかりますか?
保有するだけでは税金はかかりませんが、売却したとなると課税の対象となります。具体的には売却金額から取得金額を差し引いた利益に税金がかかります。
Q. 現金化してから銀行口座に入金されるまでどれくらいかかりますか?
取引所によって異なり、最短即時で反映される取引所もあれば、翌営業日や数営業日後になる取引所もあります。出金手続きをしてすぐに入金されるとは限らないため、あらかじめ利用する取引所の反映目安を確認しておきましょう。
Q. 日本円の出金手数料が無料の国内取引所はありますか?
あります。SBI VCトレードや、GMOコイン(大口出金は400円)が代表例です。ただし条件は変更される場合があるため、利用前に公式サイトで最新情報を確認してください。
Q. 少額の利益でも確定申告は必要ですか?
給与所得者の場合、年間の雑所得が20万円を超えると所得税の確定申告の対象となります。仮想通貨の利益が少額でも、他の副業収入等と合わせて20万円を超える場合は確定申告が必要です。なお20万円以下でも住民税の申告が必要になる場合があるため注意してください。
Q. 保有している仮想通貨の一部だけを現金化することはできますか?
可能です。ただし最低出金額を設ける取引所もあるため、その条件を満たしているか事前に確認しておく必要があります。
参考・出典
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