デジタル証券(ST)は、ふだん使っている証券口座の延長で始められる投資です。SBI証券などネット証券の口座があれば最短当日から取引できます。
ただし、株式とは異なる特性があるのも事実です。「欲しいときに買えない」「途中で売りにくい」「税制が銘柄ごとに違う」といった点を理解したうえで始めることが大切です。この記事では、口座開設から銘柄選び・購入・分配金受け取りまでを4ステップで順番に解説します。
目次
そもそもデジタル証券(ST/STO)とは?
デジタル証券(ST:セキュリティ・トークン)は、ブロックチェーン技術を使って発行・管理される有価証券です。金融商品取引法上の有価証券であり、暗号資産とは法律上まったく別物です。取引窓口も暗号資産取引所ではなく、証券会社になります。
国内で個人投資家が買えるのは不動産STと債券STの2種類が中心です。デジタル証券を使った資金調達はSTO(Security Token Offering)と呼ばれ、株式のIPOに近い形で新規発行されます。仕組みや法的な位置づけの詳細は以下の記事をご覧ください。
関連記事:デジタル証券の基礎知識
デジタル証券(ST/STO)に投資するメリット・デメリット
ここでは「実際に買うとどうなるか」に絞って解説します。
メリット
デジタル証券に投資する主なメリットは、以下の3つです。
少額から特定の不動産に投資できる
現物不動産は数千万円から、REITは数万円からが目安です。不動産STは1口1万円〜10万円程度の商品が増えています。
REITとの大きな違いは、「この物件に投資している」というリアリティーです。REITは複数物件への分散投資なので個別物件を選ぶ感覚はありませんが、不動産STなら「渋谷のオフィスビル」「京都のホテル」といった具体的な投資先を自分で選べます。
相場に振り回されにくい
不動産STの価格は不動産鑑定評価額がベースになります。株式やREITのように毎日値動きするわけではないため、マーケットが荒れている日に画面を見て落ち込む、ということが起きにくくなっています。
分離課税が適用されるケースがある
受益証券発行信託スキームで発行された不動産STは、上場株式と同じ分離課税(20.315%)が適用されます。特定口座(源泉徴収あり)に対応していれば、税金は自動で差し引かれるため確定申告の手間もありません。
ただし、すべてのSTが分離課税というわけではありません。みなし有価証券(第2項有価証券)に該当するSTは総合課税となるため、銘柄ごとに確認が必要です。
デメリット
一方で、デジタル証券には以下の3つのデメリットもあります。
「欲しいときに買えない」ことがある
上場株式はマーケットが開いていればいつでも注文できますが、デジタル証券はそうではありません。募集期間が決まっている商品が多く、「興味はあるけれど今は募集していない」という状況が普通にあります。
途中で売りにくい
多くのデジタル証券は、償還期限(3〜7年程度)まで保有が前提です。急に現金が必要になっても、すぐには売れません。
一部の銘柄はODXが運営するPTS「START」で投資家同士の売買ができるようになっていますが、上場株式のように常に買い手がいる状態ではありません。「数年間は資金が動かせない」前提で投資判断してください。
税制が商品ごとに違う
同じデジタル証券でも、第1項有価証券(分離課税)なのか第2項有価証券(総合課税)なのかで税制がまったく異なります。商品のスキーム次第なので、「STだから分離課税」と一律に判断するのは危険です。購入前に必ず目論見書で確認してください。
デジタル証券(ST)投資を始める4つのステップ
ここからは、デジタル証券を実際に購入するまでの流れを4つのステップで解説します。口座開設から分配金の受け取りまで、順を追って見ていきましょう。
最初に押さえておきたいのは、デジタル証券(ST/STO)は暗号資産取引所では買えないという点です。窓口になるのはふだん株を買うのと同じ証券会社です。
国内でデジタル証券を取り扱っている主な証券会社は以下の6社です。
- SBI証券
- 大和証券
- 野村證券
- SMBC日興証券
- 楽天証券
- 東海東京証券
なかでも、SBI証券は不動産STと債券STの両方を取り扱っていて、取扱実績も国内では多いほうです。
デジタル証券の購入には、証券会社の口座が必要です。証券会社ごとに手続きが違うので、利用先の案内を事前に確認してください。
口座開設が終わったら、いよいよ銘柄選びです。SBI証券のST取引ページでは、募集中の銘柄や運用中の銘柄を確認できます。
ただし、上場株式と違って、デジタル証券には四季報やアナリストレポートがありません。自分で読み解く必要がある点は、株式投資の感覚との大きな違いになります。
| ポイント | 見るべきところ |
|---|---|
| ①投資対象になっている資産(裏付け資産) | 不動産STか債券STか。不動産なら所在地・用途(レジデンス/オフィス/ホテル/物流等)まで確認 |
| ②予想分配金利回り | 「減価償却費等相当額」(利益を原資としない分配)が含まれていないか |
| ③運用期間 | 3〜7年が主流。途中売却が難しい前提で、資金計画と合うか |
| ④二次流通の対応 | ODX「START」(PTS)対応か。非対応なら原則満期まで保有 |
| ⑤税制 | 受益証券発行信託(第1項有価証券)なら分離課税20.315% みなし有価証券(第2項有価証券)なら総合課税 |
投資先の中身(裏付け資産)は不動産STと債券STで性格がかなり違います。
| 不動産ST | 債券ST | |
|---|---|---|
| リターンの出どころ | 賃料収入+物件売却益 | 利息(クーポン) |
| 運用期間 | 3〜7年が中心 | 商品設計による |
| 価格の動き方 | 鑑定評価ベースで比較的安定 | 発行体の信用力・金利動向に左右 |
| 向いている人 | 物件を選んで中長期で安定収益を狙いたい | 債券感覚で固定リターンが欲しい |
※債券STはまだ商品数が少なく、現時点で確認できる範囲の整理です。今後の商品拡充で変わる可能性があります。
不動産STで特に注意したいのが、予想分配金利回りの内訳です。
不動産STの予想分配金には、「減価償却費等相当額」(会計上の費用で、実際の現金支出を伴わない分配)が含まれるケースがあります。つまり、表示されている利回りのすべてが利益から出ているとは限らないため、表面利回りだけで「高い」と判断するとズレが生じます。
銘柄が決まったら、実際の購入手続きに進みます。SBI証券の場合、不動産STと債券STでは購入フローが若干異なります。不動産STは抽選形式、債券STは先着順で買うケースが多いです。
- 希望購入口数の申込み(需要調査期間:約2週間)
- 買付余力の確認
- 抽選と結果通知
- 購入意思表示(当選者のみ/3〜5日間)
- 約定・お預かり残高反映
出典:SBI証券「不動産ST(STO)お取引までの流れ」
- 購入したい銘柄を選び、銘柄詳細画面を確認
- 注文入力〜注文発注(目論見書の同意 → 金額入力 → 取引パスワード入力 → 「注文発注」で確定)
出典:SBI証券「債券ST(STO)お取引までの流れ」
デジタル証券(ST)はいくらから投資できる?
不動産STの最低投資額は、銘柄によって大きな幅があります。
銘柄の具体例
スターツ・アセット・トークン〜両国・千鳥町〜
1口1万円、最低10口(10万円)から
SBI証券で取り扱われてきた不動産ST
1口10万円からの商品が多い
みずほ信託銀行の新潟県の高級旅館を対象とした案件
1口100万円、最低2口(200万円〜)の大型案件
発行価格や最低申込口数は銘柄ごとに違うので、購入前のチェックを忘れないようにしましょう。
参考までに、現物不動産投資は数千万円から、REITは数万円からが目安です。「数百円から投資できる」という商品は、現時点の国内ST市場にはほとんどありません。ある程度まとまった資金を用意しておくのが現実的です。
初めてのST投資で押さえておきたいQ&A
ここでは、デジタル証券を始める前に多くの人がつまずきやすいポイントをQ&A形式で整理します。
Q. デジタル証券(ST)って暗号資産と何が違うの?
法律の枠組みがまったく違います。デジタル証券は金融商品取引法の有価証券で、暗号資産は資金決済法の対象です。取引の窓口も別で、STは証券会社、暗号資産は暗号資産交換業者で取引します。
ブロックチェーンを使っているという技術面は共通していますが、投資家保護の仕組みも税制もまったく別物です。
関連記事:デジタル証券の法的側面
Q. ST投資にNISAは使える?
NISAは使えません。
デジタル証券は非上場有価証券の扱いとなっており、NISA(少額投資非課税制度)の対象外です。
Q. 一度買ったSTを途中で売ることはできる?
原則としてできません。多くのデジタル証券は満期まで持ち切ることが前提の商品です。
一部の銘柄はODXが運営するPTS「START」で投資家同士の売買ができますが、上場株式のように常に買い手がいるわけではありません。希望の価格・タイミングで売れるとは限らないため、「いつでも売れる」前提では考えないほうが安全です。
参照:ODX START
Q. 投資した元本は保証される?
保証はされません。
不動産STなら、物件の収益悪化や不動産市況の下落で元本割れの可能性があります。債券STも発行体の信用リスクがあり、元本保証ではありません。
Q. STの利益が出たら確定申告はどうなる?
特定口座(源泉徴収あり)に対応している証券会社・銘柄であれば、原則として確定申告は不要です。
一般口座で保有している場合は、自分で損益を計算して申告する必要があります。
なお、みなし有価証券(第2項有価証券)に該当するSTは総合課税となるため、こちらも確定申告が必要です。
まとめ
デジタル証券(ST/STO)は、ふだんの証券口座の延長で始められ、手続き自体はネット証券を使えばシンプルに完結します。
一方で、株式投資とは明確に違う特性があります。この点を理解したうえで、自分に合うかどうかを見極めることが大切です。
市場はまだ伸びしろのある段階です。SBI証券のST取引ページで募集中の銘柄を、気軽にチェックしてみてください。
関連ガイド
CoinPostの特集記事New!
📊 Investment Guide 資産運用の始め方は?【2026年最新】 → 📈 Stock Guide 仮想通貨関連の株式投資ガイド【2026年最新】 → 🔰 Crypto Guide 仮想通貨の始め方|初心者向け完全ガイド【2026年最新】 → ₿ Bitcoin Guide ビットコイン(BTC)とは?完全ガイド【2026年最新】 → 📚 Ethereum Guide イーサリアム(ETH)とは?完全ガイド【2026年最新】 → 📝 XRP Guide リップル開発XRPとは?完全ガイド【2026年最新】 → 💰 Stablecoin Guide ステーブルコインとは?完全ガイド【2026年最新】 → 💊 Health & Performance 投資家注目の健康サプリ3選 疲労ストレス・睡眠不足・血糖値ケア → 💡 求人情報 国内最大手の仮想通貨メディアCoinPost、新たな人材を募集 →本記事は企業の出資による記事広告やアフィリエイト広告を含みます。CoinPostは掲載内容や製品の品質や性能を保証するものではありません。サービス利用やお問い合わせは、直接サービス提供会社へご連絡ください。CoinPostは、本記事の内容やそれを参考にした行動による損害や損失について、直接的・間接的な責任を負いません。ユーザーの皆さまが本稿に関連した行動をとる際には、ご自身で調査し、自己責任で行ってください。



はじめての仮想通貨
TOP
新着一覧
チャート
取引所
WebX












