香港立法会、Web3と仮想通貨開発に関する小委員会を設立
Web3の開発促進
香港特別行政区立法会は、香港におけるWeb3と暗号資産(仮想通貨)の開発を促進するため、このトピックに特化した小委員会を設立。立法会のJonny Ng議員は、香港のWeb3業界の将来の方向性を議論し、効果的な政策提言を行うため、広く世界中の業界識者に意見を提出するよう呼びかけた。この取り組みは、業界の洞察に基づく政策策定によって、香港におけるWeb3及び仮想通貨の成長を促進し、香港を世界のWeb3ハブとして位置付けることを目指す。
香港のPaul Chan財務長官は昨年4月、Web3開発支援の促進に対して強い意欲を示し、「適切な規制」と「発展の促進」の両方に等しく重点を置いた戦略を採用すると述べた。同年7月、Web3の開発を監督し、倫理的な成長を促進するため、同氏をリーダーとし、政府の関連当局の主要職員11名と、業界関係者15人で構成されるタスクフォースが結成された。
Web3.0
Web3.0は、現状の中央集権体制のウェブをWeb2.0と定義し、ブロックチェーン等を用いて非中央集権型のネットワークを実現する試みを指す。代表的な特徴は、仮想通貨ウォレットを利用したdAppsへのアクセスなど、ブロックチェーンをはじめとする分散型ネットワークのユースケースがある。
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業界からの意見を募集
Ng氏はWeb3政策と仮想通貨に関して、以下の九つの側面について業界からのフィードバックを求めている。
Web3について
- Web3の基本的な技術、法律、規制の枠組みをいかにバランスよく推進するか
- 香港を国際的なWeb3のハブとして位置づけるために、国家とどのように協力するか
- 人工知能とWeb3技術の統合的な開発とAI規制制度の改善
- 香港における分散型自律組織(DAO)の健全な発展を支援・規制するための政策・規制に関する提言
- Web3テクノロジーと金融イノベーションの人材を育成し、誘致する方法
仮想通貨について
- 仮想通貨業界の発展に資する対策の提案
- 市場の信頼を高めるため、いかに仮想通貨投資家と消費者の保護を強化するか
- 香港におけるステーブルコインの潜在的な適用シナリオとリスク、及びイノベーションを阻害することなく金融の安定性を確保する規制システムについて
- 香港における仮想通貨の増加による専門的なカストディ・サービスの需要を調査し、対応する保管方法と規制措置に関する研究を行う
Ng氏は、業界からの意見を詳細に精査したのち要約し、立法会のプラットフォームを介して政府に提言すると述べた。
香港金融サービス長官による欧州訪問
香港金融サービス兼財務長官のChristopher Hui氏は今月、オランダ、スペイン、ポルトガルを訪問し、アジア市場への入口として、香港が金融市場で果たす役割をアピールした。
Hui氏はWeb3と仮想通貨市場の開発に向けた香港の取り組みについても言及し、仮想通貨取引所のライセンス制度や、ステーブルコイン発行を含む仮想通貨事業のガイドライン作成など、同地域で新たに導入された仮想通貨規制について、詳しく説明した。
また香港において今年4月、アジアで初めて ビットコイン(BTC)および イーサリアム(ETH)の現物ETF(上場投資信託)が香港証券取引所に上場したことや、世界初の政府によるトークン化されたグリーンボンドの発行に成功した事例に触れ、イノベーションの先駆者としての香港のイメージを強調した。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します