「FATFのガイダンスに従えば、仮想通貨の悪用は激減」Bitfuryの調査ツールで分析
- 取引所間のビットコインの動きを分析
- 仮想通貨取引所間でのビットコインのグローバルな流れについて、Bitfuryの調査ツールを用いて作成されたレポートが発表された。どこの国にあるのか不明な取引所数を算出するなど、FATFのガイドラインを視野に入れた内容となっている。
Crystalを用いた調査結果
仮想通貨取引所の間で行われたビットコイン送金(グローバルな流れ)について、大手仮想通貨マイニング企業Bitfuryの調査ツール「Crystal」を用いたレポートが発表された。
本レポートを作成した背景には、今年6月にFATF(金融活動作業部会)が発表した暗号資産の監督法を明確化するためのガイダンスがある。このガイダンスを明確にし、仮想資産サービスプロバイダー(VASP)がどこまで規制を受けるのかを明らかにするため、Crystalの分析チームが本レポートを作成した。
今回は、63の国と地域にある約300箇所の仮想通貨取引所を対象に調査を実施。ビットコイン取引調査の対象期間は、2013年1月から2019年6月20日までだ。特に注力したのは取引所が多いことを理由に、アジア太平洋地域とFATFのガイドラインを支持したG20の国。仮想通貨取引所の情報が不十分なサウジアラビアと南アフリカ、また主要な取引所がない国は除外されている。
調査対象になった取引所の国別の数は、以下の通りだ。Unknownには国名が不明確な取引所がまとめられている。現時点ではEUに所属する英国は、取引所の数が多いことから、EUから独立させて順位付けした。
なお、本レポートにおける取引所の定義は、ユーザーから法定通貨等で入金を受け付けていて、トレードのサービスを提供し、ブロックチェーンを介して他者へ仮想通貨の送金ができることだという。また、1日の取引数が1000に満たない取引所も除外され、独自のルールが設定されている。日本は取引所の数は6で、AidosMarket、コインチェック、QUOINE、ビットフライヤー、Zaif、Liquidが調査対象となった。
取引が活発に行われていること等を基準に選んだという仮想通貨取引所の数は、多かったのが英国、米国、香港、シンガポールだった。逆に少なかったのは、アルゼンチン、インド、メキシコ、ロシア、インドネシアだ。
レポート内には取引所間のビットコインの取引を国ごとに算出した表もある。以下はその表を元に最も取引の多い国を年代別に記した表だ。上が送金の多い国で、下が送金の受け手が多い国である。どちらも米国が多いことと送金額が年々増加していることが分かる。
また調査結果では、2013年の取引所間のビットコインの送金の内96%が、G20加盟国、香港、シンガポール、そして国が不明な地域の取引所間で行われていたが、その割合が2018年には70%まで落ちていることが分かった。2018年の取引所間のビットコインの送金額は、およそ926億ドル(約10兆円)で、内の651億ドル(約7兆円)がG20、香港、シンガポールからだという。
FATFの規制について
今回の調査した内、10%の取引所の所在国が不明であったが、今後はそれらの「Unknown」に含まれる取引所の数は減少すると予測している。FATFのガイダンスによって、正式な登録や営業のライセンスが必要になることを根拠にした。
このことからも明らかだが、FATFのガイダンスに従うことは、各取引所にとっては複雑な工程ではあるが、仮想通貨の犯罪への利用を著しく減少することができるとまとめている。以前よりも様々な国で取引所は誕生しているが、FATFを支持するG20には現在でも取引所は多い。
参考資料 : Crystal
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します