「米ドルのデジタル通貨を発行する考えはあるか?」米国会議員がFRB議長を促す
- 米議員がFRB議長に質問状を送付
- 米国議員2名が、連邦準備制度理事会のJerome Powell議長に、米ドルのデジタル版の発行を促す書簡を送付。フェイスブック主導のリブラの名も挙げ、現状に潜むリスクを指摘しながら6つの質問を行った。
米議員がデジタル版米ドルの発行を促す
米国会議員2名が、連邦準備制度理事会(FRB)のJerome Powell議長宛に、米ドルのデジタル版の発行を促す書簡を30日に送ったことが分かった。
米下院のFrench Hill議員とBill Foster議員が連名で送った本書簡では、他国(中国など)や民間企業(フェイスブック社など)が仮想通貨を発行した場合のリスクを考慮した上で、米国の中央銀行に当たるFRBが独自のデジタル通貨を発行する予定があるか等の質問を羅列している。両議員は、FRBが米ドルのデジタル版の開発へ取り組むことは急務だと警告。お金の質が変化している今、ドルの優位性が揺らぐと懸念を示している。
また国際決済銀行(BIS)の調査結果から他国の例を挙げ、スウェーデンやウルグアイ等の40超の国がデジタル通貨の開発、また開発の検討に取り組んでいることを指摘。欧州中央銀行の次期総裁に任命されたChristine Lagard氏も、中央銀行は仮想通貨の規制を整備すると共に、デジタル通貨を発行すべきだとしていた。
関連:中国デジタル通貨「発行の具体的スケジュールはない」=中国人民銀行総裁
またフェイスブック社が主導する仮想通貨リブラの名を挙げ、デジタル通貨の発行を民間企業に頼ると金融政策をコントロールできなくなり、マネーロンダリング対策やテロ資金供与に対する対応を効果的に行えなくなると指摘。JPモルガンのデジタル通貨発行への取り組みが進んでいることにも言及した。
書簡には「米国版のデジタル通貨を開発する予定はあるか、または既に開発中か?」を初め、「デジタル法定通貨や民間企業が発行する仮想通貨が消費者から支持を得た場合、FRBはどのように対応するのか?」など、6つの質問を記している。
FRBは今年8月に、新たな「24/7」(年中無休)リアルタイム決済サービス『FedNow Service』を開発し、2024年までにローンチする計画を発表しているが、これが仮想通貨のようなものなのかは明らかになっていない。
参考:議員文書
関連:米連邦準備銀行のリアルタイム決済、2024年までに導入する計画
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します