「米国の税政変更は仮想通貨ステーキングを促進」米バージニア大学教授=TheBlock Daily
米国の税政策の変更とPoSの可能性:米大学教授の論点
仮想通貨コンセンサスアルゴリズム:Proof of Work(PoW)とProof of Stake(PoS)に関する最大の論点は、必然的に税金に関する議論に帰着すると見られる。
米名門バージニア大学法学部のAbe Sutherland教授が最近発表した論文によると、PoSによるステーキング報酬は所得として課税されるべきではなく、生み出された資産として課税されるべきである。マイナー(採掘者)によるステーキングネットワークの採用や、エネルギー節約、イノベーション等を促進するインセンティブに該当すると指摘した。
PoWプロトコルでは、マイナーはブロック生成とブロック報酬の支払いを可能にするランダムな整数で構成された正しい「ナンス」を見つけるために競争している。
通常、確率的に最も強力な総計算能力を持つコンピューターが勝つ仕組みになっている。つまり、ハッシュパワーの20%をコントロールすることで、長期的には競争のうち、約20%に勝つことが期待できる。
このため、PoWプロトコルは膨大な量のエネルギーを必要としており、安価な電力を供給する地域が有利なエコシステムを形成する。
業界筋によると、PoWの採用はマイナーの活動を米国内にとどめておくインセンティブを与えることができず、代わりにマイナーは、中国やジョージアなど低電力費用かつ寒冷環境でマイニングの冷却コストを節約できる場所に移動している傾向だ。
PoWは、トランザクションを実行して熱を帯びてしまったマシンを冷却するために、より高い電力コストを必要としている。
業界外の人々がエネルギーの使用を懸念する現状から、PoSは効率的であることを見せる絶好の機会だと、Sutherland教授は見ている。
PoSとコモディディ
TheBlock Dailyによると、PoSでは、ゴールまでの直線的な競争ではなく、バリデーター(承認者)によるトークンの「ステーク(利害関係)」が確認される。ブロック生成頻度は、ステークの割合に比例し、これが20%のトークンをステークしている場合、20%のブロックを生成することができ、長期間にわたって報酬を獲得できるということを意味する。
一般的に、より多くのトークンをステークする人は、「宝くじ」のようなシステムで次のブロックを生成するために選出される可能性が高まり、ステーク量に応じた配当を受け取ることができる仕組みになる。
これらの背景を踏まえ、Sutherland教授は米国内国歳入庁(IRS)の2014年の課税ガイダンスが、ブロックチェーンの報酬への過程の複雑さを完全に把握できていないと指摘。
現時点では、IRSはこれらの報酬を「所得」と見なしており、これはステーク報酬を獲得した瞬間に課税されることを意味している。
しかし、Sutherland教授はステーク報酬を「資産」として見なすべきだと主張している。この場合、売却した際の利益に対して初めて課税されることになる。これは多くのコモディディにも見られる仕組みだと説明した。
「地球から採掘された石油や何かであれ、耕作された何かであれ、飼育された何かであれ、時間と資源の投資によって作られた何かであれ、それは財産である」とSutherland教授は主張しており、「組立工程によって作られる何かは収入ではないのだ。」と付け加えている。
そして、これらのコモディディは、最終的に売却された時点で課税される。Sutherland教授によると、仮想通貨についても同様のことが言えると述べている。商品先物取引委員会(CFTC)は2015年にビットコインをコモディディに指定し、2019年にイーサリアムをコモディディとして指定した。
なぜ報酬を所得とみなしたのか
では、なぜIRSはPoWやPoSから得られる報酬を所得とみなしたのだろうか?
Sutherland教授によると、2014年当時は、まだビットコインがユーザーや規制当局によって調査され、理解されつつある途中段階であった為、当初ではこのアプローチは理にかなっていたと述べている。
「ビットコインマイニングはより専門化しており、課税に対するアプローチの影響は、PoSよりもはるかに緩い」とSutherland教授は主張している。
しかし、多くのバリデータが関与するPoSでは、すべてのトークン保有者が報酬を受け取ることができるため、税制の適用範囲がより広く適用されると見られる。
Paul Hastings LLPの税務弁護士であり、AICPAデジタル資産ワーキンググループの責任者であるStephen Turanchik氏によると、トークンの価値が変動する可能性があることを考えると、過剰課税が問題になる可能性もあるとのことだ。
Turanchik氏によると「トークンの適正価格で課税する場合、トークンを受け取った日に過剰課税することになりうる」。
トークンを売却した際に課税する場合、保有者は実際に目に見える利益に対して課税対象にされる。例えばトークンを使用して車を購入する場合、トークンを受け取り時の価値ではなく、車の価値に応じて課税するべきだとも主張した。
この考え方は、Proof of Stake Allianceを含む、ステークの成長に関心を持つ人々から注目を集めている。提案自体は、Tax Notesという税金関連誌にも掲載されている。ルールの変更は、IRSによる2014年のガイダンスの更新もしくは国会の法律によって行われる可能性があると見られる。
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