はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

欧州中央銀行、ステーブルコインの「効果的な規制」を呼びかけ

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

重要性を増すステーブルコインの役割

欧州中央銀行(ECB)は11日、暗号資産(仮想通貨)に関する金融リスクと政策の影響を分析した報告書を発表。気候変動、分散化金融(DeFi)とステーブルコインの三つの分野に分け、それぞれを深く掘り下げた。本稿ではステーブルコインに関するECBの認識に焦点を当てる。

ECBは、DeFiの急成長に伴い、ステーブルコインが、仮想通貨エコシステムの中で重要な役割を担うようになったと指摘。報告書では、ステーブルコインの役割として次の二つを挙げた。

  1. 法廷通貨と仮想通貨のリンクとして機能しつつ、取引所(CEX及びDEX)における仮想通貨取引を円滑化
  2. DeFi市場への流動性を供給(自動マーケットメーカー取引と貸付)
  3.  

中央集権型の場合、ステーブルコインの取引量(四半期平均)は昨年、米ニューヨーク証券取引所の米国株式(430兆円≒3兆1200億ユーロ)にほぼ匹敵する規模に成長したと指摘。中でも最大の時価総額を誇るテザー(USDT)は今年3月時点で、全ての取引プラットフォームにおける全取引の65%を占めた。

DeFi領域では、今年5月にDEXの全流動性の45%をステーブルコインが占める一方で、担保型ステーブルコイン(USDTやUSDCなど)より、DAIなどのアルゴリズム型ステーブルコインが大きな割合を占め、崩壊前のテラUSD(UST: 現在はUSCT)は一時75%を供給していたという。

ステーブルコインとは

価格が常に安定している暗号資産を指す。BTCやETH、XRPなど従来の仮想通貨とは異なり、米ドルなどに価値(1ドル)を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによる担保型のステーブルコイン(USDT・USDC)や、DAIやUSTといったアルゴリズム型のステーブルコインもある。

▶️仮想通貨用語集

支払い手段としてのステーブルコイン

ECBは、実体経済において決済手段としてのステーブルコインは、実用性が不十分であると主張している。

まず、欧州では包括的な仮想通貨規制法案(MiCA)の採用を待っている状況にあり、規制の不確実性から、決済サービスプロバイダ(PSP)がステーブルコイン市場に積極的ではなく、関連サービスも限定的であることが挙げられた。

また、ステーブルコインの平均的取引速度は、既存のPOSや電子商取引のような瞬時決済には及ばないことや、取引コストが大幅に変動する可能性などから、従来の決済システムと比較して明確な優位性はないと、ECBは結論づけた。

さらに、最大規模のステーブルコインUSDTの場合、償還は週1回か営業日のみの提供となっており、法廷通貨との換金の可能性が制限されていると指摘。現在、透明性に関する要件、返金、過剰な手数料からの保護、詐欺の補償などの消費者保護措置は、ステーブルコインには適用されていないと批判した。

金融安定性へ及ぼす影響

ECBは、ステーブルコインが金融安定性に及ぼすリスク要因を以下のように特定した。

  • 準備資産の構成に関する透明性の低さ
  • ディペッグにつながる安定化メカニズムの失敗
  • 信頼の失墜に伴う大規模な償還要求

ECBはテラUSDの崩壊が仮想通貨エコシステムに衝撃的な影響を与えたことに言及。仮想通貨市場の流動性に重要な役割を果たしているステーブルコインが、暴落・破綻した場合、仮想通貨市場に大きな波紋を広げることになると警告した。

さらに、今後ステーブルコインの採用が広まることで、金融安定化に対するリスクが他の金融システムにまで伝播する恐れがあるとした。

関連:米FRB、ステーブルコインを金融安定性へのリスクとして言及

ステーブルコインの規制

ECBは、「ステーブルコインが金融安定と決済システムの円滑な機能に対するリスクとなる前に、適切な規制、監督、監視を実施する必要がある」と主張。既存のステーブルコインは早急に規制の範囲に含め、新たなステーブルコインに関しては、規制の枠組みを確立する必要があるとした。

欧州レベルでは、急成長するステーブルコイン市場を考慮し、ステーブルコイン関連規制をMiCAの規制案に「早急に」導入する必要があると主張。また、クロスボーダーの特性を持つステーブルコインに対し、国際レベルでは「一貫性があり、きめ細かく、堅牢な規制アプローチにより、世界的に公平な競争環境を確保することが重要だ」と強調した。

その一つのステップとして、G20の国際金融監督機関である金融安定理事会(FSB)によるガイダンスの提供に言及。FSBのような国際機関が、関連する基準の設定を担うことができると主張した。

関連:金融安定理事会「国際的な仮想通貨・ステーブルコイン規制枠組みは必要」

記事提供:THE BLOCK
THE BLOCKとは

Cryptoにおける”最初で最後の言葉”であること。
The BlockはCryptoにおける最高クオリティで最重要のシグナルをお届けします。日々、Website、Newsletter、Podcast、イベントを通じて、業界で最も影響力のある人々にリーチしています。

厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
13:20
米ナスダック、SECの仮想通貨規制緩和を歓迎も有価証券分類の明確化求める
米ナスダックがSECに対し、仮想通貨が「実質的に株式」である場合は同等の規制を適用すべきとのコメントレターを提出した。
11:40
世界初のXRP現物ETF、ブラジルで先行取引開始 米国承認前に実現
ブラジル証券取引所B3で世界初のXRP現物ETF「XRPH11」の取引が4月25日に開始。Hashdexが運用する本ファンドはナスダックのXRP指数に連動する。
11:25
スイス中銀総裁がビットコイン準備金提案に反対表明、国民投票イニシアチブの行方は
スイス国立銀行総裁が、ビットコインは準備金として不適合だとの見解を示した。一方で国民投票を目指す「ビットコイン・イニシアチブ」は署名活動を継続中だ。
11:15
オソフ上院議員が批判 トランプ大統領のミームコイン晩餐会は「弾劾されるべき違反」
ジョージア州代表のオソフ上院議員がトランプ大統領のTRUMPコイン保有者向け晩餐会を「弾劾に値する犯罪」と批判。上位220名の保有者を招待する計画に対し、民主党議員からは利益相反の懸念が高まり、SECへの調査要請も行われている。
10:45
「ストラテジー社によるビットコイン寡占は深刻なリスクにならず」──『ビットコイン・スタンダード』著者見解
サイフェディアン・アモウズ氏が、企業によるビットコイン寡占リスクについて見解を示した。トランプ関税政策を批判し、ビットコインによる米国債務問題の解決策についても言及している。
10:15
世界経済の不確実性はビットコインにとって追い風=ブラックロック幹部
ブラックロックの幹部が世界経済の不確実性がビットコインの価値上昇につながると指摘。フィンクCEOは先月、米国の債務管理失敗によりドルの準備通貨地位がビットコインに奪われる可能性を警告。市場の地政学的分断が進む中、低相関資産としてのビットコインの役割が注目される。
08:40
ブラックロックのビットコインETF、BTC総供給量の2.8%を保有
世界最大の資産運用会社ブラックロックのビットコインETF(IBIT)がBTCの総供給量の2.8%を保有。58万2000BTCに到達し、今週単日で6.4億ドルの資金流入を記録した。
08:02
リップル社のトップ「現時点でIPOの必要はない」
リップル社のプレジデントは、同社がIPOを行う計画は現在はないと語った。財務は健全な状態にあるとし、買収などを行なって事業を成長させることに集中すると話している。
07:55
2026年までに世界の企業が300万BTC保有を予測 ビットコイン・マガジンCEO
ビットコイン・マガジンのベイリーCEOが上場企業によるビットコイン保有が急増すると予測。現在の70万BTCから2026年末には200万〜300万BTCに拡大の可能性。
07:25
ドラゴンチェーン(DRGN )価格が2倍以上急騰、米SECの訴訟取り下げを受け
米SECとドラゴンチェーンが4月24日、新政権下の「政策的観点」を理由に2022年から続く未登録証券訴訟の取り下げを共同申請した。
06:40
米SEC新委員長初参加の円卓会議、仮想通貨業界に「大きな恩恵」期待──前任ゲンスラー氏の厳格路線を批判
米SEC新委員長アトキンス氏が就任4日目の円卓会議で仮想通貨からの「大きな恩恵」を期待すると発言。バイデン政権下の厳格路線を批判し、「目的に合った合理的な規制枠組み」確立を目指す。
06:10
前週比65%以上高騰、仮想通貨SUI(スイ)がビットコインやイーサリアムを大幅アウトパフォーム その背景は?
仮想通貨Suiが週間66%高騰し主要銘柄を上回る急成長。グレースケールSUIトラスト設立やxPortalマスターカード提携がけん引。TVLは40%増、DEX取引量は177%増と実需も拡大中。「次のソラナ」との期待も。
04/25 金曜日
21:03
コインチェック、PEPEなど4銘柄を新規取扱いへ
仮想通貨取引所コインチェックは5月13日、PEPE・MASK・MANA・GRTの取り扱いを開始する。取引所の板取引銘柄は25へ拡大し、販売所・つみたて・貸暗号資産など全サービスで対応。
13:44
取引所のビットコイン残高が過去6年の最低水準に、企業購入加速も懐疑的な見方浮上
フィデリティの報告によると、取引所のビットコイン供給量が2018年以来最低の約260万BTCに減少した。上場企業による大量購入が背景にあり、この傾向は今後加速するとフィデリティは予測している。
11:30
ステーブルコイン市場、2030年まで最大500兆円規模へ シティが成長シナリオを予測
シティグループが、ステーブルコイン市場は2030年までに最大3.7兆ドル規模に成長すると予測した。また、そのうち米ドル建てコインが90%のシェアを維持すると見ている。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧