はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

SBI北尾会長が語る、次世代金融とSBIエコシステムの未来|WebX Fintech EXPO powered by SBI Group

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

Web3.0の未来、仮想通貨実用化への道筋

SBI北尾会長によるWebX Fintech EXPO powered by SBI Group(WebX大阪)の基調講演では、暗号資産(仮想通貨)およびWeb3.0技術による「第二次経済民主化」の到来と、暗号資産実用化に向けた包括的戦略が示された。

テクノロジー進化の背景にある金融業界の根本的変革が進行していることが強調されている。

講演の冒頭、仮想通貨の実用化を阻む三つの要因として、

  1. 機能性の不足
  2. 高いボラティリティ
  3. 不透明な法規制

を挙げ、これらの課題に対する解決策として、ステーブルコインの普及が鍵となるとした。

SBIはすでに米サークル社と提携して米ドル連動型ステーブルコインである「USDC」の取り扱いを開始しており、さらにXRPを開発するリップル社の外部筆頭株主として約9%の株式を保有する立場から、「RLUSD」の取り扱い開始を発表した。

「RLUSD」は、コンプライアンスと透明性を重視した信頼性の高いエンタープライズ向けステーブルコイン。米ドル預金、米国短期国債、その他の現金同等物など高品質な準備資産によって100%裏付けられており、第三者会計事務所による月次の検証を受けている。

長期化していた米SEC(証券取引委員会)との訴訟解決により、リップルのIPO(新規公開株式)に向けた動きも起こり得ると予想した。円建てステーブルコインについては、SMBC(三井住友銀行)との提携により、信頼性の高い日本円の裏付け資産を持つステーブルコインの発行・流通を推進している。

米国法整備の進展と日本の課題

米国では、25年1月に就任したトランプ新政権の元、2024年7月14日の週を「クリプトウィーク」と呼び、重要な三法案が進展した。

FIT21法案(ジーニアス法案)が成立し、ステーブルコインの規制明確化が実現。クラリティ法案(デジタル資産に対する包括的規制枠組み)と反CBDC法案が下院を通過している。

一方、日本では暗号資産が資金決済法で決済手段として規定されているものの、実際は投資対象が主流となっていると指摘。税制面では雑所得扱いで最大55%の課税、ETF認可の遅れ、レバレッジ規制(現在最大2倍、2019年まで25倍)などの課題により市場成長が制限されている。

北尾会長は「もっと合理的な倍率を決めるべき」として規制緩和を訴え、「適切な税制改正が行われれば、日本の市場は爆発的に拡大し得る」と強調。「金融ほど自由を欲するものはない」として、シンガポールで第二のSBIを設立し、グローバルなWeb3.0関連サービスを提供する新会社の設立を発表した。

関連:金融庁、暗号資産の税制見直し要望へ 分離課税導入とETF組成促進ー報道

日米の規制環境格差と課題

米国では2024年7月14日の週を「クリプトウィーク」と呼び、FIT21法案の成立、クラリティ法案と反CBDC法案の下院通過など重要な法整備が進展した。

一方、日本では資金決済法による規定はあるものの、最大55%の雑所得扱いや認可の遅れ、レバレッジ規制などにより市場成長が制限されている。

北尾会長は「合理的な倍率を決めるべき」として規制緩和の必要性を訴え、「適切な税制改正が行われれば、新興市場は爆発的に拡大し得る」との見解を示した。「金融ほど自由を欲するものはない」として、自由を求めてシンガポールで第二のSBIを設立したことを明かし、有望な若手起業家がシンガポールやドバイに進出している現状への危機感を表明している。

セキュリティトークンの実用化事例

RWA(現実資産)の時価総額は2023年末から2025年2月で約170億ドルと1年で倍増している。プライベートクレジットが約116億ドルで7割近くを占め、米国債が36億ドルで2割という構成だ。

ボストンコンサルティンググループの予測では、2033年には市場規模が18.9兆ドルに達し、年平均53%の成長率で拡大するとされている。

株式のトークン化では、米Dinariが2025年6月にSECから認可を受け、ブロックチェーン上での株式取引サービス開始を予定。SBIの投資先であるDegiFTは、シンガポール金融管理局と香港証券先物委員会から認可を受けたデジタル資産取引所として、24時間取引や低コスト化を実現している。

新たに発表されたSBIとスターテイルとのジョイントベンチャー設立では、トークン化された株式をはじめとするあらゆるRWAのオンチェーン化をグローバルに推進するプラットフォームの共同開発を進めるとした。

関連:SBIホールディングスとStartale Groupが戦略的合弁会社設立を発表

決済インフラの革新とSWIFT脱却

従来のSWIFTシステムからの脱却が進む中、SBIはFIUSDのローンチや、マスターカードとの提携による決済効率化を推進している。R3社が開発するCordaの技術活用により、銀行向けにより効率的な技術レイヤーを提供し、事実上のCBDCインフラとしての活用も視野に入れている。すでに約8000億円の資金が先端領域に流れており、SBIグループの6700万件の顧客基盤を活かした拡散戦略を推進中だ。

金融×メディア×AI融合戦略

さらに、SBIネオメディアを中心とした金融とメディアの融合戦略では、「金融とメディアはどちらも基本的には情報産業」として、デジタル化とAI技術による相乗効果を追求していることを強調した。

インターネットの普及により急速に発展したネット証券事業では1400万人超の顧客数を誇り、大手証券の規模(約350万人)を大幅に上回る規模でインターネットによる価格破壊を実現した実績を踏まえ、メディア業界でも同様の変革を目指している。

イーロン・マスクのXスーパーアプリ構想などを参考に、KDDIやソフトバンクなどの通信キャリアとの提携関係を活かし、金融情報の提供にとどまらないスーパーアプリ構築を目指している。

SBIの北尾会長は「現状をガラッと一変させたい」との強い意志のもと、デジタルスペース生態系と既存金融の融合による包括的な変革ビジョンを描いている。規制環境の整備、技術インフラの構築、新ビジネスモデルの創造を通じて、Web3.0時代の新たな金融生態系構築への明確な道筋が示された基調講演となった。

関連:『大阪をアジアの金融ハブに』吉村府知事とSBI北尾会長が語る、次世代金融都市構想|WebX大阪

関連:ステーブルコイン「USDC」の買い方と特徴|SBI VCトレードでの購入方法を解説

2025年8月25日-26日 東京開催

WebX 2025

CoinPost主催 - アジア最大級のWeb3カンファレンス

注目のスピーカー

Web3・仮想通貨業界を代表する世界トップクラスのスピーカーが東京に集結。 最新技術動向から投資戦略まで、業界の未来を形作る貴重な議論をお届けします。

その他の注目スピーカー

アーサー・ヘイズ

BitMEX、Maelstroom創設者

オードリー・タン

台湾の元デジタル大臣

堀江 貴文

実業家

宮口 あや

イーサリアム財団理事長

松本 大

マネックスグループ会長

ヨーロピアン

個人投資家(仮想通貨)

テスタ

個人投資家(株)

岐阜暴威

個人投資家(株)

WebX 2025について

WebX 2025は、CoinPost企画・運営による日本最大級のWeb3・仮想通貨カンファレンスです。2025年8月25日から26日まで、東京のザ・プリンス パークタワー東京で開催されます。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
08/22 金曜日
15:36
リミックスポイント、マイニング事業者向け電力小売プラン開発へ
リミックスポイントがマイニング事業者向けの電力小売プラン開発に着手。暗号資産価格連動プランや再エネ活用など革新的なサービスを2026年開始予定。207億円のBTC保有企業が業界初参入。
15:07
日本のステーブルコイン市場、規制環境と事業機会を議論|WebX Fintech EXPO powered by SBI Group
三井住友FG磯和氏、Progmat齊藤氏、Circle榊原氏がステーブルコインの現状と展望を討論。100万円制限の課題、企業向けCMSでの活用、AIとの連携など、日本市場での実装に向けた戦略を議論。
13:55
SBIVCトレードと三井住友銀行、ステーブルコイン流通で提携 セキュリティトークン決済効率化も推進
SBIVCトレードと三井住友銀行がステーブルコインの健全な流通に向けた基本合意を締結。別の発表では大和証券やSBI証券などがセキュリティトークンのDvP決済実証プロジェクトを開始。
13:51
SBI北尾会長が語る、次世代金融とSBIエコシステムの未来|WebX Fintech EXPO powered by SBI Group
SBI Holdings北尾会長がWebX大阪で次世代金融の包括的ビジョンを発表。Web3.0による「第二次経済民主化」の実現に向け、RLUSD取り扱い開始、SMBCとの円ステーブルコイン開発、シンガポール新会社設立を明かした。さらに金融×メディア×AI融合によるSBIエコシステム拡大戦略を詳報。日本の規制課題と市場拡大の可能性も言及した。
13:47
SBI VCトレードとリップル「RLUSD」発行合意 年内ステーブルコイン流通目指す
SBI VCトレードとRippleが基本合意し、日本で米ドル建ステーブルコイン「RLUSD」を発行へ。2025年度内の取扱い開始を目指す。
13:20
三井住友銀行・電算システム・アバラボ、円ステーブルコイン共同検討
電算システムHD子会社が三井住友銀行・アバラボとステーブルコイン共同検討の基本合意書を締結。国民民主党玉木代表もJPYC登録を受け政策支援表明で円ステーブルコイン実用化加速。
12:50
「ビットコインは100ドルまで下落」予想のハーバード大経済学者、想定外の誤り認める
ハーバード大のロゴフ教授が2018年のビットコイン100ドル予想の誤りを認めた。一方で、仮想通貨への否定的な見解を維持し、想定外だった点を列挙した。
12:16
SBIホールディングスとStartale Groupが戦略的合弁会社設立を発表
SBIホールディングスとStartale Groupが戦略的合弁会社設立を発表した。トークン化株式とRWAを対象とした24時間365日稼働のブロックチェーン取引プラットフォームを共同開発し、グローバル金融の変革を牽引する。
11:50
金融庁、暗号資産の税制見直し要望へ 分離課税導入とETF組成促進ー報道
金融庁が2026年度税制改正で暗号資産の分離課税導入を要望することが判明。現行の最大55%から20%へ税率引き下げ、ビットコインETF組成を促進する税制整備も盛り込む。業界団体は損失繰越控除など幅広い改正を要望中。日本の暗号資産市場活性化に向けた重要な転換点となるか注目。
11:45
『大阪をアジアの金融ハブに』吉村府知事とSBI北尾会長が語る、次世代金融都市構想||WebX Fintech EXPO powered by SBI Group
WebX2025で実現した独占対談。大阪府吉村洋文知事とSBIホールディングス北尾吉孝会長が、大阪国際金融都市構想の進捗と今後の展望を語る。3年間で海外金融機関27社誘致、650社のスタートアップ創出など具体的成果から、ODXでのトークン化戦略、ステーブルコイン決済導入、副首都構想による東京一極集中脱却まで、日本の金融DX戦略の全貌を解説。
10:55
シンガポール大手銀DBS、イーサリアム上で仕組債をトークン化へ
シンガポール大手銀DBSは、仮想通貨イーサリアムのパブリックブロックチェーン上で仕組債をトークン化すると発表。サードパーティのプラットフォームで自社以外の顧客に提供する。
10:35
米司法省高官「悪意なくコードを書くことは犯罪ではない」 トルネードキャッシュ有罪判決後に
米司法省が分散型ソフトウェア開発者に対する無認可送金での訴追停止を表明した。8月初め、仮想通貨ミキサー「トルネードキャッシュ」創設者に有罪判決が出たところだ。
10:00
ビットコイン需要3分の2減少、利確フェーズ継続=クリプトクアント週次分析
クリプトクアント最新分析で仮想通貨ビットコイン需要が7月ピーク17万4000BTCから5万9000BTCへ大幅減少。ETF購入も4月以来最低水準で利確フェーズ継続。
08:30
米CFTC、仮想通貨スプリント第2段階開始 トランプ政権デジタル資産報告書勧告を全面実装へ
米CFTC代行委員長が8月21日、仮想通貨スプリント第2段階開始を発表。トランプ政権デジタル資産市場報告書の全勧告実装に向けステークホルダー協議も開始。
07:50
米下院国防予算法案、CBDC禁止条項追加
米下院が国防予算法案にCBDC発行禁止条項を追加。エマー議員の反CBDC監視国家法案が組み込まれ、FRBの個人向け中央銀行デジタル通貨発行を阻止。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧