世界12ヶ国の企業幹部、8割がブロックチェーン技術導入を検討=デロイト調査
企業幹部はブロックチェーンを期待
世界4大会計事務所の一つ、デロイトは、大企業の幹部がブロックチェーンについてどう考えているかに関する2019年の年次調査を実施した。
調査対象となったのは12か国(米国、英国、アラブ首長国連邦、スイス、シンガポール、ルクセンブルク、イスラエル、香港、ドイツ、中国、カナダ、ブラジル)の大企業であり、1386人の幹部を対象に行われた。
全体として、デロイトはブロックチェーンがより多様な利点を提供し、潜在的なユースケースの多様化を促進しており、成熟度が増していると結論付けた。
フィンテックだけではなく、テクノロジー、メディア、テレコミュニケーション、ヘルスケア、そして政府など多様なセクターに活用が広まっていることにも注目した。今後12か月以内に新しくブロックチェーンの取り組みに500万ドル以上を投資する組織は増えているという。
ブロックチェーンへの関心
調査に対する回答では83%が、ブロックチェーンをビジネスで有効に活用できる例があると答えた。昨年から9%増加となったという。
ブロックチェーンテクノロジーを採用しないと、競争上の優位が失われると考えている幹部も、2018年の68%から今年は77%に拡大。
企業のサプライヤー、カスタマー、競争相手などが課題を解決するために、ブロックチェーンの導入を計画、準備しているか、という問いについても82%が「計画、準備している」と回答した。昨年から5%の増加だ。
また53%が今年、ブロックチェーンテクノロジーがそれぞれの組織にとってすでに重要な優先事項になったと答えている。これは、昨年から10%の増加に相当する。
ブロックチェーンの導入が少しずつだが、着実に広まっている様子が伺える。一方、ブロックチェーンを取り入れる上でのバリアとなっていることについて意識調査からは、ブロックチェーンのセキュリティ面での信頼性向上が示唆された。
企業幹部がブロックチェーンに規制上の問題があると考える割合は昨年の39%から30%に低下。さらに、2018年には35%がブロックチェーンテクノロジーに潜在的なセキュリティ上の脅威があると考えていたが、今年その割合は29%に低下している。
中国、シンガポール、イスラエル
今回の調査では特に、中国、シンガポール、イスラエルに個別の状況分析があった。
中国では、商品のトレーサビリティや著作権の管理などにも政府がブロックチェーンの活用を検討している。73%の回答者がブロックチェーンは中国で優先される事項の上位5位以内に入ると答えており、他のどの調査対象国よりも高い割合だった。仮想通貨などが厳しく取り締まられている中、政府も推進を明言しているブロックチェーンへの期待が高まっているようだ。
シンガボールでは、政府がブロックチェーン事業への優遇税制を採択したり、公的投資を行っている。そのことを背景として回答者のブロックチェーンの将来性への期待値は、他の国よりも高かった。
イスラエルはITや情報分析、暗号化などの研究開発や事業が盛んなことで知られているが、政府機関でもメッセージングシステムにブロックチェーンが取り入れられるなど、次第に浸透を始めている。暗号化や、ブロックチェーンを土台とした追跡、セキュリティシステムなどの面でこれから世界をリードしていくポテンシャルが見出されるという。
参考:デロイト
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します