CZが語る世界同時株安の行方 ビットコインの価値再考はココから

CZ氏がブログで発信

コロナショックで世界市場全般に動揺が広がる中、仮想通貨取引所最大手バイナンスのCEO、CZ氏は究極の問い=「ビットコインは安全資産なのか」と題し、Q&Aの形でビットコインと仮想通貨に対する独自の見解をブログで披露した。

ビットコイン価格が暴落した理由から、現在の金融システムの問題点に至るまで、「完全に個人的な意見」と前置きした上で、率直に忌憚なく持論を展開した。

まずCZ氏は、グローバル市場が暴落する中でも、法定通貨と異なり「発行総量が限られている」仮想通貨については全く心配していないと主張。ただし、ビットコインは安全な避難先か否かについて白黒の判断を下すのではなく、現実世界がどのようであるか、より深い見方をする必要があると述べ、次のような例えを用いた。

  • 世界市場=タイタニック号
  • ビットコイン=浮き輪

浮き輪自体の機能は失われていなくても、沈みゆくタイタニック号に結び付けられているとしたら、どうなるだろうか。基本的にビットコインや仮想通貨の機能は変わっていない中で、「指数関数的に法定通貨が印刷されている」場合、やがてどのようなことが起きるか、自分で判断して欲しいと話した。

ビットコインが暴落した理由

ビットコイン価格が大幅に下落した理由としては、まず自由市場で取引されている資産であること、そして多くの異なる経済的事情を抱える市場参加者によって取引が成り立っている事実を指摘した。

仮想通貨信奉者から、仮想通貨投資初心者、また経済的に余裕のある投資家と短期的利益のために生活費まで投資する層など、投資・取引に対するそれぞれの思惑や状況は常に変化し、相場もその影響を受ける。

またこの場合、市場の大きさが重要であり、仮想通貨市場の1000倍である株式/法定通貨市場が暴落すると、仮想通貨市場の時価総額の何倍もの価値が消失してしまうことになるとした。

まさにタイタニック号が沈没しつつある隣で、仮想通貨が浮き輪をつけて泳いでいるようなもの。渦に巻き込もうとする強い力に屈しないように、「タイタニック号に取り付けられていない浮き輪」にしっかりとしがみついていれば、いずれは水面に浮上できるだろうと例えた。

コロナウイルスの影響

CZ氏は現在の仮想通貨の普及率を1000人に一人の割合と推測し、まだ普段の買い物等に使用できるほどではなく、今回のパンデミック状況下でスーパーの棚が空になるのを目の当たりにした人々は、食料や日常品確保のために、まずは株式や仮想通貨などの資産の現金化を優先すると指摘した。また従来の安全資産とされる金(ゴールド)も例外ではなかった。

しかし、コロナが社会へ致命的な影響を与えているのは事実である一方、ワクチン開発も進んでおり、いずれは終息を迎える。そして社会に落ち着きが戻ると、人々は再び、現金を投資商品へ戻していくだろうと予測した。

変化が現実となる時間差が鍵

FRBがいわば「お金を印刷している」のに、ビットコイン価格が上がらないのは、市場の非効率性、つまり、変化が経済に波及する速度が遅いからだとCZ氏は指摘。

政府の政策発表が実際に現実化するまでにかかる時間や、人々が投資行動を起こすのにかかる時間などを具体的な例を上げ説明。だからこそ、多くのチャンスも存在するという。

またCZ氏は、基本的に現在の金融システムは壊れており、ビットコインがそれを修正することになると主張した。

現システム内のプレイヤー(大手企業のCEO等やウォール街バンカー)を憎むのではなく、プレイされているゲームを憎むべきだと述べ、株価をつり上げるためには手段を選ばないような状況を作り出しているシステムは、すでに壊れていると、説明した。

さらに、なぜ政府がこのような企業(銀行)を救済し続けるかは、「全く分からない」としながらも、「大きすぎて潰せない(too big to fail)」という理由の裏側にある「計算」について数字をあげて説明: 一つの銀行が破綻した場合、銀行を救済する方が、破綻によって損失を被る個人全員を救済するよりも「安上がり」であり、一国あたりの銀行数を考慮すると、投資家の信頼を取り戻すのに「2兆ドルを印刷することは完全に理にかなう」という。

さらに、「お金を印刷すること」は納税者から間接的に「奪う」行為であるのにも関わらず、一般市民からの大きな不満が持ち上がることもない。責任の所在の詳細が明らかにされることもないと指摘。しかし、このような対処の方法は、将来、さらに大きな問題が発生する原因を作り出すが、その時点では、「他人の問題」であり、いつか破綻するまで同じような「ゲーム」が延々と繰り返されることになる。

そしてこのような「壊れたシステム」を修正できるのがビットコインや仮想通貨であるとの信念こそが、CZ氏が仮想通貨に常に強気である理由だという。

2008年との違いについては、まず「世界経済を一時的に停止させてしまう」コロナウイルスの威力をあげたが、きっかけに過ぎないとしている。

より重要な違いは、問題の原因であるシステムが奇跡的に回復するのを願う以外にも、今回はより多くの「選択肢」があることだと、次の『格言』に結んだ。

「Long Bitcoin, short the bankers.」

ビットコインをロングして、銀行家をショートしよう。

出典:バイナンス ブログ

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