プロが解説:アルトコインの投資戦略、メリットとデメリット

アルトコイン投資を行うメリットとデメリット

一般的に「仮想通貨(暗号資産)」と呼ばれるものでもかなりの量の種類があり、草コインと呼ばれる全く時価総額がないものを含めると、何千という種類が世界に存在します。

そして大きく分類した場合、仮想通貨の世界では「ビットコイン」or「アルトコイン」と大別されています。アルトコインというのは「Alternative Coin」から派生した造語のようなものです。

ビットコインとアルトコインにどのような違いがあるのか、メリットやデメリット、そして投資戦略についてここで解説します。

アルトコインのメリット、デメリット

最初にアルトコインの特徴をメリット、デメリットを含めながら説明したいと思います。

流動性が低く、値動きが大きい

最初の特徴は、ビットコインと比較して非常に流動性が低いため、値動きが大きいことが特徴として挙げられます。これはメリットでもあり、デメリットとも言えるでしょう。

流動性とは簡単な言葉で説明すると「通貨の取引量」を指しています。この取引量が多いということは、それだけ参加している投資家も多いため、細かく注文が入ることから値動きが大きくなりにくくなります。

一方で取引量が少ない通貨の場合、突如大きな注文が入ると、その注文が相場全体に影響を与えることも多々あり、価格が大きく変動します。しかしトレンドを作り出すようなものではなかったりすることも多く、すぐに価格が戻ってきたりすることもあるため、相場が読みにくいという特徴があります。

よく相場の世界で「ノイズが多い」という言い方をしますが、ノイズというのはこのブレが大きくチャートが変に見えてしまうことを指しています。

しかし、逆にこれを利用することで少額で取引を行なっている投資家であれば、一回のトレードで大きな利益を出すチャンスがあるとも言えるでしょう。 ノイズというのは下記のような動きを指しています。

こちらは流動性の低い仮想通貨取引所のビットコインのチャートですが、このように流動性が低い市場では、瞬間的に5%以上下落することもあるということです。

このような動きが、アルトコインでは色々な取引所で発生することになるため、注意が必要となります。

売りたいときに売れないリスクがある

次のアルトコインのデメリットとして「良い価格で売却ができない(買い戻しができない)」というリスクが発生します。

これは先ほどの「流動性が低い」というポイントに関連しますが、流動性が薄いということはそれだけ注文を出している投資家も少ないということです。そのためもし保有している仮想通貨を売却したいと考えた時に、市場に買い手がいない場合は、強制的にその仮想通貨を保有せざる得なくなるというリスクも存在します。

アルトコインでも千差万別であり、リップル(XRP)やイーサリアム(ETH)等、アルトコインの中でも時価総額が1兆円を超え、流動性がある程度あるものもあり、通貨の種類でこのリスクは大きく異なります。アルトコインだから同じリスクではありませんので注意しましょう。

まず投資家が仮想通貨を取引する際、どの程度対象通貨に流動性があるのかチェックすることが必須です。その上で利用する仮想通貨取引所の注文状況を把握して、自分が行う取引量を設定することが大切です。

「値動きが大きく、楽しいからたくさん取引する」という安易な発想は、売る時に売れないリスクが存在することも往々にしてあるマーケットのため注意してください。

テクニカル分析が機能しない

アルトコインでも、世界中の仮想通貨取引所に上場していて、かつ時価総額の高いリップル(XRP)やイーサリアム(ETH)くらいまでならテクニカル分析は機能することも多いですが、個人的には、それ以外でテクニカル分析を使ったとしても、先ほど説明したノイズによって損切りをさせられたりすることから、テクニカル分析はあまり利用する必要はないと考えています。

大事なのは、トレンドとリスクリワードを優先した方が賢明です。

「テクニカル分析が機能する市場は、取引参加者、取引量が多いところのみ」という基本原則を頭に入れておきましょう。

アルトコインの投資戦略

では、アルトコインの投資戦略はどのような手法があるのか解説します。

アルトコインの投資戦略で一番考えるべきことは「特徴を把握すること」と投資の大事な考え方である「リスクリワード」です。そして短期的に稼ぐのではなく、大きく動くのを待つことが必要となります。

リスクリワードを考えるということを簡単に説明すると「利益と損失のバランスを考えてトレードすること」です。よく「1勝2敗でも利益が出るようにトレードすること」というような言葉を聞かれたことはないでしょうか。

これはリスクリワードを指している言葉であり、仮想通貨でも「損小利大」という投資の原則は生かす必要があるということでしょう。

そして、テクニカル分析がほぼ役に立たないと考えた時にできることは、低位で安定しているアルトコインを様々な種類で分散投資を行い、大きく上昇することを待ち、40%とか50%辺りで「利益確定」の注文を出しておくことです。

この場合、他に9つのポジションが▲5%で損切りさせられたとしても、1つが50%上昇することにより、1勝9敗でも利益が上がることになります。これは一例ですがアルトコインの上昇を楽しむ投資法としては面白い投資でしょう。

もし10万円使えるとすれば、5000円を20回に分けることも一考です。分け方はそれぞれであり、投資は損失を少なくすることが大切なので、アルトコインでは分散投資を必ずしておくべきと考えています。

もう一つの投資戦略

またアルトコインを利用したもう一つの投資戦略は、ビットコインとのペアで、ドミナンスや参加者の変化を利用した中長期トレードを行うものです。 (※ドミナンスとは「市場占有率」で仮想通貨市場全体に占める各通貨の割合を示したもの)

これはファンダメンタルズを利用したトレード手法で、BTCの強弱を予想しつつ、アルトコインのペアで取引を行うというものです。

仮想通貨には「ビットコイン」と「アルトコイン」の2種類があるように、ビットコインが、ある意味FXの世界の「米ドル」に該当します。つまり米ドルの強弱を見ながらどの通貨をトレードするかFXのトレーダーが決めているのと同じように、ビットコインの強弱を計りながらトレードを行うというものです。

特に仮想通貨の世界ではドミナンスの動きというのが継続して動きやすく、中長期的にニュースから考えるとわかりやすいものです。

下記が2017年からのドミナンスのチャートです。

オレンジがビットコインを示しています。

ご覧頂くとわかる通り、2018年初頭の仮想通貨バブル崩壊以降、個人投資家が脱落し、一方で商品が多様化され機関投資家の参入が増加した結果、流動性が厚いところに、より取引が集まるようになり「ビットコイン一強時代」となりました。

これは至極当然の動きであり、参加者の変化を考えるだけでもこの仮想通貨同士の取引は行いやすいと言えるでしょう。

また、アルトコイン同士の取引でも取引は可能です。特にアルトコインの場合売られるときは恒常的に売られやすい癖があり、なかなか取引参加者のセンチメントが反転するということはありません。

そのため、売られている通貨を基軸として取引することも効率的なトレードとなるでしょう。

下記は、ビットコインを外したドミナンスの変化です。

このようにして考えると、イーサリアムがアルトコインの中でも底堅く、また少し上向きになりつつある中でリップルやライトコインは緩やかな下落をしているのが把握できます。

つまり、ETH/XRPやETH/LTCのロングをしておけば大きく負けることはないのではないかという予想が立ちます。 あとはチャートで分析してエントリーポイントを考えていけばいいでしょう。

アルトコインの特徴を活かすこと

最後に、アルトコインの特徴はメリットはデメリットでもありますし、デメリットはメリットになるとも言えます。これは投資家の性質次第であり、活かすも殺すも投資家次第とも言えるでしょう。

初心者の方は、やはりどうしても最初は「XRP/JPY」や「ETH/JPY」等、日本円との価格で取引を行うことがスタートになると思います。

しかし、世界中の仮想通貨取引所でBTC建ての基軸通貨として採用されるビットコイン(仮想通貨全体)が下落すると、その通貨が悪くなくても自然に一緒に下落するという動きになることになるため、仮想通貨全体と法定通貨を取引しているようなイメージになります。

そのため、慣れてきたら仮想通貨同士の通貨ペアを勉強することで、自身の取引の幅というものが広がるでしょう。 仮想通貨同士のペアを使い慣れると大きな武器となりますので、ぜひ勉強してみることをおすすめします。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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