イーサリアム共同創業者ヴィタリック「人々はDeFiのリスクを過小評価している」
DeFiバブルは手数料の高騰にも
イーサリアムの共同創設者であるヴィタリック・ブテリンは、投機的に過熱するDeFi(分散型金融)の様相に懸念を示した。
ブテリン氏は、イーサリアムの5周年を記念したインタビューで、イーサリアム2.0や、DeFiについて、自身の考えを語った。
多くの人々が過小評価しているものの一つは、スマートコントラクトのリスクだと考えている。
ブテリンは、DeFiのリスクについて銀行とDeFiの比較を例にして語った。現在、CompoundのようなDeFiレンディングプロトコルでは、USDTに代表される米ドルのステーブルコインを預けた場合、銀行に米ドルを預けるより高い金利が得られる。
そうなれば、当然DeFiに預けるのがより良い選択であるが、ブテリン氏は、それは両方のシステムが全てにおいて同等である場合のみそう言えるとした。
実際にはDeFiはまだ歴史が短く、システムが破綻する可能性もより高いが、人々はこのことを十分に計算に入れていないという懸念があるという。
ブテリンは、監査を第三者機関などから受けているDiFiプロジェクトについて、彼らが過去の失敗から学び、多くの努力を行っていると評価したものの、それと同時に、破綻リスクを含めた上で銀行を上回るような魅力のある段階にDeFiはまだ達していないとした。
この批判から得られる重要な点は、DeFiはまだ問題ないが、多くの一般人が彼らの老後の蓄えを預けるよう主張するような場所ではない、ということだ。
一方で、この考えが通用しない状況もある。ブテリン氏は法定通貨がハイパーインフレを起こしているような、中央集権的なシステムが不安定である地域や特殊な背景では、DeFiに預けたほうが良い場合もあると付け加えた。
DeFiにはサステナブルでないものもある
また、インタビューでは、度々イールドファーミングの言葉が挙がった。イールドファーミングとは、仮想通貨の売買によって利益を出すのではなく、レンディングサービスなどに仮想通貨を預けることで、可能な限り多くの金利収入を得ようとするものだ。
ブテリン氏は、DeFiにおいてサステナブル(持続的)ではないものとしてこのイールドファーミングを例に挙げた。
これは短期的なものだ。一度誘引が無くなれば、利回りは容易く0%近くまで落ちるのを見ることになるだろう。(中略)このような今わたしたちが持っている一時的なアドバンテージを、誰もがDeFiに取り組む理由として世界に押し出すべきものではない。
ここでいう誘引とは、流動性マイニングなどを指している。つまり、そのプロジェクトに仮想通貨を預けることで流動性を提供することで、報酬としてガバナンストークンを受け取ることができるような仕組みを指している。
このような流動性を向上させるための施策がいずれ終わりを告げれば、仮想通貨をそういったプロジェクトに預ける魅力は減っていくことになる。
参考:Youtube
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します