仮想通貨TOP30の時価総額と出来高に「前例ない変化」|寄稿:CoinGecko
CoinGecko:2020年第二四半期の仮想通貨&ブロックチェーン業界レポート
先日、CoinGeckoは「2020年第二四半期の仮想通貨&ブロックチェーン業界レポート」日本語フルバージョンを公開しました。本記事では、レポート前半の重要なポイントをかいつまんで解説していきます。
1. マーケット動向
第一四半期の末に大きな暴落を経験したにも関わらず、第二四半期はマーケット全体が強気で、仮想通貨市場の時価総額は44.5%上昇しました。興味深い点は、時価総額と出来高に大きな乖離できたことで、これは過去に前例のない変化です。
要因の一つが、投資家による長期保有傾向の高まりです。コロナ禍で生じた世界的な緩和政策が、ヘッジ資産であるビットコインの長期的保有を促しているのだと考えられています。
2. ビットコイン半減期
5月に行われた3度目のビットコイン半減期は、業界にとって今年最も重要なイベントの一つでした。半減期直後、一時的にハッシュレートが約30%下落することがありましたが、その後すぐに回復しています。なお本記事の執筆時点(7月28日)、ハッシュレートは最高値を更新し続けています。
3. 仮想通貨取引所
長期保有の傾向の高まりによって、仮想通貨取引所の出来高は全体で約7%減少しました。その出来高減少を牽引したBinanceやBitfinexなどの主要取引所は、同時に出来高シェアも大きく失っています。
ただし、主要な取引所の独自トークンのパフォーマンスを堅調でした。BNBやHT、OKBといったトップ5の取引所トークンの平均リターンは21%となっています。これらのトークンが持つバーン(焼却)機能は、時間の経過と共に定期的に供給量を減少させ、価格を上向かせる性質を持っている点が特徴です。
ところで、一般的な中央集権型取引所とは対照的に、DeFiエコシステムの成長によってDEX(分散型取引所)の出来高は急成長しました。特にUniswapの成長は著しく、幾度か主要な国内取引所と並ぶ出来高を更新しています。
4. BTC無期限先物
第二四半期のBTC無期限先物市場では、Houbiの参入によりBitMEXとBinance Futuresが大きく出来高シェアを失いました。同時に、市場全体の出来高も20億ドルほど減少しています。
しかし、出来高減少とは対照的に、市場の未決済建玉(オープンインタレスト)は二倍増加しました。BitMEXは未決済建玉シェアを11.6%ほど失いましたが、依然として首位を維持し続けています。
執筆時点の7月28日現在、ビットコイン価格の上昇によってオープンインタレストはさらに増加しています。第三四半期も、先物及び無期限先物市場への資金流入は継続する可能性が高いでしょう。
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