大手監査法人EY、ブロックチェーン・ソリューションを2つ同時公開
EY社、ブロックチェーン製品二つを同時公開
大手監査法人アーンスト・アンド・ヤング社(EY)が、ブロックチェーンのソリューションを同時に二つ発表した。
イーサリアムチェーン上で調達を支援するものと、企業の取引監視能力を高めるものである。
EY OpsChain Network Procurement
一つは「EY OpsChain Network Procurement」で、EY OpsChainのプラットフォームに構築された、パブリックなイーサリアムブロックチェーン上で、プライベートで安全なエンドツーエンドの調達活動を実行できるソリューションだ。
EY OpsChainとはEYが独自開発した企業向けブロックチェーンで、サプライチェーン管理の簡素化、デジタル契約、共有在庫および物流情報、価格設定、請求書発行、決済などの機能を備え、食品メーカー、ヘルスケア、金融などの分野でユースケースがある。
「Network Procurement(ネットワーク調達)」は、企業のネットワークをサポート。グローバルなビジネス・ネットワークの一部として機能する企業が増えるにつれ、社内の基幹情報系システム内から、契約を管理することが困難になっている状況に対応したもの。
取引のプロセスを、個別の企業システムからブロックチェーンのスマートコントラクトに移すことで、買い手と売り手はネットワークとして機能し、契約のボリュームや支出を自動的に追跡し、国際的に合意された契約条件と価格設定を適用可能だ。
EY社の経験によると、ブロックチェーンへの移行により、必要となる時間が90%以上短縮され、費用も40%削減されたという。
Explorer and Visualizer
もう1つの新製品はEYのブロックチェーン解析ツール、Blockchain Analyzerの一部として追加された「Explorer and Visualizer」ソリューションである。これは企業の内部監査・会計部門が、トランザクションを監視する上で役立つ。
取引検索機能と視覚化テクノロジーを備えており、オンチェーンデータの詳細なパターンと傾向を調査、追跡、分析できるようにする。このことで、企業の法的順守や、不正取引のリスク管理をより円滑に行えるよう支援するものだ。
最初のリリースはビットコインをサポートし、その後、イーサリアムのサポートも追加される予定だという。
EYの国際フォレンジック・統合サービス部門長アンドリュー・ゴードンは次のように述べる。
ブロックチェーン対応のトランザクションが増え続けているため、企業は財務報告の信頼性を高め、事業活動におけるトレンドや異常を検知するための最先端のテクノロジーを必要としている。
Explorer&Visualizerソリューションは、ブロックチェーンデータを分析して不正取引などを含む、潜在的な異常値を検出するなど、求められる機能を実現するものだ。
EYによると、この「Explorer and Visualizer」ソリューションは、EY OpsChainの今後の更新時に統合される予定で、ブロックチェーン契約の締結、トランザクション実行、支払い、資本資産、サプライチェーンなどの様々な動きを、企業が、統括的な視点から追跡できるようにするという。
EY社は仮想通貨業界の台頭に伴い、ブロックチェーン業界のエコシステムをサポートする製品や機能の提供に動きだしている。
Blockchain Analyzerも、当初はトレンド分析を行う目的などに使われていたものだが、財務報告の作成、取引監査、税務会計、そして仮想通貨の税計算を行う機能も追加された。
今年6月には米国で仮想通貨の税務申告を簡単に行えるアプリもリリースしている。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します