大統領選直前のビットコイン市場、月足終値は17年12月の過去最高水準
世界経済とビットコイン
30日の米株式相場は、ダウ平均株価は前週比6.5%下げ、今年3月のコロナショック以来最大の下げ幅となった。 11月3日の米大統領選で、さらなるボラティリティーの上昇が懸念される。
米国では1日あたりの感染者数が過去最多を更新。欧米圏でのロックダウン(都市封鎖)措置のほか、大統領選などの影響で米経済対策をめぐる合意が遅れていることも投資家心理を圧迫している。
11月3日に控える米大統領選では、世論調査ではバイデン氏の支持率が現職のトランプ氏を上回っているとされる。一方、下馬評でヒラリー・クリントン優勢とされた16年の大統領選挙では、サイレント・マジョリティー(物言わぬ多数派)が、トランプ政権を誕生させたとされており、マーケットは予断を許さない展開が続くものと思われる。
トランプ大統領が再選した場合、法人減税策が継続されるほか、連邦準備理事会(FRB)への利下げ圧力など株価水準を保つための策を講じる可能性が高い反面、米国内で感染拡大するコロナ対策を疎かにしたとの批判も根強く、外交面では強硬的な発言も目立つなど先行き不透明感に拍車がかかるおそれもある。
2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴い、混雑を避けるための郵便投票が急増しており、接戦が予想される州では、開票作業や集計結果の開示に遅延が生じて、マーケットの混乱を招きかねない。
米大統領選は、「選挙人団」の制度を利用する。
投票自体は州ごとに行われ、それぞれの州で勝者を決める。各州と首都ワシントンD.C.には、人口などに応じて割り当てられた「選挙人」がおり、州(48州)の勝者はその州のすべての選挙人を獲得できる、勝者総取りの方式を採用する。全米には538人の選挙人がおり、次期大統領になるためには、過半数となる270人以上を獲得する必要がある。
前大統領選の状況
16年の大統領選では、開票作業が進むにつれ、事前予想で有力とみられていた民主党のヒラリー・クリントン候補の敗勢と共和党のトランプ大統領の勝勢が伝わると、相場は大荒れ模様に。
トランプ大統領の破天荒な性格も加味した先行き不透明感から、日経平均株価は前日比5%(919円)安となったほか、為替市場ではドル円が105円前半から101円前半まで大幅下落。その後、米国第一主義を掲げたトランプ大統領の「巨額のインフラ投資」などスピーチ内容が好感され、翌日は株価が高騰するなど乱高下している。
今回の大統領選では、短期的には株価にネガティブなどと予想されるバイデン大統領が当選した場合、直近の大幅下落でどこまで市場が織り込んでいるかが焦点となる。
ビットコイン動向
月が明けて、2日の暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン(BTC)価格は、前日比+0.23%の144.3万円(ドル)に。
月足終値で13,800ドルを記録するのは、17年12月の仮想通貨バブル期以来。
当時は市場も未成熟で、急騰の果てに一時BTC=20,000ドルを記録するも、反動も大きく、月足終値は13,860ドルでクローズ(米コインベース基準)。翌18年1月の月足も高値17,000ドル、終値10,100ドルと乱高下した末、結果的に長期下落トレンドの初動となった。
ボラの減少にステーブルコインの影響
2020年は分散型金融(DeFi)の台頭が着目されてきた。
DeFi市場での需要増を背景に、ステーブルコインの供給量は過去10か月で57億ドルから220億ドルまで拡大。第3四半期だけで、今年5月の100億ドルから10月の220億ドル以上まで増加した。中でも、テザー(USDT)の供給量はUSDCの6倍に及ぶ。
テザーの優位性は、仮想通貨取引所が早期に基軸通貨などの対応を行ったことに起因しており、USDCは、送金などアプリケーション固有のユースケースと、トークンベースの転送メカニズムを検討する機関投資家に焦点を当てているとされる。
The CipherにおけるJoel John氏のレポートによれば、昨今の仮想通貨市場では、「ビットコインよりもテザー取引の影響が増していくなか、歴史的な予備資産とされてきたビットコインのボラティリティ(価格変動性)を弱めることに役立っている可能性がある。
過去の強気相場と比較して、先物市場などデリバティブ取引所の金利動向も比較的落ち着いており、市場規模拡大に伴う流動性の上昇と現物主体の買い需要、機関投資家の参入増などが相場の乱高下減少に寄与しているものと思われる。
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