「ビットコイン市場に米国勢の台頭」3年前の仮想通貨バブルと異なる点は
2017年からの変化
12月に過去最高値を更新し、誕生から12周年を迎えた暗号資産(仮想通貨)ビットコインは、年明け早々に300万円を突破。過去最高値の2万ドルを3年ぶりに更新して以来、勢いを加速させた。
仮想通貨バブルとされた3年前(2017年)の高騰相場とは、どのような点が異なるのか。
- 機関投資家主導のマーケット
- HODL(長期保有)率の上昇
- アジア圏から米国主体に
一般投資家の減少と機関投資家の増加
GoogleTrendで確認すると、世界における「ビットコイン(bitcoin)」の検索数は、ピーク時となる3年前の「100」に対して、現在でも「34」程度に留まる。
仮想通貨・ビットコインに対する見解を改める伝統金融市場の投資家や上場企業の増加も昨今の高騰を後押ししており、機関投資家主体となりつつあることで、個人投資家の高値掴みや狼狽売りによる極端な価格変動を起こしにくくなった。
2020年は、NASDAQ上場企業のMicrostrategy社がビットコインの大量購入に動き、20年12月末時点で保有量70,000BTCを上回った。
そのほか、Twitterの創設者Jack Dorsey氏が運営するSquare社は、20年10月に5000万ドル相当のビットコイン購入を公表。米最大手仮想通貨投資企業グレースケール社のビットコイン投資信託(GBTC)は直近半年間で、約185,000BTCの新規発行量を上回る210,000BTCの購入に至っている。
特筆すべきは、Microstrategy社のMichael Saylor CEOは、かつてビットコインを「オンラインカジノに並ぶギャンブル」などと酷評していた点にある。20年10月に仮想通貨サービス提供を開始したPayPal社のBill Harris CEOも、かつてCNBCの経済番組で「ビットコインの価格はゼロに近づいていくだろう」などと懐疑的な立場を示していたが、その後ビットコインの価値を見直している。
著名投資家のPaul Tudor Jones氏やStanley Druckenmiller氏なども自身のポートフォリオでのBTC保有を明らかにし、かつてない規模の世界的金融緩和における米ドルインフレヘッジ需要を受け、ビットコインの代替資産性が着目された。
仮想通貨アナリストのtyperbole氏は、2013年や2017年の強気相場と比較すると、「アクティブなオンチェーンアドレス数」は依然低いく、一般投資家への普及は不完全」と指摘。現在の価格上昇は仮想通貨に「早期参入」した機関投資家や富裕層によって牽引されていると説明した。
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中・長期展望では、著名仮想通貨アナリストのWilly Woo氏は、20年3月に発生した「コロナショック」のようなブラックスワンが発生しない限り、24,000ドルのサポートラインを再び割り込むことはないと予想している。
HODL(長期保有)率の上昇
2017年と比較して、ビットコインを長期保有(HODL)する投資家も増加傾向にある。
2020年12月末にはブロックチェーン分析企業glassnode社ビットコインの総流通量(約1860万BTC)の内、約78%に相当するおよそ1450万BTCが「illiquid」である(取引されていない)とするレポートを発表。(約300万BTCは秘密鍵紛失などで事実上消滅した可能性があるとされる)
これにより、ビットコイン市場で常時流通しているBTCは、全体流通量の22%に相当する420万BTCとなるため、このようなビットコインの供給量の枯渇が現在の上昇相場の要因の一つだと説明されている。
アジア圏から米国主体に
さらに2017年相場との違いは、主な一般投資家が日本や韓国、中国など東アジア圏から米国をはじめとする北米圏にシフトしている点も挙げられる。
ロイターの” rel=”noopener” data-notarget=”_blank”>報道によれば、北米のユーザーにサービスを提供する取引所におけるビットコインの新規純流入は、20年11月時点で週間22万BTC(34億ドル相当)に及び、前年比7000倍まで拡大した。
また、20年11月末時点で北米の4つの大手仮想通貨取引所では1週間に160万BTCもの出来高を記録。東アジア圏の主要取引所では140万BTCの出来高が記録されたが、77万BTC→160万BTCと前年比で約2倍成長した北米圏に対し、130万BTC→140万の東アジア圏は伸び悩んでいる印象もある。
Chainalysis社の調査によると、2020年に米国内の仮想通貨取引に対する関心と需要が大幅に拡大したことは一目瞭然だ。
北米圏で続く仮想通貨の普及
なお、米国では新型コロナウイルスの感染拡大でテレワークが一般化するなか、若年層の投資活動も活性化。投資アプリのロビンフッドなどが注目を集めた。
また20年4月に米政府から市民に特別給付金1200ドルが配布された際、コインベースでは1200ドル相当の入金数と購入数が約400%上昇するなど、全額を仮想通貨取引所に注ぎ込む投資家も多く見られた。
一部では、当時の給付金をビットコインに投資した際の収益率(リターン)をトラッキングするサイトも開発されている。4月15日に配布された給付金を全額ビットコインに投資した場合、400%の利益を得る計算となっている(執筆時点)。
規制強化で普及阻まれる
一方、アジア圏が伸び悩んだ一因として、規制強化が挙げられる。
韓国では21年3月には仮想通貨取引所の口座の実名登録制を義務化する「特定金融情報法」が施行されるほか、仮想通貨から生じた24万円を超えるキャピタルゲインに対する20%の所得税の導入を2022年に施行する予定となった。
2017年に「仮想通貨禁止令」が下されていた中国では、取り締まり強化の動きが強まっている。11月には中国雲南省の電力会社が仮想通貨採掘業者への電力供給が停止されていた。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します