- 9割以上の金融機関が従来型AIまたは生成AIを導入済み
- 「技術中立」を堅持・イノベーションを阻害しない行政へ
金融機関9割がAI利用 課題も浮上
金融庁は3日、「AIディスカッションペーパー(第1.1版)」を発表した。金融機関におけるAI(人工知能)導入の現状や課題を整理し、健全な活用に向けた取組みを促進することを目的としている。
まず金融庁は、銀行、商品取引業者、保険会社など金融分野の様々な企業130社に対してアンケートを実施。また、ヒアリングも行い現状を調査した。アンケート回答先の9割以上が従来型AIまたは生成AIを活用しており、導入が急速に進んでいることが浮き彫りになっている。
従来型AIは、書類文書のテキスト化、チャットボットによる顧客対応、マネロン対策や与信審査で、生成AIは文書の要約・翻訳・校正といった日常業務の効率化で広く利用されていた。
一方で、課題としてはデータベース整備、生成AIによる回答にバイアスがある場合や、回答根拠がブラックボックス化しやすい点、AIのハルシネーション(事実に基づかない誤った説明)やセキュリティ・犯罪対策が挙げられている。
データベース整備に関しては、外部事業者が提供する汎用の生成AIモデルでは業務効率化に限界があることも多く、社内データなどを用いた基盤モデルのカスタマイズの重要性が認識されていた。
しかし、AIに学習させるための高品質な社内データが整備されていない状況だ。約半数の金融機関などが「モデル構築のための十分な学習データの確保」や 「学習データの品質管理」が課題としている。
また、短期的な投資対効果の説明が難しいことや、外部事業者による生成AIは多くの場合従量課金であり、使用頻度によっては制限なくコストが増加していくことなど、導入にあたって合意形成が難しいとの声も聞かれた。
金融機関などのAIに関する体制整備としては、多くの機関が今後の生成AI活用の広がりを見据えて、包括的なルールやガバナンス体制の検討に着手していることが分かった。AI関連の人材育成も進められている。
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- 学習用データの品質管理・十分な確保が困難
- 生成AIの回答にバイアスや根拠のブラックボックス化
- ハルシネーション(事実に基づかない誤情報)のリスク
- セキュリティ・犯罪対策の整備
- 短期的な投資対効果の社内説明が難しい
- 従量課金モデルによるコスト増加リスク
今後の対応方針
金融庁は今後、「技術中立」の立場を基本としつつ、イノベーションを阻害しないよう配慮した行政対応を目指していくとした。既存の法令・ガイドラインの適用関係を明確化しつつ、業界レベルでの知見共有や対話の機会(AI官民フォーラムなど)を提供する計画だ。
技術中立とは
法規制や標準、政策などを策定する際に、特定の技術、製品、手法を優遇・差別せず、達成すべき結果や機能を重視する考え方のこと。
また、個人情報保護、ITガバナンス、モデル・リスク管理、サイバーセキュリティその他について、既存の法令やガイドラインに沿った対応を金融機関などに促していく。金融機関からの相談にも対応する。
重大な規制上の不足点が特定された場合には、原則やガイドラインの改定なども検討するとしている。
さらに、国外事業者による画期的なAIモデルの開発など、国際的な動向を把握するために、海外のカンファレンスに積極的に参加し、国際的なルールメイキングにも参画していく計画だ。
事業者に対して期待することとしては、業務の効率化・自動化や新たなビジネスの創出など、AI活用を前提としたビジネスプロセス全体の見直しや、経営陣の主体的な関与を挙げている。
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