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セイラー氏、ビットコインBIP-110に「110の理由」で全面反対  「中立性を損なう危険な前例」

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

徹底した反対論を展開

米ストラテジー社のマイケル・セイラー会長は18日、X上でビットコインのソフトフォーク提案「BIP-110」に強く反対する論考「BIP-110が悪手である110の理由」を投稿し、改めて自身の反対姿勢を鮮明にした。

同氏は、プロトコルのルールによって、合法的なブロックスペースの利用を監視・制限するべきではないと主張。どの活動が限られたブロックスペースを競い合うかは、取引手数料やマイナーの選択、各ノードの独自ポリシーによって決定されるべきだとの考えを示した。

BIP-110は、約1年間の期間限定ソフトフォークとして、Ordinals(オーディナルズ)やRunes、BRC-20などに利用されている画像やテキストなど、金融取引以外の任意データをブロックチェーンへ記録することを制限する提案だ。

セイラー氏は、提案支持者が抱く懸念(ノードの運用負担増大、手数料の高騰、ビットコインの「健全なお金」としての本質維持)には理解を示した一方、「目指す方向性には賛同するが、その解決策には反対だ」と述べた。

同氏は、ビットコインのコンセンサスルール変更は技術的・金融的に必要不可欠な理由に基づいて行われるべきであり、データの用途に対する主観的な価値判断を持ち込むべきではないと主張した。ビットコインは取引データの「意図」を判別できないため、一律の制限は将来の金融利用や技術革新にまで悪影響を及ぼす恐れがあると警告。また、新たな用途に事前の正当性を求める考え方は、ビットコインの「パーミッションレス(許可不要)」という基本理念に反すると強調した。

セイラー氏による具体的な批判点は多岐にわたる。

  • 7つの変更の一括導入と過剰な制限:本来個別に検証すべき7つのコンセンサス変更を一括導入している点を問題視。Taproot annexやOP_SUCCESSxなどの将来の拡張余地を狭める可能性を懸念。
  • 負担証明の欠如:ノード負担軽減や手数料低下の定量的効果を示していない。
  • 互換性問題や資金凍結リスク:移行期間中に一部の事前署名済み取引が無効化・資金拘束されるリスク。
  • 一時的なソフトフォークが複雑さを増大:リスク管理には恒久的な対応が必要となり、バグが入り込む余地も拡大。
  • 代替手段の存在:手数料市場、リレーポリシー、マイニングポリシーで十分対応可能。
  • 導入基準の緩和:ソフトフォークの有効化基準を従来の95%から55%に引き下げた点を問題視。十分な合意形成が損なわれ、チェーン分岐などネットワークの混乱を招く恐れがある。

中でもセイラー氏が最大の懸念として挙げるのは、「ルールは失効しても、前例は残る」という点だ。

同氏によれば、BIP-110があくまで時限的な措置であっても、「望ましくない用途はコンセンサス変更で排除できる」という前例ができてしまえば、将来的にプライバシー技術や新たなカストディ形態、ステーブルコイン決済、トークン化といった別の用途を巡っても、同様の議論が繰り返されかねないという。

関連記事:BIP-110支持1%未満、セイラー氏が合意なき変更に警鐘

ビットコインの物議を醸すソフトフォーク提案「BIP-110」への支持が伸び悩んでいる。マイナー信号率は1%未満にとどまり、セイラー氏は合意なき改変のリスクに警鐘を鳴らした。

中立性の保護が重要

セイラー氏は、ビットコインの強みは、参加者があらゆる利用方法に同意することではなく、「中立なルール」と「強固なコンセンサス」によって意見の相違を受け止められる点にあると指摘する。何が有用で何が不要かは、プロトコルによる強制的な制限ではなく市場原理によって判断されるべきであり、プロトコルの変更は、検証、セキュリティ、有用性、資本の各側面で圧倒的な合意が得られた場合にのみ行われるべきだと強調。次のように結んだ。

ビットコインに必要なのは「純粋性の擁護者」ではなく、「中立性の守護者」だ

現在、BIP-110に対する支持は低迷しており、支持表明状況のモニタリングデータによると、支持率は全体の1%にも満たない低水準にとどまっている。マイナーによる支持はこれまで1%を超えたことがなく、主要なマイニングプールからの支持も得られていない。

ノードによるBIP-110の採用率は一桁台前半にとどまっており、そのほとんどは、Bitcoin Coreの代替実装である「Bitcoin Knots」によって支えられている。

現在のシグナリング(意思表示)期間はブロック高957,600〜959,615で、任意のロックイン(確定)期限は、8月初旬に到達が見込まれるブロック高961,542に設定されている(ロックインの最終期限はブロック高 963,648)。

BIP-110を採用したノードは、支持を示すシグナリングのないブロックを拒否し始め、9月ごろにルールが有効化される見込みだ。一方、現時点では支持するノードは数%程度にとどまり、マイナーからもほとんど支持を得られていない。このため、ビットコイン全体のコンセンサスルールが変更される可能性は低く、BIP-110を採用した少数派チェーンが分岐するにとどまるとの見方が強い。

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