仮想通貨の価格と本質的価値のズレ:SkyCoinとAIONトップが語る
コインポスト編集部は今月初め、都内で行われたアジア最大級のブロックチェーン・カンファレンス『Beyond Blocks 2018』に参加しました。
Beyond Blocksでは、仮想通貨「AION」の代表を務める「Matthew Spoke」氏(以下スポーク氏)と、「SkyCoin」の創設者の一人「Brandon Synth」氏(以下シンス氏)らとそれぞれインタビューを実施。
現在の市場全体の動きや、仮想通貨の価格と本質的価値とのズレについてコメントをいただきました。
AIONとは
ブロックチェーンネットワークにおける、「スケーラビリティ、プライバシー、相互運用性」の問題を解決するために設計された多層ブロックチェーンシステム。
昨年末、ICONは、Wanchainと共に「Blockchain Interoperability Alliance(ブロックチェーン相互運用同盟)」を結成したことで話題になりました。
本記事執筆時点(4月18日)、仮想通貨の時価総額ランキングは48位となっています。
SkyCoinとは
2012年から『新しいインターネットを作る』ためにソフトウェアの開発を進めてきた、老舗プロジェクト。
ビットコインやイーサリアムのような仮想通貨でも、どのように設計・実装されても解決できない問題を解決するため、独自の合意形成アルゴリズム「Obelisk(オベリスク)」を取り入れている。
本記事執筆時点(4月18日)仮想通貨の時価総額ランキング107位となっています。
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インタビューコメント
ビットコインの問題点についてプレゼンテーションを行なった「シンス」氏は、昨年末の激しい値動きを例に挙げ、
最も顕著なのは、昨年12月の例でしょう。
価格が2万ドル(約210万円)のピークに達した時期、投資家はこぞって買いに走りました。
しかし実際には、仮想通貨全体の規模を示すマーケットキャップにおいて、Bitcoinのドミナンスは低下していました。
希望的観測によるバブルが起きていたのかも知れません。
どの通貨を買っても価格が上昇したことで、感覚が麻痺して何でもかんでも買ってしまっていたのです。
どんなマイナーコインでも価格が数倍に膨れ上がるので、おかまいなしです。
と、問題視しました。
またAIONの「スポーク」氏も、現在価格を過剰に気にする市場の実態について、以下のように懸念を表明しています。
イーサリアムがいい例です。
イーサリアムにとっての最大の不満は、元々は”OS”としてデザインされているにも関わらず、99%の人は投機的な資産としか見られておらず、OSとして使用される機会は残り1%ほどしかないところです。
この比率をひっくり返さない限り、仮想通貨の本質的価値を見失ってしまうのではないかと考えています。
また、母国カナダとAIONのオフィス拠点のあるバルバドス、二カ国にある財務省の諮問機関に勤めているスポーク氏は、
この(ブロックチェーン)技術が10年、20年後の社会や、企業、個人のキャリアに重要な影響を与えるということへの理解を広げる必要があります。
と仮想通貨に関する”教育と理解の必要性”を強調しました。
Synth氏は、今の相場における低迷状況がそう長く続くとは考えておらず、以下のように述べています。
新しい段階に入るにつれ、実用的なアプリケーションが存在しない通貨の”失敗”が目立ち始める可能性があります。
このバブルは、多くの投資家の懐を潤していますが、仮に数十億ドル(数千億円)規模の仮想通貨だったとしても、ユーザーがいなくなれば簡単に破裂してしまう可能性があるということです。
そして、現実的かつ実用的なアプリケーションが存在する仮想通貨に、投資家が流れることになるでしょう。
価格と価値の違い
世界一の投資家とも言われる「ウォーレン・バフェット」氏は、自身の投資の鉄則として「価格の上下よりも本質的価値に重きを置いて投資している」と言います。
本質的価値とは
本質的価値(Intrinsic Value)とは、企業の将来性などを踏まえた上での”本来の価値”のこと。必ずしも市場価値や時価総額と同等とは限らない。
本質的価値の一番難しい部分は、完全には把握できない点です。
実際のところ、バフェット氏も本質的価値について多々言及していますが、その詳しい計算方法などは計りようがないため、明かしていません。
しかし、シンス氏とスポーク氏の言う通り、価値が度外視され、価格ばかりに注目する現状にも不明点があります。
本質的価値はもともと株取引で使われる用語ですが、仮想通貨の指標の一つになる時が来るかもしれません。
まとめ
2018年に入ってからコインチェック事件やBitcoinの急激な価格の下落で低迷している仮想通貨市場で、価格と価値の違いについてのシンス氏とスポーク氏の発言は時宜を得たものなのではないでしょうか。
将来性、実際のアプリケーションなどがある仮想通貨が今後生き残るという両氏の発言は印象的で、世間から誤解されている仮想通貨市場の心の叫びにも聞こえます。
またCoinPostでは今後もシンス氏とスポーク氏のインタビュー内容を掲載した記事を配信していきますのでご期待ください。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します