イーサリアム手数料を抑制する改善案、早ければ7月にローンチの可能性も
「ロンドン」アップグレードで導入される可能性
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)の手数料システムを改善するEIP-1559が、早ければ7月に実装される可能性が浮上している。
イーサリアム開発者Ryan Berckmans氏によると、7月に予定される「ロンドン」アップグレードで導入される可能性が一番高いという。
ロンドンアップグレードは、Ryan Berckmans氏 など開発者によると7月、一つ前のベルリンアップグレード次第では、2021年後半ごろを見込んでいる。
EIPとは「イーサリアム改善案」のことだ。EIP-1559はイーサリアムのネットワークで問題となっている取引手数料(ガス代)の高騰を解決する提案として注目される。
急成長するDeFiセクターで使用されていることもあり、イーサリアムの需要は急拡大中だ。それに伴い、手数料も記録的なレベルまで高騰しており、取引する際のハードルになっている。
オークション形式の手数料であることも一因だ。高い手数料を支払うユーザーがいれば、それだけ額は上昇していく。
EIP-1559はこれを変更し、すべてのユーザーが原則的に基本手数料のみで送金できる仕組みにする。この基本料金は、ネットワークの混雑度や需要に応じて動的に調整され、イーサリアムに接続されているサードパーティのプロトコルも、より安価で正確な手数料を設定できるようになる見込みだ。
またネットワーク混雑時に優先的に処理してほしい場合には、ユーザーが追加手数料を支払うこともできる。
手数料焼却により、イーサリアム価格上昇の可能性も
Ryan Berckmans氏は手数料をバーン(焼却)する仕組みにも触れている。
EIP-1559は基本手数料がバーンされる仕組みを導入するものでもあり、イーサリアムの供給量をその分減らす見込みだ。
Berckmans氏は、供給量減少によりイーサリアムの希少性が増すにつれて、イーサリアム価格も上昇し、保有者にとって恩恵になると意見している。
もし、現在EIP-1559が実装されていれば「昨日2,600万ドル相当のイーサリアムがバーンされていたことになる」と同氏は試算してみせた。
スケーリングもサポート
また、Berckmans氏は、EIP-1559はイーサリアムネットワークのスケーリング(規模拡大)も助けるものだと指摘した。
イーサリアムのスケーリングでは、「アービトラム(Arbitrum)」と「オプティミズム(Optimism)」が重要な役割を果たすが、EIP-1559はこれらの働きを助けるものだという。
「アービトラム」は、オフチェーンで取引を実行することで、毎秒500件以上の高速取引処理を行うとされるソリューションだ。
「オプティミズム」は、ネットワーク混雑時の取引処理速度の遅れや手数料高騰などの問題に対処するものである。
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