米IRS、仮想通貨の納税調査で取引所Krakenにも顧客情報の提出を要求
仮想通貨取引所Krakenにも情報要求
米内国歳入庁(IRS)が、暗号資産(仮想通貨)に係る税金の申告漏れ調査で、仮想通貨取引所Krakenにも顧客情報の提出を求めている。
これは匿名の召喚状の形で行われる見込み。特定の個人について情報を求めるのではなく、あるグループの人々が税法に違反している可能性がある場合に使われる手法である。調査対象を匿名として、あるグループの人々の名前や身元の情報を請求するものだ。
発行には裁判所の承認が必要となる。IRSは、Circle社の顧客について先日、匿名の召喚状を発行し、身元調査を行う承認を該当地区の裁判所より得ていた。
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こうした召喚状は、税金の申告漏れ調査を行うことが目的であり、宛先となる取引所が不正を疑われているわけではない。
「対象範囲が広すぎる」と裁判所は却下
The Blockの報道によると、Krakenを対象とする調査についてカリフォルニア北部地区連邦地方裁判所は、要求範囲が「広範すぎる」として修正・再提出するよう返答したという。
IRSは、Payward Ventures Inc(Krakenの名称で営業)およびその関連会社に対して、2016年から2020年の間に、年間2万ドル(約220万円)以上の取引を行ったユーザーに関する情報を要求している。
具体的にはまず、該当ユーザーに関する基本的な登録事項、ID、および取引情報を求めており、これについては裁判所も正当とした。
しかし「サービス利用上のユーザーの好み」「顧客身元確認に伴うその他の記録すべて」、「Krakenとユーザー間の通信記録、あるいはそのユーザーアカウントにアクセス権を持つ第三者とKrakenの通信記録」などの情報について、裁判所は「広範過ぎる」と判断した格好だ。
IRSは、こうした広範なカテゴリの情報は、疑わしいユーザーのアカウントを特定することに役立つ可能性があると主張したが、本件を担当したJacqueline Scott Corley裁判官は納得しなかったという。
Corley裁判官は、IRSはまず最初に基本的なユーザー情報と取引履歴を確認する必要があると推奨。その後に、Krakenや個々の仮想通貨ユーザーに対して、さらなる召喚状を発行するかどうかを判断することが妥当だとした。
Krakenの代表者は、Decryptに次のように語っている。
Krakenはまだ顧客記録の召喚状を受け取っていない。事業を行うすべての地域で法的要件や規制要件に準拠しており、規制に関する問い合わせすべてを精査し対応していく。
裁判に発展した事例も
過去には、2016年に米仮想通貨取引所コインベースに対して、同様の情報請求が提出された際に、コインベース側がプライバシー侵害だとして法廷闘争に発展した事例がある。
当時、コインベースはIRSの要求範囲は過度に広範だと訴え、裁判の過程で、その範囲を狭めることに成功した。最終的には、2万ドル相当を超える取引を行ったユーザーについて、基本情報のみを提供している。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します