金融庁、最新の仮想通貨関連トラブルで注意喚起
詐欺的な投資プロジェクトへの勧誘に注意
金融庁は暗号資産(仮想通貨)関連のトラブルについて注意を呼び掛けている。最新の掲示では、重要なポイントとして「金融庁・財務局に登録された業者かどうか確認すること」「マッチングアプリ等で知り合った人から投資に勧誘されても安易に応じないこと」という二点を挙げた。
金融庁は2017年より「暗号資産に関するトラブルにご注意ください!」という通知を仮想通貨ユーザーに対して行っており、毎年見直している。今年も4月に内容が更新されたところだ。
今回の注意喚起にあわせて、本記事でもより詳しく通知内容を紹介する。
令和2年度の消費生活相談の事例として、詐欺的な案件が多くあげられた。具体的事例も紹介されている。
(1)セミナーやSNSを通じて「絶対にもうかる」等と持ち掛けられて投資をしたが、返金されない等トラブルになっているケース
「スマホにアプリを入れて仮想通貨を運用すれば報酬が得られる」、さらに「人を紹介すると紹介料がもらえる」として勧誘されセミナーに加入。しかしその後出金できなくなる。
(2)出金するための追加費用を請求され、トラブルになっているケース
知人にもうかるからと仮想通貨を勧められ資金を振込んだが、出金には追加の支払いが必要だといわれる。
(3)無登録業者が消費者を勧誘し投資させるが、その後連絡を絶つケース
知人から、海外の仮想通貨事業者へ投資すればもうかると勧誘されお金を振り込んだ。しかし、登録したホームページが閉鎖され、出金できない。国内の窓口となっている業者名や住所・連絡先も不明。
(4)マッチングアプリ等で知り合った人に勧められて、仮想通貨の投資を開始。しかしその後出金できない、連絡がとれない等トラブルになっているケース
マッチングアプリで知り合った女性を通じて、海外取引所で仮想通貨を購入。詐欺だったのでお金を取り戻したいとする相談事例。
以上のように、最近の典型事例は、いずれも投資詐欺と考えられる案件だ。特に、「知人に勧誘された」など、ある程度知っている人物に誘われていることが特徴となっている。「出会い系サイト」の他「マッチングアプリ」など、広く使われるようになったばかりのサービスも、被害者を勧誘するためのプラットフォームとして不正使用されていることが分かる。
投資する前に確認すべき事項
知り合いに勧誘された場合でも、その仮想通貨業者の信頼性は十分にチェックすることが重要だ。
金融庁は、確認事項として仮想通貨取引所などが当局へ正式登録した事業者かどうか、金融庁・財務局のホームページで確認するよう促している。
また、その事業者が過去に金融庁・財務局から不適切な運営体制について、行政処分を受けているかなどを含め、取引内容やリスク(価格変動リスクや、ハッキングなどサイバーセキュリティリスク)について、十分に理解するよう勧告した。
その他のトラブル事例としては、フィッシングサイトにアクセスしてしまいIDやパスワードを盗まれたケース、アダルトサイトなどの請求を受けるうちに個人情報を漏らしてしまい、勝手に仮想通貨の口座を開設されたなどのケースもあったという。
国際的にみると最近、ブロックチェーン分析企業CipherTraceがDeFi(分散型金融)でのハッキングや出口詐欺事例が増えていることを報告した。
関連:市場規模の膨らんだDeFi市場が仮想通貨犯罪のターゲットに=CipherTraceレポート
どんなプロジェクトや事業者に関わる場合でも、その信頼性を事前によく確認することが必要だ。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します