マイニング産業発展する「米テキサス」で新法案成立、仮想通貨を商法に位置付け

仮想通貨への商法適用を保証

米テキサス州で、暗号資産(仮想通貨)を商法の中に位置付ける法案HB4474が成立した。仮想通貨関連産業に法的な確実性を与え、後押しするものとなる。

テキサス州のGreg Abbott知事は署名する姿をみずからツイートし、次のようにコメントした。

ブロックチェーンは成長中の業界であり、テキサス州もこれに参与していく必要がある。私は、ブロックチェーン産業を育成する上での基本計画を作る法律に署名したところだ。

この法案は、テキサス州の統一商事法典に「仮想通貨」の定義を含め、この主要なビジネス法が仮想通貨に適用されることを保証するものだ。ビットコイン(BTC)など仮想通貨に関与するテキサス州の企業は、仮想通貨を取り扱う上で法的透明性が得られることになる。

新法案の意義

4月にNational Law Reviewの記事で、法律家のDaryl Roberston氏とPatrick Boot氏は新法案の意義について説明。記事によれば、同法案は、銀行などの金融機関が仮想通貨のカストディサービスを提供するために重要な事項を定めている。

また、仮想通貨の定義を既存の法律に追加するという慎重な方法を取ったものだが、テキサス州が将来的に仮想通貨に特化した追加の法律を採用していく際にも柔軟に対応できるように作成されていると解説した。

HB4474法案は、仮想通貨の購入者がトークンの「管理権」を確立するための明確な枠組みや担保権も定めている。法案によると仮想通貨の定義は以下の通りだ。

(A)交換手段、勘定科目、または価値の保存手段として使用されているもので、(B)額面を法定通貨で表示されているかには関わらず、法定通貨ではないもの

一方、上記のものからオンライン・ゲーム・トークンや、商業的な報酬(一般に、買い物に応じたポイント等)やその他のトークンは排除している。

ブロックチェーンを育成する法案も提出

テキサス州では安価な電力が誘因となって仮想通貨マイニング事業が盛況となる中、「テキサスは、新たなビットコインマイナーのメッカ」と称するAbbott知事をはじめ、仮想通貨産業を支持する政治家も増えている。

今回成立した法案とは別に議会で審議されている仮想通貨関連の法案HB1576は、テキサス州でブロックチェーン業界のワーキンググループ設立を求めるもの。この法案は地元の業界団体「テキサス・ブロックチェーン評議会」も支援している。

同評議会によれば、HB1576は、テキサス州の既存ブロックチェーン産業について調査を行い、そのもたらす経済成長の機会を特定し、業界を横断してブロックチェーンの専門知識を深めるために必要な労働力や学術プログラムについて分析することを求めるという。

その上で、ブロックチェーン産業の障壁となる事項を減らして業界を成長させ、イノベーションや経済成長を促進するような法的推奨事項を導き出すねらいだ。

テキサス州は、電力価格が安価であり、風力や太陽光発電など再生可能エネルギーの比率が高いことで仮想通貨マイニング企業を引き寄せてきた。Bitmain、Blockcap、Argo Blockchain、Compute North、Riot Blockchain、Whinstoneなど多くの大手マイニング企業がテキサスで操業中、または新施設の建設などを計画中である。また、20年1月にはSBIホールディングスとGMOインターネットが、米テキサス州ロックデールで建設が開始した世界最大級のマイニング施設を利用する契約を結んでいる。

仮想通貨を後押しする法案成立により、ますます業界にとってテキサス州の魅力は高まりそうだ。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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