過去最大のディフィカルティ調整でビットコイン底入れサインとなるか、今後の相場の方向感は bitbank寄稿:仮想通貨週次市況
今週の相場の動きは
今週のビットコイン(BTC)市場は、35,000〜36,000ドル台で上値を重くする展開が続く。また中国でのマイニング規制を引き金に、歴史的な難易度調整も行われた。
各指標の騰落率一覧
7/2(金)終値時点の週間騰落率は、以下のようになった。
月初来騰落率
年初来騰落率
(今週の騰落率は、先週の終値、今週の終値を用いて計算。月初来、年初来についても前の月、年の終値で計算)
(仮想通貨の価格は取引所コインベースを参照、各銘柄の価格はTradingviewを参照)
6/26〜7/2のBTCチャート
bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)
今週のビットコイン対円相場は、7月2日正午時点で上に往って来いとなっており、短期では350万円台後半で今一つ方向感に欠ける展開が続いている。
週前半のビットコインは、CMEでの取引開始と同時にポジションを入れ直す動きがあったか、上昇し390万円にタッチした。その後は週末に大幅低下したハッシュレートの復調や、イーサリアムのイーサ(ETH)を中心にアルトコイン相場上昇の恩恵を受け続伸。週央にかけてはドイツ証券取引所の暗合資産(仮想通貨)ブローカー買収や米住宅価格指数の記録的上昇を受けて400万円を奪回した。
一方、週後半からの相場は上値の重い展開に一変。30日からはアルト相場の反落やドル買いの流れを切っ掛けに390万円を割り込み、米国の雇用に関する指標(ADP雇用レポート、新規失業保険申請件数)の改善や、本邦政府が、ビットコインが外国為替に該当しないという見解を示したことが相場の重石となり、足元では、2日午後9時30分発表の米雇用統計を警戒してか売りが先行し370万円割れを試している。
ビットコインは今週末、念願の採掘難易度(ディフィカルティ)調整が入る予定となっており、BTC.comによると、本稿執筆時点で-26.44%と過去最大のディフィカルティ下方調整となる見通しだ。
5月からの中国国内マイニング禁止によるハッシュレートおよびブロック生成時間への影響は多大なものとなっており、ハッシュレートは4月の最高値から一時70%近く低下し、ブロック生成時間は1日の689301ブロックで2時間19分と11年ぶりの長さとなり、ネットワークの不安定さが懸念されていた。
今回のディフィカルティ大幅下方調整を通過すれば、ハッシュレートの底打ちに加えブロック生成時間の正常化も期待され、ビットコインのネットワークのファンダメンタルズにあたる指標は改善が見込まれる。2018年11月の「ハッシュ闘争」や2020年3月のコロナショックの際もそうだが、ハッシュレートが大幅に低下し相場も追随した後は、ハッシュレートの底打ちと復調が相場の底入れサインともなっていた。
今週は、雇用統計の先行指標ともなるADP雇用レポートが市場の予想を上回る結果となったことで、足元のビットコインは弱含んでいるが、2日の雇用統計を通過し、無事にディフィカルティ調整もこなせば、相場の方向感にも変化が出てくるか。
関連:bitbank_markets公式サイト
前回レポート:ビットコインはアク抜け感不足、来週はCPIサプライズの再来に注意
関連:ビットコインの高騰理由を解説、加速する資金流入に「3つの要因」
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します