今週の相場の動きは
今週のビットコイン(BTC)市場は中国のマイニング規制発表以降、4万ドル付近の揉み合いが続き、最終的に同水準の維持に失敗している。
各指標の騰落率一覧
5/28(金)終値時点の週間騰落率は、以下のようになった。
月初来騰落率
年初来騰落率
(今週の騰落率は、先週の終値、今週の終値を用いて計算。月初来、年初来についても前の月、年の終値で計算)
(仮想通貨の価格は取引所コインベースを参照、各銘柄の価格はTradingviewを参照)
5/22〜5/28のBTCチャート
bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)
今週(28日正午時点)のビットコイン(BTC)対円相場は動意薄で4万ドル水準を巡り揉み合っている。前週の急落から売り一服感があるものの、中国規制同行の不透明さなどが懸念材料となり、相場は200日移動平均線絡みで上値を抑えられている。
シカゴマーケンタイル取引所(CME)のビットコイン先物がギャップダウンして始まった今週のビットコインは、週明けから戻りを試す展開を繰り広げ、レイ・ダリオ氏の「債券よりビットコインを保有したい」との発言や、北米でのマイニングによる環境負担軽減努力が好感され400万円を回復。しかし、25日には対ドルで心理的節目の4万ドルがレジスタンスとなり失速すると、ByBitが中国の携帯電話番号を登録しているアカウントを停止すると発表したことが相場の重石となり反落。その後は400万円周辺で切り返すも、週央にかけて再び4万ドル絡みで戻り売りが入った。
27日には、中国でも高いハッシュレートのシェアを有する四川省で、マイニングを停止した際の水力発電所への影響を調査分析するシンポジウムが来月2日に開催されると報道され、一方的なマイニング禁止措置が一旦は回避されたことで安心感が広がり相場は反発。この日は米新規失業保険申請件数が4週連続で減少したことや、バイデン政権が6兆ドルの歳出を来年度の予算に盛り込む計画と報道されたことも追い風となり一時は4万ドル水準を回復した。
一方、同水準での売り圧力は健在で、この日は米株が高値から失速したタイミングでビットコインは反落し、4万ドル水準の維持に失敗している。
中国のマイニング規制厳格化が明示されて以降、国外へ拠点を移す中華系マイナーの話を散見するが、ビットコインのハッシュレートは意外にも150Ehash/s周辺で落ち着いており、実質的な影響はこれから出てくる可能性がある。ただ、四川省でのマイニングについては来月2日まで猶予を与えられた格好となっており、それまで急激にハッシュレートが低下する可能性は低いかと指摘される。
長い目で見れば、中国に集中するハッシュレートの分散と化石燃料に依存するマイニングが減少することから全体的にプラスと捉えているが、短期ではハッシュレートに与え得る影響(レート低下による需給悪化のイメージやセキュリティの低下)から鑑みて市場のセンチメントにはマイナスだろう。
また、今夜(28日夜)の米個人消費支出(PCE)もリスク要因として注意が必要だ。4月の消費者物価指数(CPI)のように市場の予想を遥かに上回る結果が出れば、金融政策正常化前倒しが市場で意識され、株式市場のリスクオフがビットコインに波及する可能性がある。
市場はこうしたことを織り込んでいる可能性もあり、結果が市場予想とある程度一致していればドル安シナリオも視野に入るが、相場の保ち合いが直近数日間続いているだけに、指標を受けて相場が保ち合い放れとなり高いボラティリティを伴って動く公算が高いと指摘される。
尤も、19日の下落による出来高の増加や短期物ヒストリカルボラティリティの上昇から鑑みて、パニック売りは一服していると見ており、下落シナリオでも3万ドル(≒330万円)や23日安値の339万円周辺では底堅さを発揮する見込みがあるだろう。
さて、今週は暗号資産界隈では最大規模のイベントである「コンセンサス」が開催されたが、注目イベントは来週も続く。6月4日〜5日にかけては、ニック・スザボ氏(著名なクリプトグラファー)、ジャック・ドーシー氏(ツイッターCEO)、ロン・ポール氏(リバタリアンとして知られる元米議員)など、ビットコイン界隈ではお馴染みの顔ぶれが集結する「bitcoin 2021」の開催が控えているため、来週は週後半にかけて材料豊富な週となりそうだ。
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