機関投資家が「仮想通貨投資」を強化する可能性 ヘッジファンド調査
仮想通貨への信頼性向上
暗号資産(仮想通貨)ヘッジファンドNickel Digital Asset Management(以下:Nickel Digital)の調査によると、多くの機関投資家が2023年までに仮想通貨への投資額を増やす可能性がある。Institutional Asset Managerが伝えた。
調査は、現在すでに仮想通貨などのデジタル資産に投資を行っている米国、英国、フランス、ドイツ、アラブ首長国連邦の機関投資家や資産管理会社を対象としたものだ。
10社のうち4社は、保有トークンを大々的に増やすと答えており、エクスポージャーを減らすと答えた企業は7%、保有トークン全てを売却すると答えたのはわずか1%である。
ただNickel Digitalによると、ほとんどの場合、機関投資家は仮想通貨がどのように機能するかをテストするためにポジションを保有しており、ビットコイン(BTC)など仮想通貨へのエクスポージャーは非常に低いという。
長期的な資本成長を予測
仮想通貨への投資を増やす主な理由として、回答企業の58%が「長期的な資本増加が予測される」ことを挙げた。また「仮想通貨を資産として保有することに自信が持てるようになったため」という回答(38%)、「仮想通貨に投資する大手企業やファンドが増えたことで仮想通貨への信頼性が増した」(37%)という回答が続いた。
さらに企業の34%は「規制環境の改善」も仮想通貨への資産配分を増やしたいと考える理由に挙げている。
Nickel Digitalの共同創設者・CEOであるAnatoly Crachilov氏によると、ビットコインなどの仮想通貨を保有する機関投資家や企業の数は増加しており、仮想通貨という資産クラスに対する信頼も高まっているという。
Crachilov氏は具体的に次のように説明した。
今年の6月初めに私たちが分析したところ、時価総額が1兆ドルを超える上場企業19社が、約65億ドル(約7,200億円)のビットコインを保有していることが分かった。購入した時の額は約43億ドル(約4,800億円)だった。
また、さまざまなビットコインの投資信託を通じて、432億ドル(約4.8兆円)相当の驚異的な額のビットコインが保有されていることも判明した。
またCrachilov氏は、機関投資家が仮想通貨への資産配分を増やしたいと考える要因について「新型コロナウイルス・パンデミック下での強力な市場パフォーマンス、著名な投資家や企業による仮想通貨支持、インフラや規制の整備」などがあるとまとめた。
最近の制度整備の事例としては、ユーロ圏でも経済規模の大きいドイツで、機関投資家が、機関専用のファンドを通じて仮想通貨に投資できる法律が施行されている。最大40兆円以上の資金が仮想通貨市場に流入する可能性があると報じられた。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します