国税庁が前倒しで公表
国税庁は6月30日、「暗号資産に関する税務上の取扱いについて」と題するレポートを公表。暗号資産(仮想通貨)貸付に関する内容が追加された。
本レポートは毎年1度、年末に公開されていたものであるが、6月に公開されるのは初めてだ。
追加された内容は
毎年、年末に公表されていたレポートを6月に公表した背景には、20年後半より始まった仮想通貨の高騰とそれに伴う取引数の上昇や仮想通貨関連サービスの増加などがあると見られる。
レポートは、Q&A形式になっており、仮想通貨への課税についてそれぞれのケースで法律上どのように解釈されるかを解説する内容となっている。今回追加された内容は、「暗号資産の貸付けにおける利用料」という項目だ。
問いでは、とある企業が仮想通貨交換業者との間で仮想通貨貸借取引契約を締結し、保有する仮想通貨を貸し付け、契約満了時に貸し付けた通貨が返還され当該通貨による利用料が支払われたケースを想定。「この場合の消費税の課税関係を教えてください」と質問している。それに対する回答では、以下のように記述されている。
利用料を対価とする暗号資産の貸付けには、消費税が課されます。
暗号資産交換業者が定める利用規約には、契約期間が満了した後、貸し付けた暗号資産と同種及び同等の暗号資産が暗号資産交換業者から貴社に返還されるとともに、利用料が支払われることが規定されていることから、ご質問の取引は事業者が対価を得て行う「資産の貸付け」に該当します。
また、ご質問の取引は、支払手段(暗号資産)の譲渡、利子を対価とする金銭の貸付け及び有価証券の貸付けのほか、消費税法別表第一に掲げる非課税取引のいずれにも該当しません。
したがって、利用料を対価とする暗号資産の貸付けは、消費税の課税対象となります。
国内取引所では、コインチェックやbitbankなどが貸仮想通貨サービスを提供しているが、こういったサービスを利用した際に契約満了時に利息として支払われる該当仮想通貨は、消費税の課税対象となることが新たに明記された。
ここで言及されている消費税法では、仮想通貨の「譲渡」は非課税となるとされているが、利用料が支払われる仮想通貨の貸付は、これには該当しないとしている。
仮想通貨の現行の税制は
仮想通貨取引による所得は、給与所得など、他の所得と合算した金額に対して税率がかけられる。
税率は、所得が多いほど高くなる累進課税となっていて、5%~45%の7段階に分かれている。住民税も合わせると最大で約55%の税率が課される。また、損益通算や損失の繰越控除も認められておらず、上場株式などとは異なり厳しいルールとなっている。
金融庁は6月、「金融所得課税の一体化に関する研究会」という金融所得課税に関する意見交換会の内容を公表しており、デリバティブ取引を含む金融取引において、条件付きで損益通算を認める案も出た。仮想通貨に対する言及ではないものの、「投資家が多様な金融商品に投資しやすい環境の整備は道半ば」であるとし、損益通算のさらなる拡大が必要であるとの認識を示していることから、今後仮想通貨の所得に対しても適用される可能性も考えられる。
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一方で、日本維新の会の音喜多駿議員は過去に参議院の財政金融員会において、仮想通貨の税制について分離課税にすること、損益通算、繰越控除を認めることなどを求めているが、麻生大臣は難色を示している。
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