CoinPostで今最も読まれています

金融庁、金融所得課税について見解を表明 仮想通貨税制は?

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

金融所得課税について意見交換

金融庁は4日、5月10日に行われた「金融所得課税の一体化に関する研究会」という金融所得課税に関する意見交換会の内容を公表。デリバティブ取引を含む金融取引において、条件付きで損益通算を認める案も出た。

一方、暗号資産(仮想通貨)税制に関する言及は見られなかった。

損益通算を条件付きで認める案も

出典:金融庁

公表された資料において、金融庁は⾦融所得課税の一体化について次のように説明している。

金融所得課税の一体化とは、金融商品の課税について他の所得と区分したうえで、課税所得の計算上、所得と損失とを合算(相殺)することを認めることで、金融商品間の課税の公平性・中立性を図り、投資家にとって簡素で分かりやすい税制の実現を目指すことをいう。

ここで言及されている金融商品の損益通算については、2013年度の税制改正で公社債等の利子などにまで拡大された後、長期検討事項となっており、現状、デリバティブ取引や預貯金に対しては損益通算は適用されないと説明。

こうした現状について「投資家が多様な金融商品に投資しやすい環境の整備は道半ば」であるとし、損益通算のさらなる拡大が必要であるとの認識を示している。

また、デリバティブ取引について、現物よりも少ない資⾦でリスクヘッジが可能な反面、租税回避行為にも利用される可能性を指摘。租税回避の防止策の一つとして、時価評価課税の導入も検討しているという。

一方、会議では、時価評価課税を導入すると、含み益にも課税されることになるため、キャッシュフローがないところに課税が生じる可能性があるとの懸念を示す声も出ている。

上記のような税制に関する現状の課題について会議では「リスクを取って得た所得が、リスクを取らないで得た所得より課税されることは、租税の中立性から適切ではない」「執行性を担保する観点から、個人番号を提出している者に限って、損益通算を認めてはどうか」といった意見が出たという。

会議には、明治大学専門職大学院法務研究科 岩﨑政明氏、経済評論家 山崎元氏、早稲田大学法学学術院教授 渡辺徹也氏などが参加。オブザーバーには、日本商品先物振興協会、GMOクリック証券、農林水産省、経済産業省などが名を連ねた。

どうなる? 仮想通貨税制

仮想通貨取引による所得は、給与所得など、他の所得と合算した金額に対して税率がかけられる。

税率は、所得が多いほど高くなる累進課税となっていて、5%~45%の7段階に分かれている。住民税も合わせると最大で約55%の税率が課される。

出典:国税庁

  • 【損益通算禁止】仮想通貨取引で損失が出た場合、他の所得と相殺できない。

年間の仮想通貨取引で損失が出ている場合でも、給与所得と合算して相殺(損益通算)することはできない。しかし、同じ雑所得に区分される所得同士なら損益通算が可能。

  • 【損失の繰越控除禁止】生じた損失は翌年以降の利益と相殺できない

上場株式などの取引を行っていて損失が出た場合は、損失を最大3年間繰越すことができ、翌年以降の利益から控除することができるが、仮想通貨取引で発生した損失は、翌年以降に繰り越すことができない。

関連:知っておきたい仮想通貨にかかる税金を税理士が解説|Aerial Partners寄稿

デリバティブ取引同様、仮想通貨取引においても損益通算は適用されないが、前出の意見交換会において「損益通算の拡大」が示唆されていることから、仮に仮想通貨取引に損益通算が適用されれば個人の取引だけでなく、業界全体が活性化するきっかけとなる可能性も考えられる。

一方、仮想通貨が課税対象となるのは売却したタイミングであり、現状では含み益は課税対象とはならないが、仮に仮想通貨にも時価評価課税が適用された場合は含み益も課税対象となる。

今回の会議では仮想通貨に対する直接的な言及はなかったものの、今後税制改革などによって仮想通貨もその対象となることは充分に考えられるため、動向を注視する必要がある。

政府は仮想通貨税制変更に難色

3月、日本維新の会の音喜多駿議員は、参議院の財政金融員会において仮想通貨の税制や規制について麻生財務大臣らに質疑を行った。

租税の公平性という観点から、株式取引やFXなど他の金融商品先物取引等の決済と同様に、「税率20%の分離課税」とすべきと考えると意見。これに対し、金融庁中島総合政策局長は、株式取引などは家計の資産形成という役割を担っているため、仮想通貨取引と必ずしも同列で議論することはできないとの認識を示した。

また、音喜多議員は20年6月に行われた参議院財政金融委員会においても、仮想通貨の税制などについて質疑を行なっている。

仮想通貨税制については、最大税率55%とされている雑所得に区分される税制をあらためて、国際水準並みの税制にするべく金融庁が旗振り役となって要望するべきと考えると説明。

分離課税にすること、損益通算、繰越控除を認めること、仮想通貨間の媒介や少額決済を非課税化することなど、金融庁として、税制改正要望をするべきだと求めた。

これに対し、麻生大臣は、雑所得に区分されている仮想通貨税制については、1900兆円の個人金融資産のうち950兆円ほどが現金預金である中で、各家庭に貯金より投資を勧めているが、政府の政策として暗号資産の税制を改めることは、一般家庭に「暗号資産を家庭に勧めることにつながり、これは現時点では難しいのではないか」と指摘。分離課税に否定的な見解を示した。

関連:音喜多議員、金融庁や麻生大臣に仮想通貨税制や規制問題について質疑

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
03/29 金曜日
17:08
HSBC銀行がトークン化されたゴールド商品を香港で提供開始
HSBCは香港の個人投資家に向けて、オンラインバンキングとウェブサイトを通じたトークン化されたゴールド商品のアクセスを提供開始した。トークンはHSBC Orionプラットフォームで発行され、リテール向け、HSBCオンラインバンキングおよびHSBC香港モバイルアプリを通じて提供される。
15:30
Filecoinステーキング大手、Glifがポイントプログラム開始
暗号資産(仮想通貨)ファイルコイン(FIL)の、ステーキング・プロトコルGlifがポイントプログラムを開始した。FILトークン保有者は流動性プールにFILを預けることで、Glifのネイティブ・リキッド・リース・トークンである「iFIL」を受け取り、運用できる。
14:34
イーサリアム共同創設者ブテリン氏、Dencun後の改善点を語る
仮想通貨イーサリアムの共同創業者ヴィタリック・ブテリン氏は、Dencunが完了した今後の技術的な改善点を提案した。
14:11
CoinTradeがソラナ含む4銘柄の取扱い開始、ステーキングサービスにSOL追加
暗号資産(仮想通貨)販売所CoinTradeがソラナを含む4銘柄の取り扱いを開始。ステーキングサービスにSOLを追加した。条件をクリアすることでSOLをプレゼントするキャンペーンを開催中。ジパングコイン(ZPG)など三井物産デジタルコモディティーズも新規で取り扱う。
12:55
日本DAO協会4月1日に立ち上げ 府令改正も同日公布
日本DAO協会が4月1日に設立される。DAOの自主規制や健全なエコシステムづくりを推進していくもので、協会自体の運営もDAOで行う計画だ。
12:24
ビットコイン7万ドル台で高止まり、ブラックロックの新規ファンド好調でRWA関連銘柄買われる
暗号資産(仮想通貨)市場ではビットコインが7万ドル台新高値をうかがう展開。アルト相場ではブラックロックのトークン化ファンド「BUIDL」絶好調の影響で、ONDOなどのRWA関連銘柄が買われた。
11:30
Googleサーチ、ビットコインやArbitrumなどのアドレスで資産残高を確認可能に
全ての資産を表示するわけではなく、残高は各ネットワークのネイティブトークン(ETHやARB、OPなど)のみを表示。
10:50
5月のローンチ目指す、香港でビットコイン現物ETF申請のVSFG
仮に香港で承認された場合、アジア初の事例となり、今後日本でのビットコインETF上場や発行にも追い風になりうるとみられる。
10:00
FTXのサム前CEOに懲役25年の判決 カリフォルニアで服役へ
米国地方裁判所の判事は28日、破綻した仮想通貨取引所FTXのサム前CEOに対して懲役25年、および最大1.7兆円の資産没収という判決を言い渡した。
08:40
2.6兆円相当のBTC保有数到達、ブラックロックのビットコイン現物ETF
純流入再び加速 ブラックロックのIBIT・ビットコイン現物ETFの運用資産は初めて、250,000 BTC(2.6兆円)を超えた。1月11日の取引開始からわずか11週間で2兆円…
08:10
Wormholeの仮想通貨「W」、取得開始日明かす
Wormholeは、今月7日に、Wトークンのエアドロップアロケーションや適合対象アドレスを公開。ソラナ、EVM系、Sui、Aptos、Osmosis、Injectiveといったネットワークでのユーザーや、ソラナNo.1NFTコレクションである「Mad Lads」のホルダーを対象としている。
07:40
米投資会社、マイクロストラテジーの株はBTCより割高と指摘
マイクロストラテジーの株価から概算する仮想通貨ビットコインの価格は17万ドル超であると米ケリスデールが分析。同社の株は、ビットコインに対し正当ではないプレミアムがついて取引されているとの見方を示した。
07:20
アバランチ財団「Codebase」、最初の支援プロジェクト15社を選出
アバランチではすでに「Colony Lab」という分散型アクセラレーターが活動しているが、今回Codebaseと連携し支援対象への資金提供を拡大し、1プロジェクトにつき、100万ドルを超える金額を提供する可能性がある。
06:45
5月承認の可能性低いもBitwiseらがイーサリアム現物ETFの上場申請行う
イーサリアムETFが現在の多くの申請の最終期限となる5月に承認される見込みは、SECがイーサリアム財団を調査しているとの報道などを受け大幅に後退している。1月には70%あったが、現在は20%程度まで低下してきた模様だ。
05:50
Bybit、ソラナミームコイン「POPCAT」の永久先物提供
ソラナの仮想通貨ミームコインへの需要は未だ高い。代表的な犬系ミームコイン「WIF」は29日過去最高値を更新し、前日比で20%上昇している。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
2024/04/06 ~ 2024/04/09
香港 香港コンベンション・アンド・エキシビション・センター3FG
2024/04/09 14:00 ~ 16:00
その他 オンライン
2024/04/13 ~ 2024/04/14
東京 東京都港区
2024/04/13 10:00 ~ 17:00
その他 オンライン
重要指標
一覧
新着指標
一覧