豪州、仮想通貨の規制整備に本腰か
豪財務省、仮想通貨ルールの明確化を計画
オーストラリアのジョシュ・フライデンバーグ財務大臣は7日、オーストラリア・イスラエル商工会議所で行うスピーチの内容を発表した。暗号資産(仮想通貨)やその他新たな決済手段についてルールを明確化していく方針だという。The Guardianなどが報じた。
スピーチの原稿によると、財務大臣は「包括的な決済と仮想通貨の改革計画」を約束。
オーストラリア政府は、2022年に、中央銀行デジタル通貨(CBDC)、仮想通貨取引所のライセンス制度など、改革の可能性について協議する計画だ。財務大臣が決済システムの規則を設定する権限を強化することを含め、政府の監督機能を強化することもねらいとしているという。
消費者に代わって仮想通貨を管理するカストディ企業の規制についても話し合い、リテール型CBDCについても、2022年末までにパイロットテストを行うことを目指す。
国際的競争力を維持
この背景には、オーストラリアで仮想通貨の人気が高まっていること、スマホやデジタルウォレットを活用した決済が盛んになっていること、また、関連分野でオーストラリアの国際的な競争力を維持する必要性などがある模様だ。
フライデンバーグ財務大臣は、オーストラリア国民の17%が仮想通貨を保有していると指摘。規制の変更がなければ「わが国の決済システムの将来を決めるのは米国のシリコンバレー」になると注意を促した。オーストラリアが「決済システムに対する主権を維持しなければならない」としている。
そのためにも、仮想通貨や「Buy Now, Pay Later(バイナウペイレーター:BNPL)」市場など新しい決済方法の規制・税務上の取り扱いについて曖昧さを払拭することで、ビジネスの発展を後押ししていく姿勢だ。
バイナウペイレーター(BNPL)とは
英語でBuy Now, Pay Later。BNPL事業者が商品代金を立て替えることで、消費者が後払いで商品を購入できる仕組み。原則的に、消費者にとっては手数料がかからず、クレジットカードほど審査も厳しくないというメリットがある。
▶️仮想通貨用語集
財務大臣は原稿で「このような新たな動きを受け入れれば、オーストラリアには金融とテクノロジーの融合から恩恵を受ける大きなチャンスがある」と述べた。
コモンウェルス銀行が仮想通貨へ参入
オーストラリアでは、11月に同国大手銀のオーストラリア・コモンウェルス銀行(CBA)が、アプリで仮想通貨の売買や保管を行えるサービスを提供すると発表している。
公式発表によると、銀行がこうしたサービスを提供するのはオーストラリア初であるという。まず試験的運用を行い、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ビットコインキャッシュ(BCH)、ライトコイン(LTC)などを含む10銘柄を提供する予定だ。
このサービスは、仮想通貨取引所ジェミナイ、ブロックチェーン分析企業チェイナリシスとの提携で可能になった。
一方で、オーストラリアでは地元の仮想通貨取引所MyCryptoWalletが破綻したことも報じられている。
4月時点で、多くのユーザーから、この取引所に預けている資金にアクセスできないという報告や苦情が挙がっていたが今月経営破綻が明らかになった。今後事業の清算が行われるとみられているが、債権者が資産を取り戻せるのかは不明だ。
こうしたことからも、規制を整備する必要性が高まっている。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します