DatachainとNTTデータ、イーサリアム上の通貨とHyperledger上の資産で「DVP決済」検証に成功

2つのBC上の資産を同時交換

ブロックチェーン開発を行う株式会社Datachainは1日、株式会社NTTデータと共同で行ったイーサリアム(ETH)上のデジタル通貨とHyperledger Fabric上のデジタル資産を同時交換する実証実験に成功したと発表した。

株式会社Datachainは18年3月、デジタルコンサルティング事業を主とする株式会社Speeeのブロックチェーン技術を基盤としたデータプラットフォーム「Datachain」構想の事業を推進するため、子会社として設立された。

NTTデータとの実証実験では、「Hyperledger Fabric」上のデジタル資産とイーサリアム上のデジタル通貨(USDCなどのステーブルコイン)を用いて、DVP決済を想定した価値移転が行われた。

DVPとは

DVPとは、証券の引渡しと代金の支払いの両方を行う「Delivery Versus Payment (DVP)」の略称。証券の引渡しと代金の支払いを相互に条件付けて、一方が行われない限り、他方も行われないようにすることを指す。

▶️仮想通貨用語集

Hyperledger Fabricは、企業向けブロックチェーン・プラットフォームのデファクトスタンダードとして有力視される企業向けのオープンソースのブロックチェーン・プラットフォーム。認定された人だけがネットワークに参加できるプライベートブロックチェーンとして設計されている。銀行、医療、IoT、製造など幅広い分野で活用されている。

実証実験の概要と成果

出典:株式会社Datachain

Hyperledger Fabricとイーサリアムの相互接続には、Datachainが開発を主導する、異なるブロックチェーン間の相互運用性を実現しクロスチェーンアプリケーション開発を可能にするプロダクト「Hyperledger Labs YUI」を活用することで、IBCを用いた相互運用性を実現した。また、同じく同社が開発するCross Frameworkを用いることで、両ブロックチェーン上の取引を同時に実行することを可能にした。

Cross Frameworkは、異なるブロックチェーンに分散したデータの参照やそれぞれの機能を組み合わせるためのクロスチェーンスマートコントラクトの開発を容易にするフレームワークだ。

IBCとは

IBCとは、Interchain FoundationおよびCosmosのプロジェクトによって策定が進められている、異なるブロックチェーン間の相互運用性を担保するための仕様標準のこと。

▶️仮想通貨用語集

同実証実験により、Hyperledger Fabricで構築されたサービス上のデジタル資産と、イーサリアム上のデジタル通貨(ステーブルコイン)との間で、DVP決済を想定した2つのアセットの同時交換が可能であることを確認したという。

過去にはHyperledger Fabricとコスモス(ATOM)間のDVP決済の検証は完了していたが、今回、Hyperledger Fabricの接続先として実際にUSDCなどのステーブルコインがすでに流通しているイーサリアムを対象としたことで、より商用化に近いレベルでの検証に成功したとした。

関連:初心者でもわかるコスモス(ATOM)とは|注目点と将来性を解説

また、同実証実験の内容を受けて実施された、東京海上日動火災保険株式会社、株式会社STANDAGE、株式会社トレードワルツ、NTTデータの4社による新たな貿易決済の実証実験において、Datachainがブロックチェーン間の相互運用性に関する技術提供を行ったことを明かした。

関連:東京海上、ステーブルコイン利用の貿易決済システムを開発か

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
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