ビットコイン暴落の理由と仮想通貨相場反発に必要な条件とは|BTC今年最安値間近に
- ビットコイン暴落の理由
- ビットコイン暴落の理由と仮想通貨相場反発に必要な条件を考察。BTC価格下落が続く現在の状況を、仮想通貨取引所のセキュリティと規制問題や取引量の観点、今後の課題から今後の動きを読み解きます。
- Bitcoinとは
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2009年に運用開始された、最もメジャーかつ基盤となる仮想通貨の王様。 オープンソースプロトコルに基づく、P2P型の決済網を有している。
ビットコイン暴落の理由
ビットコイン価格は、5月上旬以降にネガティブ要因が続いたことで大幅下落を招き、70万円目前となっています。
70万円を切った場合は、2018年最安値(約65万円)が目前となるため、相場回復を望む声も多く聞こえて来ますが、軟調な相場が続いているのが実状です。
ビットコインの価格下落は、一体いつまで続くのか。
現在起きているセキュリティと規制、取引量の観点を踏まえつつ、今後の課題を紹介します。
2018年に発生した数多くのセキュリティの欠如によるハッキング事件の経緯
6/10、韓国のマイナー取引所Coinrailのハッキング被害(約4千万ドル以上)につき、再び取引所やウォレットプロバイダーの安全性と業界の規制が問われます。また最近、仮想通貨ブロックチェーン関連の攻撃が少なからず見られています。
「CryptoAware」という仮想通貨セキュリティの推進をミッションとする団体によると、2018年の第1四半期だけでハッキング被害金額はすでに6億7千万ドル以上(約740億円)に及んだそうです。
第2四半期まで範囲を広げると、被害金額は11億ドル(1216億円)に達しています。
2018年も約半年が経過する中、多くの人にとって最も印象に残った出来事は、約5億3千万ドル(580億円)相当のNEM流出被害を受けた日本大手取引所Coincheckのハッキング事件でしょう。
この事件を発端に、日本金融庁はより厳格な規制に踏み切りました。
不正流出事件が起こるまでは、Mt.Goxのハッキング被害(約4億5千万ドル以上)と、THEDAOの攻撃未遂事件(約5千万ドル)は、すでに仮想通貨業界に警鐘を鳴らしていましたが、類似事件は途絶えませんでした。
現時点では万能とは言い難い
また理論上、ブロックチェーンは変更・ハッキング不可能で、取引所のセキュリティより万全だとされますが、ブロックチェーンの不正攻撃という形で、Verge(バージ)やビットコインゴールド、Electroneumのようなブロックチェーンは、いわゆる51%攻撃を受けています。
最近、中国セキュリティソフトウェア企業Qihoo360は、ハッカーはすでにイーサリアム系アプリに繋がる安定性の低いノードを探り、しかも一つのハッカーグループは2千万ドル(22億円)に相当するETHを盗み出したと報告しました。
2011年以来、約23億ドルものハッキング被害が報告されていますが、公表されていない被害もあった可能性も指摘されています。
主流の金融資産になるためには、仮想通貨業界全体におけるセキュリティの強化や、攻撃への対応が急務となるかもしれません。
金融活動作業部会 (FATF):2019年に仮想通貨取引所の規制を強制と目論む
日本政府関係者によると6/12、FATA(国際的部会)は、今月下旬に仮想通貨取引所に対する強制的規制を討論するそうです。
今回の動きは、3月に開かれたG20サミットで喚起された仮想通貨に対するモニタリング要求を下に、既存の非強制的ガイドラインからスケールアップするものと思われます。
2015年に決められた既存のガイドラインは、取引所に登録と本人認証手続き、疑わしい取引に対する報告などを推薦するものですが、今度6/24に開かれる議会でFATFはそういったルールの適性を見直す予定です。
また、日本は世界初で仮想通貨交換業登録制度を導入した国ですが、現状では、拘束力のないガイドラインで運営を許容する国々の取り締まりはこれと一致せず、2020年のG20を主催する日本(FATAのメンバー)は国際基準となる拘束力を持つ規制への改正を主導し、2019年までに採用を見据えると思われます。
セキュリティの不健全な業界と取引量の低下の関係性
仮想通貨の取引量は、仮想通貨価格の下落と共に減少傾向にあり、流動性の観点からも不安視されている現状があります。
eToroのシニア市場アナリストであるMati Greenspan氏は、最近の相場について、下記のように述べています。
「BTCは今、『流動性の真空状態」にいる。全ての取引所における毎日のBTC取引量が50億ドルを越さず、2017年11月以来の最低水準になっている。取引アクティビティが低いため、少しの市場衝撃さえ価格を劇的に変動させられる。」
ハッキング事件・セキュリティの脆弱性、そして世界各国で温度差のある法整備の進展と規制当局の動きは、投資家にとって、特に注目すべき重大要素であると考えられ、取引アクティビティの欠如が、より悪材料を相場状況に直結させていると言えるでしょう。
USDTによる価格操作疑惑再燃
NYタイムズは13日、テキサス大学のジョン・M・グリフィン教授など2人が発表した、2017年のビットコイン価格暴騰はUSDTで購入されたビットコインによる価格操作であるという論文を紹介しました。
テザーとBitfinexの価格操作の問題は、以前より指摘されており、この疑惑は年初より続く下落相場を大きく後押しした要因となります。
確実な根拠はないものの、複数の調査が行われているものの、明確な疑惑払拭には至っていないません。
今回NYタイムズで報道されたこともあり、軟調相場に勢いを持たせる材料となった可能性があります。
相場反騰のために必要な要素は
前述のように、直近のハッキング被害や見えざる規制の行方、そして「価格操作」に関する捜査などのネガティブ要因が、仮想通貨相場に絶え間なく衝撃を与えています。
しかし、何度も挫折しながらも華麗に復活を遂げてきた、BTCなどの仮想通貨市場が有する回復力と、市場の成長性を考えれば、技術面と金融面の発展をもとに、より強い上昇相場を取り戻せる可能性も低くないと考えられます。
仮想通貨市場が底打ち反転をするためには、何が必要なのでしょうか。
1.技術面
度重なるハッキングやサイバー攻撃は、結果的に仮想通貨業界の技術革新につながると指摘する声もあります。
BlockstarのCEOを務めるFerri氏は、「技術の革新において、ハッキング被害は短期的に苦痛をもたらすが、長期的に見れば、仮想通貨のエコシステムにとって、改善と更なる進化の駆動力となり、間違いなくより安全な環境を作るように仕向けてくれる。その結果は、仮想通貨の普及だ。」と明言しました。
2.金融面
ここ2ヵ月だけで、いくつもの巨大金融機関が動き出し、仮想通貨に対する巨額投資を検討・参入しました。
伝統の証券取引所は、仮想通貨取引所Geminiと提携し、市場操作と不正取引を特定する市場監視仕組みの改善に務めているそうです。
また、NYSEの親会社であるICEは、ウォール街の大口投資家が仮想通貨を取引できるようにオンライン取引プラットフォームの構築に力を入れ、巨大投資銀行ゴールドマンサックスは、ビットコイン先物取引サービスの提供を決定しました。
以上の2点に加え、CoinbaseやBitfinexが導入したように、SegWitやLighteningNetworkが従来のトランザクションの所有時間と手数料を減らしつつあることも、BTCを含む仮想通貨全体の相場を引き上げる不可欠な要素だと考えられます。
「(BTC相場は)300回も死亡(暴落)し、そして蘇ってきた。」との見解があるように、BTCの未来は明るいと考えてもいいでしょう。
価格下落は例年通りと楽観視する向きも
2013年にBlockchain.info社に入社した事をきっかけに仮想通貨業界に入り、Okcoinなどで仕事もした後、世界最大の取引所Binanceを作り上げたCEO CZ氏は、長年仮想通貨業界に携わって来た経験から『仮想通貨市場の暴落は例年通りの光景だ』と語りました。
CZ氏は
と語っています。
また、過去の暴落と高騰の様子(BTCチャートの推移)を動画で公開したツイッターユーザーも、投資家の間で話題となっています。
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