緊張高まるウクライナ情勢、ビットコイン相場は憂慮すべき事項が多数 仮想通貨・週次市況(bitbank寄稿)
今週(12日〜18日)の仮想通貨相場
今週のビットコイン市場は軟調な価格推移を見せ、一時4.4万ドルまで上昇したものの、その後4万ドル付近まで下落している。
各指標の騰落率一覧
12日の終値時点の週間騰落率は、以下のようになった。
月初来騰落率
年初来騰落率
(今週の騰落率は、先週の終値、今週の終値を用いて計算。月初来、年初来についても前の月、年の終値で計算)
(仮想通貨の価格は取引所コインベースを参照、各銘柄の価格はTradingviewを参照)
2/12(土)〜2/18(金)のBTCチャート
bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)
2/12(土)〜2/18(金)レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円相場は上値の重い展開を繰り広げ、一時は節目の500万円回復するも、週後半に同水準を割り込み、18日正午時点で、470万円周辺で推移している。
週明けから米政府によるロシア米大使館閉鎖の発表や、セントルイス地区連銀のブラード総裁が、インフレを懸念して7月までの100bp利上げの意思を示すなど、BTCには向かい風となる材料が続出したが、BlockFiが米証券取引委員会と和解したことを契機に相場は490万円での揉み合いの末、上放れに成功し500万円台を回復。
15日には、ロシア軍がウクライナ国境での演習後に一部の兵を撤退させたことが事態沈静化の期待を生み、相場は更に一段高を演じ510万円台に乗せた。
一方、週央からは対ドル45,000ドル水準となる520万円周辺で上値を抑えられ、失速。TwitterのETH投げ銭機能追加や、米連邦公開市場委員会(FOMC)1月会合の議事要旨で追加のタカ派サプライズがなかったことで、相場は底堅く推移するも、週後半には、ロシアが再びウクライナ国境沿いの増兵、また、ロシアメディアによるウクライナ軍のウクライナ東部での砲撃報道が転がり込み、17日の相場は東京時間に500万円割れを試した。
同日欧州時間には、欧州株の下落に連れ安となり、BTCは1時間足の200本移動平均線を節目の500万円を割り込み、米時間には一段と下げ足を速め、480万円まで下落。さらに、この日はブリンケン米国務長官がロシアは「数日中」にウクライナを攻撃する準備をしていると発言し、米市場後場の株安に連動してBTCは460万円付近まで下値を広げた。
安全通貨や金(ゴールド)相場が上昇する中、BTCは「無国籍通貨」としては欧米株の値動きに振り回され頼りない値動きとなっている。
そんなBTCだが、足元の水準は、一目均衡表雲下限(452万円)、1月中旬のレンジ下限(458.5万円)、対ドル節目4万ドル水準(≒460万円)、4時間足200本移動平均線(463.4万円)など、テクニカル的なサポートが豊富に密集するエリアで下げ止まっている。ウクライナ情勢を巡り事態悪化が防げれば、足元の水準が丁度良い押し目となりそうだ。
そんな中、ブリンケン米国務長官とラブロフ露外相の電話会談が、ロシアがウクライナ侵攻をしないことを条件に来週に予定され、18日の東京時間ではやや市場のリスク回避姿勢が後退している。18日には、バイデン米大統領と欧州各国首脳が電話会談を行う予定となっており、緊張感はこれまでになく高まっていると言えよう。
ただ、ロシア側からはウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟阻止意外にも、国内反政府デモの抑圧やプーチン大統領の支持率回復の思惑もちらつき、ロシアがウクライナ国境から手を引くのには依然として時間を有する可能性も指摘される。
また、着々と迫る3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合では、50bpの利上げが決定されるシナリオも現実味を帯びてきており、市場のリスク選好度は上向き難い環境が続こう。会合までに、1月個人消費支出(PCE)、2月雇用統計と消費者物価指数(CPI)の発表があり、特にインフレ指標の上振れには注意を要する。
目先のBTC相場は、テクニカル的なサポートに支えられ一旦下げ止まるシナリオを想定しているが、来週にはバイデン大統領が幅広い政府機関に暗号資産(仮想通貨)の監視・規制に関する研究を要請する大統領令を発令することが報道されており、内容次第では弱材料ともなろう。ウクライナ情勢も「いつ、何が起きるかわからない」という状況であるため、上値余地は500万円と、極めて限定的と見ている。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します