今週(29日〜4日)の仮想通貨相場
今週のビットコイン市場は大きな反発を見せた。BTC価格は週明けから週央にかけ37,000ドル付近を推移した後、4日には4万ドルを突破している。
各指標の騰落率一覧
4日の終値時点の週間騰落率は、以下のようになった。
月初来騰落率
年初来騰落率
(今週の騰落率は、先週の終値、今週の終値を用いて計算。月初来、年初来についても前の月、年の終値で計算)
(仮想通貨の価格は取引所コインベースを参照、各銘柄の価格はTradingviewを参照)
29日〜4日のBTCチャート
bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)
1月29日(土)〜2月4日(金)レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円相場は、450万円上抜けに失敗し、1時間足の200本移動平均線を割り込み、4日正午時点では430万円周辺で推移している。
CMEのビットコイン先物がギャップアップして今週の取引を開始すると、週明けのBTC対円は440万円から一段安を演じたが、日経平均株価の反発や米株の続伸を受けて、420万円台中盤から切り返し、440万円台に回復した。
一方、週央にかけては、2016年にBitfinexへのハッキングで不正に流出した大量のBTCが動きだしたことが警戒され、相場は440万円台前半で失速。しかし、2月1日には、フィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁が、今年は4回の25bpの利上げが適切と発言したことや、セントルイス連銀のブラード総裁が、3月の50bp利上げに対して否定的な姿勢を示したことから、相場は440万円周辺で底堅く推移した。
しかし、2日に発表されたADP雇用レポートで非農業の月間雇用者数が市場の予想を大きく下回り、-30万人となると、オミクロン変異株の経済への影響が懸念され、BTC相場は下げ足を速め、1時間足の200本移動平均線を割り込んだ。
さらに、3日朝方には、Facebookを手がけるMetaの決算で、Facebookの月間ユーザー数頭打ちやメタバースへの投資による巨額の損失が公になり、同社の株価が時間外取引で急落、BTCもそれに連れ安となる格好で415万円まで安値を広げた。
足元では、米株先の反発、さらにはWormholeへのハッキングで不正流出した資金が回収されたとの報を受けたイーサ(ETH)の反発が相場の追い風となっており、1時間足の200本移動平均線をトライする展開となっている。
前週の米連邦公開市場委員会(FOMC)は、3月からの政策の先行きに関してヒントに乏しい内容となったが、今週のハーカー総裁とブラード総裁の発言により、僅かながらではあるが手掛かりを掴むことができたか。
ハーカー総裁は、インフレが現在の水準で頭打ちとなり継続的に低下していけば、50bpの利上げは視野に入ってこないとした。直近では、先月28日に米個人消費支出(PCE)が発表され、前年同月比で5.8%の上昇が確認されたが、上昇ペースは鈍化傾向にあり、前月比では-0.6%となった。来週は、10日に消費は物価指数(CPI)の発表を控えており、予想外の物価上昇ペースの加速が確認されなければ市場に安心感を与えると指摘される。
他方、今週ヘッドラインを騒がせた2016年Bitfinex不正流出事件のBTCの行方だが、それ以降では主要な取引所への不自然なBTCインフロー(流入)は確認されず、分散管理など利食い以外の目的で移動したか、足のつきにくいルートでのエグジットを模索している可能性もある。いずれにせよ、しばらくの間は取引所へのインフローが気になる状況が続くだろう。
1月のBTCは月足基準線を維持することに成功したが、米金融政策の先行き不透明感や、BTCの大口アドレスに動きがあったことにより積極的に買いが入りやすい状況とは言えず、相場の速やかな反発が期待できる状況ではないだろう。
4万ドル(≒460万円)の突破に成功すればショートのストップが入るシナリオも想定しているが、戻り売りにより上値の余地は限定的か。1月に相場が踊り場を形成した4.3万ドル(≒495万円)近辺は目先のレジスタンスとして意識される。
関連:bitbank_markets公式サイト
前回のレポート:急落一服のビットコイン、月の変わり目の値動きにも要注意