破産申請したセルシウス、1,600億円の赤字が判明
赤字に関して
14日に破産申請した暗号資産(仮想通貨)融資企業Celsius Network(セルシウスネットワーク)のバランスシートには、約1,650億円(11億9,000万ドル)の赤字が掲載されている。
セルシウスは13日に米連邦破産法11条(チャプターイレブン)に基づいた破産申請を行ったことを発表していた。申請書によると手元資産1億6,700万ドルを活用して、再建計画を組み立てるとしている。
米連邦破産法11条(チャプターイレブン)とは
日本の民事再生法に似た再建型の倒産法制度。経営を継続しながら負債の削減などを実施し、企業再建を行う。申請後に債権取り立てが停止され、債務者は負債の整理に取り組み、原則120日以内に再建プランを策定する。
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セルシウスのアレックス・マシンスキーCEOと、同社を担当する法律事務所が新たに提出した文書は、負債総額55億ドル、資産総額43億ドルと報告。また、今後の手続きについて同意を得るため、無担保債権者委員会には、ほとんどのセルシウスユーザーが含まれる可能性が高いとも説明している。
マシンスキーCEOは、書類の中で「同社のプラットフォーム上が預かるデジタル資産の量は、同社がそれを適切に展開する準備ができるよりも速いペースで成長した」、「その結果、同社は、今から振り返ると、不適切な資産配備の決定を行っていた」と述べた。
資産の見積もり
申立て日の時点で、セルシウスはほぼすべてのDeFiローン、および仮想通貨取引所FTXとのデジタル資産4億300万ドルを担保にした1億800万ドルのローンを解消した。他には、デジタル資産660万ドルを担保にした約320万ドルの金額のローンが1つだけ残っているという。
今後、セルシウスは資産を売却し、再建した際の新たな企業の株式と交換で、第三者の投資家からの出資を検討する可能性がある。
書類によると、セルシウスは、1日に米国で破産申請を行った仮想通貨ヘッジファンドThree Arrows capital(3AC)について4,000万ドルの請求権を持っているという。
また、赤字解消方法の1つとして、マイニングにより生産したビットコイン(BTC)も利用する意向だ。
セルシウスは本業とは別に、子会社のセルシウス・マイニングを通じてビットコインを採掘している。この子会社は、企業間債権として、セルシウスから最大7億5,000万ドルを借りており、5月31日現在で融資残高は5億7,600万ドルだった。
セルシウスは、このマイニング事業がローンを返済するのに十分な資産を生み出し、「将来的に収益をもたらす」とみなしている。提出書類によると、セルシウスは「マイニング資産」として、7億2,000万ドルを所有していると申告した。マイニング子会社は、1日あたり14.2BTCを生産しているという。
FTXによる救済案は立ち消えに
マシンスキーCEOは、これまでの経緯について「第三者から新たな資金調達を行おうとしてきたが、こうした話し合いをする中で破産手続きの必要性が明らかになった」と報告。
提出書類によると、セルシウスの登録ユーザーは約170万人で、そのうち100ドル以上の口座残高を持つアクティブユーザーは約30万人である。顧客資産の引き出しは今も停止されており、再開に関しては「現段階で検討されていない」という。
大手仮想通貨取引所FTXは一時、セルシウスの経済的支援や買収など救済策を検討していた。しかし、その後セルシウスのバランスシートに20億ドルの穴を発見し、最終的にこの案は立ち消えになった形だ。
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また、オンライン投資プラットフォーム「BnkToTheFuture」によるセルシウスの救済策は、セルシウス側が拒否していた。
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