仮想通貨融資企業の財政状況
大手暗号資産(仮想通貨)取引所FTXは、仮想通貨融資企業Celsius Network(セルシウスネットワーク)を救済しないと決断したことが分かった。2名の情報筋の話として、CoinPostの提携メディアThe Blockが報じた。
FTXは経済的な支援や買収に向けて話し合いを始めていたようだが、その過程でセルシウスのバランスシートに約2,700億円(20億ドル)の穴があいていることを確認し、救済を行わないことを決めたという。
セルシウスは先月13日、「極端な市況」を理由に顧客資金の引き出し、仮想通貨のスワップ(交換)や口座間の送付を停止。現在もサービスは再開されていない。日本時間7月1日には、「流動性や運営の安定に注力しており、情報を共有できるように努めている」と改めて発表。「資産を守り、利用できる選択肢を今も探っている」とした。
Operating with the entire community and all clients in mind, we continue to take steps to preserve and protect assets and explore the options available to us. Our latest blog here https://t.co/ckIDi2O0Dc
— Celsius (@CelsiusNetwork) June 30, 2022
同社を巡っては、米証券取引委員会(SEC)も調査を行なっている可能性があり、専門家らに協力してもらいながら対策を考えている様子が伝えられている。弁護士は破産手続きを推奨しているが同社は反対していることも報じられた。昨日には同社の財務リスクが、一般的な米銀行よりも高かった可能性があることも明らかになっている。
FTXによる救済
FTXは現在の仮想通貨業界の状況から、財政難に直面している企業を支援する姿勢を示している。同社のサム・バンクマン・フリードCEO(通称:サム氏)は「悪影響の波及をくい止めるために、たとえ我々が損失を出していたとしても、救済を真剣に検討する責任がある。我々が問題の原因でなくても、関係していなくても同じだ」と述べていた。
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一方でサム氏は、一部の仮想通貨取引所が破綻寸前である可能性を示唆した上で、「あまりにも行き詰まっていて、支援策を講じるのが現実的ではない」いくつかの企業があるとも指摘している。
サム氏が懸念する取引所は、バランスシートに相当な穴があいていたり、規制上の問題を抱えていたり、そもそも救うべきビジネス自体が残っていない状況だという。セルシウスは仮想通貨取引所に分類される企業ではないが、上述したように仮想通貨のスワップサービスも提供していた、
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仮想通貨やブロックチェーンのエコシステムのために支援する意思を示すと同時に、救済の対象を精査する必要性を主張しているのは、バイナンスの最高経営責任者CZ氏も同様である。
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