
市場を押し上げる可能性がある要因は?
暗号資産(仮想通貨)運用企業Bitwise(ビットワイズ)のマット・ホーガン最高投資責任者は13日、市場がまだ織り込んでいないと考えられる4つの要素を指摘した。これが潜在的に価格を大幅に押し上げる可能性があるとしている。
まず、すでに織り込み済みの要因としては、規制や法の整備が前向きに進んでいること、ステーブルコインの急成長、企業による仮想通貨購入の増加、機関投資家によるETF(上場投資信託)を通じた仮想通貨購入、勢いを取り戻したイーサリアム(ETH)が牽引するアルトコインの活況などを指摘した。
ホーガン氏は、これらの動きは過小評価されている可能性があるものの、すでに周知のものになっていると述べる。その上で、まだ織り込まれていないと考えられる要因として、次の4つを挙げた。
- 新たにビットコイン購入する政府が出現する可能性
- ドル安 + 金利低下の可能性
- ビットコイン(BTC)ボラティリティの低下
- イニシャル・コイン・オファリング(ICO)2.0
まず、各国政府のビットコイン購入について述べた。現在の状況としては、米国は戦略的ビットコイン準備金を設立したものの刑事没収によって押収したBTCのみを保有していると指摘する。
また、パキスタン政府がビットコイン準備金の創設を発表し、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビもビットコインETFに投資を開始しているが、ETFや企業による大量購入に比べると、規模は小さいと続けた。
それでも、2026年に向けて、政府によるビットコイン保有で大きな転換点となる可能性を秘めた発表が少なくともいくつかあると予想する格好だ。
次に、米トランプ政権が、ドル安とよりハト派的なFRBの姿勢を強く望んでいることに言及した。
トランプ大統領は、ジェローム・パウエルFRB議長を批判し、ドル安を唱えるスティーブン・ミラン氏をFRB理事に指名。このことにより、金利引き下げとドル安を望んでいるという強いシグナルを発している。
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ホーガン氏は、紙幣の印刷によって金利が大幅に低下し、米ドル安が進めば、ビットコインの取引価格は大幅に上昇する可能性があるとの見解を示した。
次に、ビットコインのボラティリティ(価格変動の大きさ)が低下していることが、ビットコイン現物ETFへの資金流入加速の背景にあると指摘。ポートフォリオへのビットコイン配分を5%以上から始めるという機関投資家も増えていると述べた。
現物ETFが登場する以前には、1%の配分が主な出発点だったが、初期の割当量が増加傾向にあるとする格好だ。
ホーガン氏は、過去データを見ると夏はETFへの資金流入が低調な時期であり、秋以降はETFへの流入が加速し続ける可能性が高いと予測した。
最後にイニシャル・コイン・オファリング(ICO)については、米証券取引委員会(SEC)のポール・アトキンス委員長がICO復活のビジョンを示したことを挙げている。
アトキンス氏は、米国を仮想通貨の中心地にするという構想を語る中で、ICOについてもSEC職員に情報開示や規制の一部免除、セーフハーバーを提案するよう指示したと話した。
なお、セーフハーバー(安全港の意味)は、規制や法律について、あらかじめ定めた条件を守れば違反とみなさない仕組みのことである。
ホーガン氏は、このビジョンが実現した場合は、新たなICOマーケットの創出が、仮想通貨市場にも多額の新規資金を呼び込む可能性があるとしている。
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ICOとは
「Initial Coin Offering/新規仮想通貨公開」のことで、企業やプロジェクトが、独自の仮想通貨トークンを発行・販売し、資金調達する行為を指す。ハイリスクハイリターンで投機的側面が強い反面、各国の法整備が追い付いていないことで、詐欺まがいのICOが横行するなど問題点も多く、国際的な規制強化が協調路線にある。
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