
SEC委員長のビジョンを受けて予測
暗号資産(仮想通貨)運用企業Bitwise(ビットワイズ)のマット・ホーガン最高投資責任者は5日、米証券取引委員会(SEC)委員長の新たなビジョンを受けて、3つの有望な投資機会を挙げた。
これは、ポール・アトキンスSEC委員長が7月末に「プロジェクト・クリプト」の開始を発表したことを背景にしている。
アトキンス氏は「デジタル金融革命におけるアメリカのリーダーシップ」と題したスピーチで、株式、債券、ドルなど様々な資産がパブリックブロックチェーン上で取引できるようになる未来について語った。
また分散型金融(DeFi)が証券市場の一部となり、仮想通貨とブロックチェーンが新しいビジネスモデルを生み出す可能性についても構想を披露している。
さらに、米国を世界の仮想通貨の中心地にすることを楽しみにしており「これは単なる規制方針の転換ではなく、世代を超えたチャンスになる」とも話した。
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ホーガン氏は、これまで仮想通貨やブロックチェーンによる革命を阻んできた主な要因は厳しい規制環境だったが、それが180度転換したと指摘している。その上で、アトキンス氏のスピーチを背景にして現在有望な3つの投資機会を以下のように挙げた。
- ステーブルコインとトークン化をサポートするイーサリアム(ETH)やその他のレイヤー1ブロックチェーン
- コインベースやロビンフッド、その他が提供する「スーパーアプリ」
- DeFiアプリケーション
まず、あらゆる資産がブロックチェーン上でも発行される将来を考慮するならば、それを支えるブロックチェーンへの投資は重要だと述べる。
この分野ではイーサリアムが現在の最有力候補であるとしつつ、先は読めないことからインデックス型のアプローチにより複数の資産をまとめて購入することを推奨した。
イーサリアムに加えて、ソラナ(SOL)、カルダノ(ADA)、XRP、アバランチ(AVAX)、アプトス(APT)、スイ(SUI)、ニア(NEAR)などの資産を含むバスケットアプローチを提唱する格好だ。
次に、金融「スーパーアプリ」の台頭にも大きなチャンスがあると述べた。背景としては、アトキンス氏がブローカーディーラーが仮想通貨と従来型資産の取引、ステーキング、レンディングなどをシームレスに提供できるようにして、包括的なプラットフォームへの道を開くとの構想を披露したことがある。
ホーガン氏は、コインベースやロビンフッドが、こうした包括的サービスを提供する「スーパーアプリ」の方向性に着手していると指摘。規制当局の後押しがあれば、どちらかが最終的に世界で最も価値のある金融サービス企業となり、時価総額が1兆ドルを超える可能性があるとの見解を示した。
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3つ目としてホーガン氏は、DeFiアプリはこれまで規制のグレーゾーンにあり明示的に許可も禁止もされてこなかったと指摘。そうした中でも、大手分散型取引所ユニスワップは、6月に過去最高である880億ドル(約13兆円)の取引高を記録としたと続ける。
今後、規制が進化するにつれて、そうしたアプリの利用量は数倍に増加する可能性があり、ユニスワップのUNIのようなDeFiトークンも大きな価値を生み出す可能性があると意見した。
DeFi(分散型金融)とは
ブロックチェーンを活用し、中央管理者不在の状態で行われる金融サービス、またはそのシステムを指す。「Decentralized Finance」の略。DeFiで行われる金融サービスには、ステーブルコインの発行や通貨の貸出、仮想通貨取引所などがある。イーサリアムのブロックチェーンを利用しているプラットフォームが多い。